臨床検査については、まず検査結果の原資料が保管されているかどうかを確認します。もし原資料が無い場合には、検査そのものが実施されたのかどうか、実施されているけれども、原資料がどこかに行ってしまったのかが問題となります。そして、検査結果の原資料には、責任医師又は分担医師が、それを確認した日付、署名、それと確認結果を記載しているかどうかを確認します。確認した日付については、結果が判明した日から遅すぎないことがポイントです。遅すぎる場合は、被験者の安全性が確保された状態で試験が実施されているとは言い難いので、院内手順の状況を確認し、被験者の安全性が確保されるように、検査結果をタイムリーに医師が確認するように依頼をします。
そして、検査結果については、まずベースラインでは、異常値の有無を確認します。ベースラインとは、治験薬投与開始時の値で、今後の治験薬投与後の推移を比較するためのベースになるものです。ベースラインの異常値は、合併症と整合しているか、除外基準には抵触していないかを確認します。プロトコルによっては、特定の臨床検査値について除外基準を設けてある場合があります。
それ以降の臨床検査値については、悪化変動の有無について確認します。悪化変動というのは、ベースラインと比較して悪化方向に変動している異常値のことを言います。単純に、値が異常値を示しているというだけでは問題はありません。例えば、ベースラインそのものが異常時で、治験薬投与開始以降も異常値だが、改善方向に変動している場合は問題とはなりません。あくまでも、ベースラインと比較して悪化している異常値かどうかという視点で確認をします。そして、悪化変動の場合には、それが有害事象なのかどうかという確認を、担当の医師に確認をします。また、悪化したことによって、その異常値が中止基準に該当しないかどうかということも確認します。
その他、検査の実施日が規定の範囲内であるかどうか、検査実施者が適切か、例えば採血をしたのは、それをすることができる看護師等であるかどうか、検査結果を評価しているのは、治験の責任医師又は分担医師かどうかです。採血というのは医療行為ですので、派遣CRCはできません。また、治験の検査ですので、その評価は、この治験に参加している責任医師・分担医師が行っている必要があります。
更に、検査の実施項目に抜けがないかどうか、検体の異常や、検体処理の手順に不備がないかどうかも確認します。