2022 November
24 Nov 2022: 1 pm - 3 pm
Speaker:
長田 まりゑ 氏(大阪教育大学)
Marie Choda (Osaka Kyoiku University)
兵庫県の最西端(上郡町)で育った私は、1人っ子で数学が好きだったせいもあり、大学卒後は、上郡高校の数学教師になるんだと考えていました。で、選んだ大学が大阪教育大学(とうじは、学芸大学)。そこで、巡り合ったのが、中村正弘先生であり、作用素環でした。卒論ゼミは、とても楽しくあっという間の一年でした。採用試験合格の報告をした時、先生に大学に残るように勧められたのですが、嫌だと断りました。何度もこのようなやり取りの末、結果として大学に残る道を選択し、作用素環の世界を楽しみながら、大阪教育大学で定年を迎えました。
I grew up in the westernmost part of Hyogo prefecture, in the town of Kamigori. Being an only child and having love for mathematics, I thought that after graduating from university, I would become a mathematics teacher at Kamigori High School. So I chose to study at Osaka Kyoiku University (called Gakugei University at that time). There, I met prof. Masahiro Nakamura and his research on operator algebras. My graduation thesis seminar was a lot of fun, and the year went by very quickly. When I reported to prof. Nakamura that I had passed the employment examination, he suggested that I stay at the university. I refused. After many such exchanges with my supervisor, I finally decided to stay at the university. I was enjoying the world of operator algebras at Osaka Kyoiku University until my retirement.
Title (first part):
作用素環の世界への散策
A short trip to the world of operator algebras
Abstract (first part):
作用素環論はJohn von Neumannにより(??作用素環におけるあらゆる科学現象を捉えるため??)構築されました.作用素環はヒルベルト空間上の線形作用素の作る環で,さまざまな分野:ほとんど全ての数学,数理物理,(エントロピーのような)情報理論分野と関わっています.作用素環の世界へ,私好みの散策をしてみましょう.
The Theory of Operator Algebras was founded by John von Neumann (?? to Catch all scientific phenomena in the Theory of Operator Algebras??). Operator Algebras are the algebras of linear operators on the Hilbert spaces. The Theory has connections with a lot of areas: Almost all fields of Mathematics, Mathematical Physics, Information theory (like “Entropy”), The target of this talk is young mathematicians who are not operator algebraists. Let’s take a walk in the world of Operator Algebras, just only to my taste.
Title (second part):
数学あれこれ
Maths: This and That
Abstract (second part):
数学を通して巡り合った各種の状況に関する内容についての雑談。例えば、
*)数学者に対する他分野の人々の見方
*)研究会での付録事項
*)一番研究に適している場所はどこだろうか?
等
I would like to informally chat about various situations and experiences that I came across through my commitment to mathematics. The topics may include, for example,
*) How people from other fields view mathematicians.
*) Marginal issues on workshops.
*) What is an ideal place for doing research?
Discussion theme (second part):
研究集会開催時に工夫や注意していること
Things I care about and try to improve on when organizing workshops
Feedback from participants:
グループ4のファシリテーターでした。
まず、長田先生のお話に出てきたJonesの言葉をきっかけにして話しました。個人的な解釈を含めた上でまとめると、非数学者に向けて数学者のことを説明するのは簡単ではないけれど、変に迎合するのではなく、諦めずに正面から伝える努力をすべきではないかという方向に話は向かいました。また各種の学問の中で、ふつうは「理系」であるとされながらも実際には「文系的」な側面も大きい数学は特殊な位置にあり、文理融合の橋渡し的な役割を果たせるのではないか、それだけにもっと自信をもって前に出ていっていいのではないか、という指摘もありました。
研究集会開催時の工夫については長く時間を取れませんでしたが、幅広い人選をして多分野の人を呼び込むこと、(日本の)若い人にとって海外の著名な研究者に直接会う貴重なチャンスなのだからその機会をきちんと作ること、といった話が出ました。tea time でしたが,竜巻で家を失った話は衝撃的でした.またそれを乗り越えられたお話も感動的でした.このようなお話が聞けると,人生には色々なことが起こりうるのだ,そしてどんなことが起きようと乗り越えられると,実感でき,力が得られます.
初めてで何も準備なく参加してしまいましたが,時間も短いので,テーマを絞るのならば(必ずしもその必要もないかもしれませんが),もう少し考えてから発言すればよかったと反省しました.
業績のある先生方と一緒で始めは緊張しましたが、親切な司会のおかげで気楽に話せました。民間の数学愛好者が参加し易いです。
研究集会を行う際に気をつけていることとして、講演者の性別や所属先の地理的な偏りが出ないようにということを考えているという意見がありました。一方で、こうしたことを重視した結果、分野の偏りが出てしまうなどの難しさがある、という意見もありました。また、同じ分野でも研究テーマの幅が大きくなりすぎていて、ある程度テーマの近い人を集めるなどの工夫が必要となっている、という意見がありました。
研究集会の開催場所について、研究者の持つ様々な背景から〇〇には行きたくない、といった事情がある場合もある、ということが話題になり、長田先生のお話の中にもありましたが、数学の研究も政治や社会の状況とけして切り離せないということをあらためて感じました。
現在大学に所属されていない研究者の方から、セミナーや研究集会、図書館等へのアクセスが難しい、という意見がありました。大学への所属の有無に関わらず、知り合いのいない研究集会への参加は難しい、ということも話題となりました。興味を持った人が参加しやすい研究集会をどのように実現するか、は今後も重要なテーマだと思いました。