四人の王国

目的は王候補の競争に勝つこと。でも…?

・このゲームは王になりたくない主人公が、何故かよくわからないけどついてきた兵士達と共に王の試練で勝つための旅をします。

強制イベントがかなり多いですが、サクサクとしたテンポで良質なライトノベルを読んでいるような感覚であり、ストレスは少なめです。無口な主人公に反し、3人の側近がわいわいとうるさいほど盛り上げてくれるので、どこか友達と旅をしているような温かさがあります。

←正直過ぎる兵士カシュー。可愛い(だが男だ)

ロールプレイができる選択肢

・物語における選択肢は主人公の性格を決定づけるものであり、プレイヤーの心情や志向をリンクさせて表現できます。

フラグ管理がかなり綿密に練られており、主人公がどの答えをしたかで仲間達が主人公の人柄や好みについて言及してくるなど、人と対話しているような没入感があります。自分の名前か親しみのあるハンドルネームでプレイしないと後悔します。

←重要な場面を除き、「マジメ系」「ユーモア系」「傲慢系」でロールプレイできる。

(ある傾向を選択し続けると女の子に変態呼ばわりされるらしいです。ご褒美ですね。)

みんな何かを抱えて、隠して生きている。

・このゲームですごいと感じたのは登場キャラクター全てが人間臭くて好きにも嫌いにもなれるところです。3人の主要メンバーもかなり楽しいけれど、他王様候補のメンツ達もなんだかんだ愛せるキャラクターばかりです。紹介用の写真撮影の為に2周しましたが、2周目からしても、ほぼ全てのキャラの言動と性格にブレがないのはかなりの高度なシナリオ作成技術だと思います。キャラクターにブレがないので、そのキャラが登場してなくても、「今こんなこと考えてこう動いてるのかなぁ」って勝手に動いている姿を想像できてしまったり、意外と可愛い反応されたりすると思わずニヤけてしまうこともしばしば…。

←見た目に反し心優しい兵士ジャン 何か秘密を抱えてるっぽい…?

(良い意味で)もうやりたくないゲーム

・正直にいいます。もう周回したくない。撮影用の2周目も正直罪悪感がありました。

このゲームを終えるとまずひとつに強烈なロス状態、喪失感に襲われます。それだけ、この生々しく生き生きとしたキャラクター達との思い出が深くなってしまいます。(特に徹夜して一気に駆け抜けると重篤化します。)2周目をやると、みんなとの旅の思い出をどこか穢してしまうような気がしてしまいます。それだけキャラクターとの関係に没入感があり、過去の友達と青春時代を過ごした尊い思い出のようなとても満たされたような気持ちでいっぱいになり、そしてその旅の終わりと共に現実に引き戻されてしまいます。

←兵士長クーフィア 可愛いヒロイン枠。時々出る女の子特有の生々しさも好き。





だらだら感想とか思い出とか(駄文&多少ネタバレあるかも)

ロス状態で苦しいです。その意味でもこのゲームは「夢と現実」「こども(青春)と大人」「譲れないものと現実との向き合い方」といったテーマを感じました。現実ってつらい。その他社会や生き方、人間関係に対するメッセージ性があるので、そこら辺に悩みがちな人には刺さるメッセージがあるかもしれません。

ただ、それ故にRPGこと「ロールプレイングゲーム」の強みを最大限に活かしたゲームだと感じました。ENDは分岐するのでどのENDにするかでまた後味も変わると思います。主人公を敢えて無個性寄りにし、選択肢でキャラ付けをすることによってプレイヤーをリンクさせる。なので、メタ視点からプレイするとどこか心理テストをしているような感覚でした。そういやゲームの開始時に作者キャラっぽい人がプレイヤーについて色々と聞いてきたのも今思うと何かのフラグというか暗示だったのかもしれません。

選択させるだけならそういったゲームは商用ならそこそこあるような気がします。しかし、このゲームのすごいところは「あの時こうしてくれましたよね?」こか、「あの時ああ言ってくれて嬉しかった」とか「あなたってこういう人ですよね?」ってキャラクターが【反映】して話しかけてくれるのはやっぱりニヤニヤしちゃいますね。大人の希薄な仕事関係とかだとそんなやりとり滅多にしないですしね。(人心掌握術として今度使ってみよう…。へへへ…)

戦闘はあっさりしていますが、戦闘というよりも戦闘風なロールプレイイベントであり、その都度に用意されたメンバーでやり繰りするのは面白かったです。救援とか庇うとか息を合わせることでスキルが使えるとかの演出がめちゃくちゃアツい。ゲーム制作においてレベル制バトルと重厚シナリオの相性の悪さにウンザリしてるところがあるので参考にしたいです。

ちなみにですが、序盤に結構主人公を馬鹿にしてくる王候補ダンや腹黒い王候補ライツもかなり好きです。場面によっては胸糞なところがあるけれど、主人公と二人になった時に見せる弱さというか心情にはキュンとくるものがありますね。「ああ、彼らも化け物とか狂人じゃなくて人間なんだな…。」って。自分としては八方美人なロールプレイをしがちなのでそんな個性と人間味に溢れたキャラクター達との向き合い方には後半かなり苦悩しました。(リカに浮気しそうになった人は手を挙げなさい。…私です。)

どんなロールプレイにしても主人公は筆談意外では結局無口なので、まわりのキャラ達からしたら主人公は都合よく話を聞いてくれて色々な想いをただ受け止めてくれる居場所のような存在に映っていたように思います。意図はどうかは別として、ただひたすらに認め受け入れるという姿勢は何かと愛されるキャラである条件なのかもしれません。ですが、時には譲れないものの為にそういった期待をはねのけてきっぱりと意思を通すことも大切なのかもしれないですね。