IRB初回申請は、統一書式3の治験依頼書を病院長に提出し、これに添付する形で審査に必要な資料を提出します。提出方法は施設によって様々です。例えば、何部必要かとか、資料の閉じ方の順番とか、締切りは開催日の何日前とか、GCPで規定されている資料以外にも提出が必要な資料があることも。最近は、電磁的に提出する施設も増えています。不明な点は事務局へ確認し、手違いが起こらないように注意しましょう。
SMOが事務局業務を受託している場合と、自施設で治験事務局を運営している場合がありますが、特に大学病院や市立、県立でSMOが入っていないところでは、施設特有の手順が複雑で、官僚主義的な傾向があります。複雑な施設を担当する場合は、恥ずかしがらないで、社内の先輩、上司にも積極的にアドバイスを仰いでください。過去に同じ施設を担当したことがある人がいれば、とても助けられると思います。
IRBに提出する審議資料は、施設特有の資料と、プロジェクト共通の資料の大きく二種類に分けられます。施設特有の資料というのは、合意の後に作成を依頼してきたもの、例えば同意説明文書、分担医師の氏名リスト、責任医師の履歴書、被験者に支払う費用の資料、必要な場合には治験参加カードや被験者募集の手順の資料があります。施設ルールで必要な場合は、分担医師の履歴書も用意します。
分担医師の氏名リストは、統一書式2の分担医師・協力者指名リストを使用している施設が多いですが、必ずしも書式2である必要はありません。名前のリストがあればOKです。施設によっては、書式2を使いつつも、病院長の了承日が空欄の状態でIRB審議資料とする場合もあります。
プロジェクト共通の資料は、プロトコル、すなわち治験実施計画書本体と、それに付随してくる別紙、そして治験薬概要書、新たな安全性情報等です。新たな安全性情報については、初回IRBの治験依頼書を提出する日までに発行されているものが対象です。それから、必要な場合には症例報告書の見本。最近はEDC治験がほとんどですので、症例報告書の見本は不要なことが多いです。その他、被験者へ交付する日誌類が該当します。
そして、提出の締切日についてですが、色々な事情で間に合わないことが度々発生します。例えば、同意説明文書の作成に時間がかかったり、そもそも合意からIRB締切日までの日にちが最初から無かったりすることがあります。そういうときは、一度は治験事務局に相談してみましょう。締切りより何日遅れそうかを明確にして相談すれば、遅れても受け入れてもらえることもあります。
締切りに間に合わないなら、次のIRBに回せばいいのにと思うかもしれませんが、次のIRBに回せば、治験の開始時期もその分遅れる訳ですから、これまで予定していたエントリープランが狂います。それに、開始時期が遅れても終了日は変わらないので、エントリー期間が短くなって、症例の確保に不利になってしまいます。これは治験責任医師にとっても依頼者にとっても好ましくないです。
しかし、締切日当日とか前日に相談をするのは、やめてください。相手も、急な相談をされても困ります。間に合わない可能性が出てきたら、可能な限り早めに社内で相談し、それから施設と相談しましょう。
IRB当日は、CRAが出席して、そこでプロトコルと治験薬の概要を説明する場合があります。IRBでは、施設のスタッフに説明するのとは違って、非専門委員が必ずおられますので、非専門家にもわかるように説明しないといけません。特に略語を使ってしゃべると、何を言っているのかわからなくなります。難しいプロトコルより、同意説明文書を読んで出席される委員も多いです。同意説明文書で使われている用語に合わせて説明するといいと思います。
依頼者は審議には参加できませんので、説明が終わったら速やかに退室しましょう。
また、責任医師が説明を行うIRBもあります。その場合は、事前に責任医師と説明資料の内容を打ち合わせておきます。