合併症とは、同意時または治験薬投与開始時に存在している疾患を言い、どの時点を基準にするかはプロトコルによって異なりますので、プロトコルか症例報告書の記載要領を参照して確認します。そして、それよりも前に治癒している疾病は、既往歴とします。既往歴・合併症を確認する時には、カルテの記載と症例報告書の記載に矛盾が無いかどうかを確認します。もし矛盾が有る場合は、どちらが誤っているか、どちらの記載が不足しているかなど、矛盾の理由を確認します。カルテを確認する時には、傷病名だけを拾うのではなく、手術や処置がある場合には、その対象となった傷病等も確認します。また、既往歴・合併症に使われた薬剤、すなわち前治療薬・併用薬と整合しているかどうかも確認します。
カルテには保険病名が記載されていることがあります。保険病名の場合は、その目的が何か、例えば検査を実施するためか、薬剤を処方するためか、保険病名の目的を確認して、その病名が保険病名であることを確認します。保険病名については、実際に罹っている病名ではありませんので、症例報告書には記載しません。しかし、保険病名の理由となっている検査の結果や、薬剤の処方目的について、新たな合併症や既往歴、或いは有害事象が無いかどうかを確認しておきましょう。
このようにして、既往歴・合併症を拾ったら、それらが除外基準に抵触しないことを確認します。既往歴に関しては、同意取得前何週間前以内とか、治療期開始前何ヶ月前に罹患している場合は除外というような、例え治癒していても、それが最近の場合は除外基準に抵触することありますので、いつ治癒したかの終了日について、正確に確認する必要があります。例えば治験薬投与開始日前8週以内に出血があった場合は除外するという除外基準があり、その被験者に消化管出血の既往歴が有る場合には、その終了日が除外基準に抵触しないかどうか、日にちの確認を正確に行いましょう。また、除外基準の中には、合併症は除外するけれども既往歴は除外しない基準もあります。既往歴か合併症かの区別も、その根拠を確かめて、正確に行いましょう。例えば、肝機能障害を合併している患者は除外という除外基準があり、その被験者に肝機能障害の既往歴が有る場合、治癒している根拠が不明確ですと、除外基準に抵触しているのではないかと、後々に指摘を受けることがあります。合併症であれば除外となる既往歴は、治癒していることを確実に確認しておきます。
また、既往歴・合併症の症例報告書への記載方法が、その傷病により異なる場合があります。そのルールは症例報告書の記載要領などで確認し、その規定通りに症例報告書が作成されているかを確認します。