既往歴・合併症の確認と並行して、前治療薬・併用薬の確認をします。前治療薬というのは、同意取得時までに使われていた薬剤で、併用薬というのは同意取得時から最終観察までの間に使用された薬剤です。カルテと症例報告書で整合しているかどうかを確認します。確認する内容は、薬剤名だけではなく、投与量や投与経路なども含みます。それと、前治療薬・併用薬の投与目的が、既往歴・合併症と整合しているかです。もし不整合がある場合には、どちらかの情報が誤っているか、どちらかの情報に漏れがあるかですので、そのような情報の不備を確かめながら、必要な修正を施設に要請し、正しいデータにしていきます。
それから、前治療薬・併用薬が、除外基準に抵触しないかどうかを確認します。例えば、除外基準の中には、ある特定の薬剤を投与している患者は治験に参加できないという規定がある場合があります。除外基準に規定のある薬剤が投与されている患者は、治験への参加ができません。だからといって、この治験に参加するために、除外基準に抵触する薬剤の投与をやめるということも、倫理上の問題があります。モニタリングでは、そのような行為がないかどうかの確認も必要です。但し、プロトコル上、同意を取得した後に、除外基準に抵触する薬剤をウォッシュアウトすることが許容されている場合があります。その場合は、プロトコルの規定に沿って、ウォッシュアウトされているかの確認をします。
前治療薬については、既往歴と同じように、例えば除外基準に、治療期開始日前何週以降に、ある特定の薬剤を使用した患者は除外という規定がある場合があります。したがって、前治療薬の終了日が、基準に抵触しないかどうかの確認をします。
併用薬については、除外基準の規定の他に併用禁止薬の規定がありますので、併用禁止薬に該当しないかどうかの確認をします。また、併用制限薬、すなわち一定の条件の下であれば併用が許容されている薬剤の規定がある場合がありますので、併用制限薬に該当する場合は、併用できる条件の規定通りかどうかの確認をします。
そして、治験中に併用薬を見る時には、新たな併用薬が開始されていないか、使用されていた併用薬が中止されていないか、今までと違う併用薬に変更されていないか、用法用量や投与経路が変更されていないかどうかを確認します。もし、これらのケースがある場合には、その理由を確認します。つまり、何か有害事象があったのではないかという視点で確認します。中でも見落としがちなのが、併用薬が中止された場合です。通常の感覚ですと、何かしら併用薬の投与目的となっていた疾病が治癒したために、併用薬が中止されたと考えがちですが、被験者の体調に不都合なことがあって、つまり有害事象があったために併用薬の投与を中止するというケースもあり得ます。併用薬が中止されたり、減量されたりした場合も、有害事象を疑って、その理由を確認しましょう。