1st. blog by Adachi
「言うべきことを言い合える」これは組織が停滞せず、成長し続けるために重要な要素です。ところが、会議の空気感やマイクをオンにするタイミング、相手への気遣いなどによって意見を飲み込んでしまう、このような状況をみなさんも経験されたことがあるのではないでしょうか。そのような少しの「ためらい」が、組織の判断や成長スピードに影響すると頭では分かっていても、言い出せない、マイクをオンにできない。この「ためらい」の要因の一つに、相手をよく知らない/相手との関係性を築けていないことが挙げられます。
私たちの会社では、「言うべきことが言い合える組織風土」の構築を目指し、施策の1つとして2022年度から大三島(オオミシマスペース)で何度か企業合宿を行ってきました。ご存じのように、大三島は本州と四国の間にあり、「しまなみ海道」を通って陸路でたどり着くことができます。2泊3日の濃密な共同生活を通して、(仕事以外の面を含めて)お互いの人柄や考え方の深い部分を知り合うことができ、関係性が大きく改善したと思っています。このコラムでは、組織風土に課題感を持つマネージャー層のみなさんや、HR担当のみなさん、またはシンプルに大三島に興味があるみなさんに向けて、私たちが実践してきた大三島合宿の魅力のうち、“柔らかい部分”をお伝えしたいと思います。
まず、合宿全体をイメージいただくために、私たちの合宿のある回のスケジュールを図にまとめました。改めて自分で見てもハードだなと思います笑。1泊2日では短い、3泊4日だと体力的に、また業務との兼ね合いで厳しいということで、私たちは2泊3日を基本としていました。初日を木曜日とし、最終の土曜日は移動のみにすることで、組合員のみなさんにも配慮しています。このスケジュールをベースに、別の予定が入っている参加者は、適宜抜けて個室に移り、オンラインで会議に参加していました。ちなみにエンドレス懇親会やアクティビティー(たとえば釣り)は、あくまで任意参加です。
ある回の合宿スケジュール
<① ちょっと不便、だから共同生活>
大三島にはタクシーは2台しかありません。なので、お店で夕食をとってお酒を呑むと、その後の移動に困ります。ですので、必然性に駆られて、私たちは合宿先(オオミシマスペース)のキッチンを利用し、自分たちで夕食を作ります。よく「同じ釜の飯を食べる」、と言いますが、「一緒に作った同じ料理をみんなで食べる」これがとてもよかったです。参加者間の一体感が生まれました。
調理のフェーズは、基本的にクリエイティブなタスクということもあり、みんなでワイワイと吞みながら進めます。各人の調理スキルに合わせて、普段の業務とは全く異なる役割分担が自然とできあがり、それぞれ動きます。料理が得意な人は、食材を切ったり、火力を調整したり、味付けをしたり、率先して動きます。他方、料理が得意でない人は、洗い物をしたり、配膳の準備をしたり、サポートに徹します。メニューは、私たちの場合はおつまみ系が中心でした。
私も料理は好きな方なので、パスタ(ほうれん草とベーコンのクリームパスタ、アイスプラントのペペロンチーノ、茹でないアラビアータ)やチキングリル、猪レモン鍋、鯛めしなどを作りました。それまでは家族以外に料理を振る舞うことはほとんどなかったのですが、参加者が「美味しい!」と言って食べてくれると嬉しくなりました(非地位財価値ですね)。調子に乗って、次の合宿に備えて家で新しい料理に挑戦したりもしました。
片付けフェーズ(次のエンドレス懇親会の最中)では、片付けスキルに関わらず、酔っていないメンバが食器を洗うなどの片付けをしてくれました。
オオミシマスペースの増田さん一家をはじめ、地元の方にゲスト参加いただきながら、大三島の素晴らしさや大変さを教えてもらいました。
<②体力勝負のエンドレス懇親会>
夕食の後(というか夕食を含め)、懇親会が始まります。合宿先で寝床のある場所なので、懇親会は自然とエンドレスとなります(もちろん強制ではなく、寝たい人は途中で抜けます)。エンドレスなので、新しいビジネスに関する真面目な話から、本当に柔らかい話まで、時間を気にすることなくいろいろな話をします。会議や単発の飲み会では出てこないような会話をすることで、参加者の背景・人柄が分かったような気がしました。なお、当然ですが、懇親会のおつまみは、冷蔵庫の在庫と参加者のリクエストによって、キッチンで調理します。
あと、私たちの合宿では、なぜかスマホの音楽を伴奏にしたカラオケ大会が始まります。誰かが選曲した歌(たとえば、中島みゆきさん、シャランQさん、RADWINPSさんなど)を、みんなで大声で熱唱します。後からビデオで振り返ると笑うしかない状況なのですが、このカラオケは、その後の大阪/東京でのスナックコミュニケーションにつながっていきます笑。
朝日が出てくると、「そろそろ、寝ようか」という雰囲気になり、エンドレス懇親会は終了となります。
※このエンドレス懇親会についてはもっと詳述したかったのですが、記憶が定かでない時間帯が多く、あまり書けませんでした。
※ちなみに、私はエンドレス懇親会の全時間にわたって覚醒状態を保てた経験はありません。
<③ 大三島ならではのアクティビティーでリフレッシュ>
大三島には、大山住神社参拝、養蜂体験、ジビエ見学、サイクリングなどおススメのアクティビティーがたくさんあります。私が最も素晴らしいと感じたのは「釣り」でした。
(エンドレス懇親会を終えて束の間の睡眠をとって迎えた)朝5時30分、増田さんのボートで瀬戸内海に繰り出します。タイラバという仕掛けを使い、鯛を狙います。エンドレス懇親会のアルコールが血中に残っていそうな状態で、酒に酔っているのか船に酔っているのか分からないまま仕掛けを上下させること30分、ビクビクと当たりを感じました。増田さんのアドバイスに従って、はやる気持ちを抑えてゆっくりとリールを巻くと、、、なんとお目当ての鯛が釣れました!30cmあるかないかと小ぶりでしたが、私が生まれて初めて釣った鯛でした。2022年度で最高の感動でした。
釣り上げた鯛は、夕食時に鯛めしにしました。これまでに食べてきた鯛めしは何だったのか?というくらい身が柔らかく、ケタ違いに美味しかったです。
※この体験が良すぎたので、後にプライベートで家族とも大三島に行きました。反抗期真っ最中の長男(中学生)が鯛を釣り上げて、なんとも言えない笑顔で喜んでいました。小学生の次男には当たりが来ず、秒で釣れると噂のフィッシュパーク(大三島)に行きたいと騒いでいました。
<番外編:道中で心の準備>
本州側から大三島へ向かうしまなみ海道には、尾道大橋、因島大橋、生口橋、そして多々羅大橋があります。しまなみの島々をつなぐ橋を渡るたびに景色が一変し、大阪門真や東京での現実世界から徐々に切り離され、合宿に向けて頭と心が整うように感じました。合宿前の道中で思考をリセットできる、これは大三島ならではのよさの一つだと思います。
私たちの大三島合宿の“柔らかい部分”の特長は以下の3つです。
・2泊3日にわたって共同生活をする
・一緒に作ったご飯をみんなで食べる
・エンドレスで対話する
これらによって、参加メンバ間の関係性が向上し、「言うべきことを言い合える風土」のきっかけ作りができたのではと考えています。
HR総研さんのアンケートによると、約7割の組織において社内コミュニケーションに課題があるとされています(https://www.hrpro.co.jp/research_detail.php?r_no=357)。大三島合宿はその課題を解く有力な手段になり得る可能性があります。ぜひ、みなさんも体験してみてください!