2024.06.05|Wed.
2024.06.05|Wed.
皆さんはスポーツをしたり、教えたり、見たりする際、「上手い人と下手な人の動きは何が違うのか?」、
「なぜ人はそのような動きを選択するのか?」、
「競技パフォーマンスを高める,あるいは怪我のリスクを低減するにためにはどのような動作が良いのか?」、
「身体運動がどのようなメカニズムによって成立しているのか」といった疑問を持つことはありませんか。
私が専門とするスポーツバイオメカニクスでは、このような疑問に答えるため、
ヒトの身体運動を力学という眼鏡を通して観察します。
今回は進行中の研究から、最近行った2つの実験を紹介します。
1つ目は砲丸投げに関する研究です(鹿屋体育大学の宮崎輝光先生、湘南工科大学の加藤忠彦先生との共同研究)。
砲丸投げでは、リリースに至るまでにターン動作を行う回転投法が主流となっています。
この研究では、選手指導の基礎的な知見を得るために、
ターン動作中の身体の力学的エネルギーが投じられる砲丸に着目するか、
競技パフォーマンス向上に影響する動作は何かを明らかにします。写真は鹿児島県の鹿屋体育大学にて行った実験の風景です。
研究施設に内にサークルを仮設し、モーションキャプチャで選手の動作を、
フォースプレートと呼ばれる機材で選手が地面を蹴る力を測定しました。
2つ目は着地動作のメカニズムに関する研究です(鹿屋体育大学の宮崎輝光先生との共同研究)。
砲丸投げと同様に、台上から人が飛び降りる際の着地動作と地面を蹴る力を測定しました
(写真は東洋大学内で行った予備実験)。
台の上から人が飛び降りるとき、着地時に人が保持する運動エネルギーは着地動作中に各関節で吸収されます。
本研究ではその過程における各関節の役割や、着地時の姿勢が下肢関節におけるエネルギー吸収に与える影響などを
明らかにします。様々なスポーツにおいて着地時に前十字靭帯損傷などが起こることから、
着地動作について理解を深めることは、競技パフォーマンス向上だけではなく傷害予防の観点からも重要です。
どちらの研究もこれからデータ分析を行う段階ですが、学内および共同研究先の先生方と議論を重ね、
良い知見が得られることを期待しています。
実験風景(砲丸投げ)
モーションキャプチャの画面(着地動作)