2023 October
5 October 2023: 3 pm - 5 pm
登録フォーム(Registration form):
https://forms.gle/PnEx96W2hSkkLCxg7
登録締め切り(deadline for registration):
9月30日17時 (5pm on 30 September)
Speaker:
中学時代までは理科が好きだったのですが、高校の時の数学の先生がとても面白い先生で数学に興味を持ちました。また、その頃から計算問題よりも証明問題の方が好きだったので、数学者に向いていたのかもしれません。学部生の頃は、数学者になれたらいいなと漠然と考えていたのですが、テキスト輪読セミナーのスタイルの授業で代数幾何学と出会い、大学院でも代数幾何学を専攻しました。私の研究テーマは極小モデル理論というものです。1990年にフィールズ賞を受賞した森重文先生の論文が発端となるテーマですが、現在も未完成の理論です。研究を始めたばかりの頃は極小モデル理論を完成させる気満々でしたが、そう簡単に完成できる訳もなく、現在も道半ばという状況です。助教になるための就職活動はかなり大変でしたが、今年度より新潟大の助教として幸いにも研究を続けることができています。
Until junior high school I liked science, but my math teacher in high school was so interesting that I became interested in mathematics. Already around that time, I liked proof problems more than calculation problems, so I may have been cut out to be a mathematician. When I was an undergraduate, I had only a vague idea that it would be nice to become a mathematician. Then I encountered algebraic geometry in a text-reading seminar style class, and majored in algebraic geometry in graduate school. My research topic is Minimal Model Theory. The theory originated in a paper by Professor Shigefumi Mori, who won the Fields Medal in 1990, but it is not established completely. When I just started my research, I was full of desire to complete the minimal model theory but of course, it is not an easy task, and I am still halfway to reach the goal. The job search to become an assistant professor was quite hard, but I am fortunate to be able to continue my research as an assistant professor at Niigata University from this year.
Title (first part):
双有理幾何学と極小モデル理論
Birational geometry and minimal model theory
Birational geometry and minimal model theory
Abstract (first part):
代数幾何学の中の双有理幾何学は、代数多様体を「双有理同値」という概念を用いて分類することを目的とした分野である。大まかに言えば、2つの代数多様体の構造が``ほぼ全ての領域''で同じなら同一視し、これから定義される同値関係を双有理同値という。双有理同値による分類では、幾何学的な不変量などを調べる際に、同値類の中で良い構造を持った代数多様体を見つける必要がある。この「良い代数多様体」を見つけるための手法の1つとして極小モデル理論が提唱されている。本講演では、双有理幾何学と極小モデル理論の概論を説明する。
Birational geometry, one of themes in algebraic geometry, aims to classify algebraic varieties using "birational equivalence'". Roughly speaking, the birational equivalence is a equivalence relation defined by identifying two algebraic varieties whose structures are the same almost everywhere. For classification using the birational equivalence, we need to find an algebraic variety with a good structure with which we compute several geometric invariants. Minimal model theory is one of methods to find such a good algebraic variety. In this talk, I will explain an overview of birational geometry and minimal model theory.
Title (second part):
車椅子利用者として
As a wheelchair user
As a wheelchair user
Abstract (second part):
私は移動の際は常に車椅子を利用しているので、出張の際も常に車椅子で移動しています。出張の準備や出張中の移動どのようにしているのかを経験を交えてお話しできればと思います。また大学での講義の方法や活動も紹介したいと思います。
I use a wheelchair at all times to move around, so I also use a wheelchair when I go on business trips. I would like to share my experiences about how I prepare for business trips and how I move around during such trips. In addition, I would like to introduce how I teach in courses in the university and the activity at the university.
