CRC 説明会の内容は、EDCやIWRSの細かい使い方、院内での治験業務をコーディネートするための情報としての各種検査の手順、症例管理手順と症例管理ファイルやツールの使い方等です。
症例管理ファイルというのは、被験者ごとに1冊のファイルを作成して、被験者のビジット毎に、そのビジットで使用するツール類、例えばCRCタスクのチェックシートやワークシート、被験者に手渡す患者日誌などを、一つのポケットにまとめてファイルしたものです。最近は、症例ファイルを依頼者側では提供しないケースもありますが、一般的には依頼者側で作成し、施設へ送ることが多いです。このツールの中のワークシートは、施設での運用に応じてデザインを変えたいという要望も少なくなく、その場合には、事前に電子ファイルで施設に提供しておきます。
なお、ワークシートは、元々はカルテシールと呼んでおり、治験特有の診察情報を記入する、紙カルテに貼付するためのシールで、カルテの一部になっていました。しかし現在では電子カルテが普及して、カルテとは別の存在となり、カルテと症例報告書の中間産物です。カルテとワークシートで記載が重複するケースも出てきますので、項目によって、何が原資料かを特定しておきましょう。
その他、症例ファイルには、同意説明文書、補償に関する説明資料、他院へのレターのフォーマットや、治験参加カードが含まれます。
補償に関する説明資料というのは、治験中、副作用が生じた際に受けることができる補償の内容を説明した資料で、同意説明時に被験者へ提供されます。
他院へのレターというのは、被験者が他院を受診している場合には、その他院に、当被験者が治験に参加していることを伝えなければなりませんので、そのためのツールになります。
治験参加カードは、被験者が、治験中に他院や他科を受診するときに提示するカードです。そのカードには、その被験者が参加している治験の概要やスケジュール、治験中に併用が禁止されている薬剤などの情報が書かれています。被験者の安全を守るためのツールです。
このような資料の内容、使うタイミング等を説明しながら確認していきます。
その他、併用禁止薬剤のチェックを行うためのリストや、被験者の来院日を管理するためのツールなどがある場合には、それらの説明をします。