試作群を通して

ここでは、主にふりーむやアツマールに投稿した試作を通して思ったことや学んだ知見を並べていこうと思います

「そして、僕は勇者になる」について

この作品は、スマイルゲームビルダーの使い方を学ぶための処女作となりました。ワンルーム脱出形式のかなり簡単な作りのゲームとなりますが、マップの作成、家具の配置、イベントを設定、モンスターバトルによる技やコマンドの設定など、ゲームに必要な要素があのひとつの部屋のギミックの中に詰まっています。また乱数をつかったガチャシステムなどかなりの意欲作だと思います。

処女作にしては基本事項が揃っており、装備を揃えないとボス戦を突破出来ない作りは設計としてはかなり良かったと思います。しかし、イベント完了後のイベントを組んでおくのを忘れて家具が突然消えたり、ガチャで同じアイテムしかでないバグなど、かなり作りの粗い作品となっています。当時ハマっていたLeft for Dead2というゾンビゲームの影響で、乱数による特殊敵発生やゾンビラッシュ発生による「遊ぶ度に同じ手順でやっても必ず同じ結果になるとは限らない」といった「ランダム性という仕様にこそゲームの面白さがあるのではないか?」という思いがあり、強敵「タンスのカド」は「どちらの一撃目が先に当たるか?」というのが突破条件としましたが、そこで失敗した場合GAME OVERとなるので50%で負けたプレイヤーは「負けイベント」として勘違いしてしまい、クリアできなくなるという状況が発生しました。対策としては負け用イベントからの救済措置を作りましたが、「それが勝てるイベントか負けしかないイベントなのか?」といったことはちゃんと明示すべきことが学べました。プレイヤーは作り手の持っている情報を1%も知らないので、プレイヤーにクリアまで遊んでもらうにはきちんとヒントを与え続けることが重要なのだと思います。あと、とりあえず1作作るの大事です。なんか自信というかやる気出ます。(この頃には既に長編RPG「弔いに花束を」の制作は始まっていました。この1作目がなければ何処かで挫折し全てエタっていたと思います。)

「コカトリス~タケノコ忍法帖~」について

この作品は、「仲間を連れてマップを歩き回れるゲーム」を目指して作りました。かなり肩の力を抜いたネタゲームです。この作品の元ネタは「バジリスク ~甲賀忍法帖~」という漫画のオマージュですが、当時Twitterで流行った「バジリスクタイム」のノリが好きだっただけなので元ネタ要素は1ミリもありません。

ゲームの流れとしては、「仲間を探しながらライバルを全て蹴散らしアイテムを集めて魔王に挑む」といったシンプルな作りで、行動範囲の規制は無く、敵の見た目から歩ける範囲を示唆するという仕組みで、ワンマップといったわかりやすさからもなかなか好評だったと思います。しかし、セーブの示唆をあまりしなかった為に即死トラップやユニークモンスターで死んで1からやり直すみたいな状況がそこそこあったらしく、プレイヤーに失望させないような注意喚起が必要だなと思いました。確かにやり直しは結構萎えますよね…。

「魔王です。ユーチューバーはじめました。【MAOtube】」について

長編RPGを作ろうと思い、かなり頑張りました。長編を作るにおいて「シナリオの辻褄合わせは大変」というなろう小説で挫折した経験があったので、細かいことはギャグで笑い飛ばす内容にしました。当時スマイルゲームビルダーの使い方が分かってきたのと、丁度流行り始めたVtuberの波に乗って実況してもらおうといった狙いがあり、盛り沢山のミニゲームを入れたバラエティ仕様にしました。

ただ、かなり調子に乗り過ぎたのがあったと思います。【MAOtube】本編が1とするなら、ミニゲーム「腐り人の館」が1、「ガチ恋シミュレーター」が3の労力がかかってしまうというボリュームやバランスが滅茶苦茶なバラエティゲームとなってしまいました。幸い狙い通り実況してくれるyoutoberの方は何人かいてかなりの宣伝効果はありましたが、腐人の館のボス戦の鬼畜度や、ガチ恋シミュレーターのカメラ仕様の悪さもあり、不評が多かったように思います。本編RPGもただでさえ長いのにランダムエンカウントで強制戦闘が多いのでプレイヤーから退屈してしまっている感がかなり伝わりました。あと、ゲーム実況を狙うならインパクトも大事ですが、実況者様はスピード感も重視しており、サクサク進むテンポの良さが大事なのと、何かしらのバグやミスがあった場合は修正している間にはもう次のゲームに移ってしまうので、念入りにバグは潰してから公開するほうが良いと思います。ちなみに某高難易度ゲームをオマージュしたミニゲーム「壺ゲー」は好評だったと思います。

「異世界転生勇者シオン~推しアニメの最終回を観るまでは死ねない~」について

これも実況を狙ったネタゲームであり、MAOtubeに入らなかったものを供養した形です。

視点を固定し奥行きを持たした立体感のあるゲームを目指し、死ぬ度にフラグを回収できる死にガチャゲーとして作りました。ただ、かなり手を抜いたため、同じイベントを何度も見る仕様となり、実況するにはカット作業が大変という何がしたかったんだよゲーになってしまいました。

(追記:イベントスキップ機能付けました)

「Labyrinth of verity」について

この作品は「Reincarnation」というフリーゲームから着想を得た強制イベントほぼ無しのフリー探索形式のゲームで、世界樹の迷宮×メイドインアビスの雰囲気を目指しました。また、webGLに出力してアツマール進出を狙っていたのでバグが出にくいように極力素材はデフォルト素材に絞り、イベントもギミックもシンプルにしました。

キャラの見た目を選べる「キャラスキン」仕様、ユニークモンスターEOF、クエスト討伐用ユニークモンスターは完全に世界樹の迷宮のオマージュです。ダンジョンを階層に分けて見た目をガラッと変えたり、骨という遺品を集めるシステムや、「入口は広く易しく、奥は狭く苦しく」はメイドインアビスから得た着想です。ジョブの棲み分けとその調整はかなり悩みましたが、作ってても楽しい作品でした。こんなゲームのキャラゲーバージョンも作れたら作りたいなあ…。

【ZCSQ】Z Class Shark Quest」について

この作品は「ペルソナ」シリーズから着想を得て、条件発生による追撃でダメージを積めることにより、「戦闘にやりごたえを与えつつ、無駄な長引きがなくスマートに敵を倒せる」設計を目指しました。本当はペルソナの丸パクリくらい色々と機能を積みたかったのですが、エディタのSBGの戦闘面の改造面の弱さもあり(ガード成功などの戦闘の状況条件などを変数化できない)色々と工夫の限界みたいなのを感じました。(ネタ切れというわけじゃないけど)

電子的な裏世界といった雰囲気作りにはこだわり、見栄えとしてはよくできたゲームだと思っています。また、世界観としては特に縛りがないのでストーリーはやりたい放題に滅茶苦茶にしました。(ギャグ系だと筆が進むんですよね…。)

新人フリコン」に参加するため、プレイ時間が1時間に収まることを目標に作ったので内容ややりこみ度としては軽めですが、スナック感覚で楽しめる内容にはなったのではないかと思っています。(なお味付けはカオスな模様)