Discussion Theme (second part):
ハンデキャップをもつ人の働く環境
Work environment of persons with disabilities
Feedback from participants:
体に障害を持つ方のための事務補佐員がいれば、出張の時の下調べ、ホテルの予約、連絡などを補佐員の方にお願いできると、時間節約多少できると思います。
ハンディキャップがある人向けの情報(障害者用トイレ、車椅子でも通れるルートなど)として何を用意すべきかの一般的リストがあると便利。数学の研究集会特化型のもの。
車いすゆえに数学研究に何らかの影響があったかどうかの議論がなされなかった
電車や駅、道などで、車椅子の方やベビーカーを使っている方、高齢の方など、目の前の方が困っていそうな時に声をかけることが日本ではなかなかできていない、という話になりました。理由として、声かけの仕方がわからない、サポートの仕方がわからない、断られた時になんとなく感情として落ち込んでしまったりする、といったことが挙げられました。最後の感情の面については、サポートを断ったり断られたりを感情とは切り離してもっとドライにできた方が、頼んだり頼まれたりもしやすくなり、皆がもっと快適に過ごしやすいのではないか、という意見が出ました。また、声のかけ方やサポートの仕方などは学校の授業やFDなどで具体的に教えると良いのではないか、という意見がありました。ハンディキャップがあると、タクシーを利用したり利便性の高いホテルや一定の広さのあるホテルを使うなど、必然的に余計な出費がある場合があり、こうした出費への研究費の使用について個々の当事者が大学に相談して対応するのではなく、必ず必要な金額が支給されるように国全体などでの統一の制度が必要なのではないかという意見がありました。これは必要なことだと思います。当事者の方々だけが声をあげてもなかなか数としては届かない可能性がありますが、怪我や病気など色々な理由によって誰もが当事者になりうることでもあり、皆で声をあげていく必要があると思いました。
当事者から直接意見が聞けたとても良い機会となりました。その中で、日本人は潜在的にはっきりと(お手伝いしましょうか?など)物を言うのが比較的苦手だという話が多く出ていたのが印象的でした。しかし、この点は若い段階における教育のあり方(ハンディキャップがある人がどの様な風に日常を捉えているのかを想像できる力をつける方法)やデジタル技術を第三者的に用いてその様な日本人的な特性をカバーする事で乗り越えることができる可能性があるのではないかと感じました。
ハンディキャップを持つことは,誰にでも起こり得ることです.人の痛みではなく自分の痛みとしてきちんと対応しなければならないと思います.特に日本では社会の取り組みも人々の対応もよく言えば遠慮がち,悪く言えば見ないふりが多いと思います.小さい頃からどう対応すべきか,もっと学ぶ機会を作るべきだと思いました.
Tea time で話された,ハンディキャップを持ち困っている人と助けたい人をGPSなどを利用してリアルタイムでマッチングするアプリ誰か開発してくれないかな,と思いました.
我々のルームでは様々な意見や考えが出て,まとめきれないため,箇条書きで共有します:
* 車椅子利用者の出張についていくことのある方の経験:思いもよらないところに障害物など問題があるので,やはり一緒に行ってみないとわからない部分が大きい.また,本人から全部言っていただくのも難しいところがある.
* イギリスの大学では,地面まで下がる黒板があり,車椅子利用者は使いやすかった(数学者はとくに黒板があるとありがたい).
* 研究集会の後の懇親会で,車椅子で入れない場所にしているときがある.
* 研究集会の主催者として,体の不自由な方に対応できるようにするには,対応しないといけないことが増えて,実行が難しいときもあるだろう(サポート事務の人数を増やすなど).
* 研究集会で体の不自由な方に参加しやすくしていただくには,どんなことができるかをリストアップしたものがあるとやりやすい(開催が決まってから考えるのが大変ですし,気づかないこともたくさん出てくるだろう).
* 駅などはアクセシビリティに関する情報がウェブなどで公開されたりするが,大学のキャンパスについてはそれに該当する情報がまだない.
* 体の不自由な方に対応するまたは同行する経験がないと,直面しているハードルになかなか気づかないが,今日の談話会で話を聞けてよかった.
* 大学の合理的配慮に関するFDや研修が数年前と比べて増えていて,進歩が感じられる.時間が無かったため、第二部は欠席したが、第二部の議論のテーマに関心が無かった訳ではない。しかし時間と心に余裕があるときでないと、関心の範囲を広げることは難しい。