安全性情報とは、他の施設から報告された重篤な副作用等の発現状況の一覧(GCP第20条第2項)や、被験薬と同一成分のものに対して措置が実施された場合の報告、研究報告などがありますが、CRAが扱う最も頻度の高いものは、他施設で発生した重篤な副作用情報の中でも未知の、個別症例報告です(GCP第20条第3項)。したがって、この先は、他施設で発生した未知の重篤な副作用情報に関する安全性情報の伝達について見ていきます。
まず、治験依頼者は、未知(治験薬概要書から予測できないもの)を知ったときは、直ちに(30日以内に)各実施医療機関の責任医師と長へ通知する必要があります。確実にその期限を守って通知できるように、2週間の間に集積された情報を、次の2週間の間に伝達するような、2週間間隔でのルーチンなサイクルで回していることが多いと思います。
個別症例報告が発生したら、CRAは担当している実施医療機関の責任医師と長へ、すぐに伝達しなければなりません。すなわち、その時の報告に含まれている副作用情報等の中で最も古い情報入手日から、30日以内にCRAは通知しなければなりません。
責任医師に対しては、医師の見解確認も必要です。何の見解かと言うと、その安全性情報を知った上で、治験を継続しても問題ないか、治験実施計画書の変更は必要ないか、同意説明文書の改訂は必要ないか、についてです。なお、長への通知は、直接IRB(治験審査委員会)へ通知することでも構いません。このときに、統一書式16を用います。
IRBでの審議が終了したら、IRB審査結果通知書(統一書式5)を入手します。
また、未知の重篤な副作用情報等以外のものは、例えば既知のものは1年ごとに、その集積期間満了から3か月以内に通知するなど期限にゆとりがありますので、未知のものを伝達するついでのタイミングで通知することが多いと思います。