2019年9月4日
第8回研究報告会ご案内
金融プラス・フォーラム
事務局
金融プラス・フォーラム「第8回研究報告会のご案内」を送付させていただきました。今回は『電力流通とP2P・ブロックチェーン―ポストFIT時代の電力ビジネス―』(2019年5月)の著者である武田泰弘氏(TRENDE株式会社テクノロジーディレクター)をお招きし、「電力流通とP2P電力システム」と題して報告して頂きます。報告の概要は下記の通りですが、簡潔にいうと、これまでの電力会社による中央集権型エネルギー供給の仕組みを分散型にシフトするということで、その際、「P2P(ピア・ツー・ピア)」の仕組みを活用し、住宅で発電した太陽光発電などの電力を自由に売買できる電力流通市場を創設しようという試みです。そこでは、ブロックチェーン技術が活用されることになります。P2P電力システム自体が画期的なものですが、このビジネスモデルは地産地消を意味しており地域振興の観点からも注目されると考えられます。武田氏にはP2P電力取引システムを中心に報告して頂きますが、内外の電力取引の具体的な事例についてもご紹介頂くことになっています。なお、武田氏が所属するTRENDE株式会社は2017年8月に東京電力グループの子会社として設立されており、同社代表取締役の妹尾賢俊氏は日本初のソーシャルレンディング企業maneoの創業社長であり、同社退任後ブロックチェーン開発ベンチャーOrbの創業者としても知られた存在です。武田氏は同社テクノロジーディレクターを務める傍ら、東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻博士課程後期に入学し、田中謙司准教授(著書の監修者でもある)のもと研究に取り組んでいます。
今回も質疑応答を交えた活発な議論が期待されるところです。研究報告会終了後、ささやかな懇親会を催したいと思いますので、こちらの方にも是非ご参加ください(どちらかだけの参加も可です)。
[概要]
再生可能エネルギーの導入が進む中、デジタル技術を用いた分散リソースの活用に注目が集まっている。従来の電力インフラは発電、送電、配電の一方向の電気の流れを前提に設計されているが、プロシューマが増えれば電気の双方向のやりとりが想定される。そういったやりとりのすべてを中央で管理制御するのは困難である。再生可能エネルギーの普及とともに生まれた概念が消費者(コンシューマ) と発電者(プロデューサ)の双方の顔を持つ「プロシューマ」である。プロシューマ、コンシューマのやり取りを自律分散制御的に行うための仕組みがP2P電力取引システムである。電気の物理的なやり取りは従来の電力インフラ上で制約条件を考慮しつつ行われ、その電力融通のための情報はメッシュのように張り巡らされたネットワーク上でPeer to Peerにやり取りされる。また、P2P電力取引システムは需要家の近くで発電された電力を優先して使用する特徴をもつので、電力の地産地消につながる。本講演では、自律分散システム基盤に利用されているブロックチェーンなどのデジタル技術を用いた新しい電力流通システムとそれが生み出すビジネスの可能性について解説する。
記
1 テーマ:「電力流通とP2P電力システム」
2 報告者:武田泰弘(TRENDE株式会社テクノロジーディレクター)
2010年 中央大学大学院 電気電子情報通信工学研究科博士課程前期修了、ソニー株式会社入社。2012年ソニーコンピュータサイエンス研究所プロジェクトエンジニア、2016年株式会社オプトインキュベートテクノロジーディレクター、2017年東京電力ホールディングス株式会社新成長タスクフォース。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程後期入学。2018年TRENDE株式会社テクノロジーディレクター。
3 日時
2019年9月27日(金)16時30分~18時00分
報告(16:30-17:45)の後、質疑応答を予定しています。終了次第、近場にて懇親会。
4 会場
東洋学園大学 本郷キャンパス (教室:1号館3階【1301教室】)
☆東京メトロ丸ノ内線「本郷三丁目」駅(改札を出て左)徒歩4分
☆都営大江戸線「本郷三丁目」駅(改札を出て右)徒歩6分
☆JR総武線「水道橋」駅(東口)から徒歩7分
☆都営三田線「水道橋」駅(A6出口)から徒歩3分
☆東京メトロ丸ノ内線/南北線「後楽園」駅(1~3番出口)から徒歩7分。
5懇親会(18時15分開始~)
開催場所:棲鳳閣(せいほうかく)本郷三丁目店:文京区本郷2-39-6大同ビル1F(HP参照)。地下鉄丸ノ内線本郷三丁目駅、都営大江戸線本郷三丁目駅徒歩1分
TEL.050-3494-6488
6 会費
無料。懇親会は別途料金(3千円程度)
7 主催者
金融プラス・フォーラム(会長:唐木宏一)
8 過去の研究報告
<2017年>
第1回(12月):井上智洋(駒澤大学准教授)『人工知能は未来の経済をどう変えるか?』
<2018年>
第2回(3月):瀧俊雄(マネーフォワード取締役Fintech研究所長)『フィンテックのインパクト』
第3回(7月):宮村健一郎(東洋大学経営学研究科研究科長)『 アメリカ銀行業のP2Pレンディング戦略』
第4回(9月):駒井隼人(株式会社Delta Valuesチーフデータサイエンティスト)『ビッグデータから見た個人投資家行動』
第5回(12月):中村淳一郎 (株式会社IICパートナーズ代表取締役社長)『企業年金・退職金のエッセンスと企業経営に活かす視点』
<2019年>
第6回(3月):畔上秀人(東洋学園大学現代経営学部教授)『リスク評価の世代間継承-生命保険について-』、江口政宏(商工総合研究所主任研究員)『ブロックチェーンは次世代プラットフォームとなりうるか』、冨田洋介(共栄大学国際経営学部専任講師)『金融市場と経済格差に影響を及ぼす法的環境の実効性について-制定法と慣習法の相違を中心に-』
第7回(7月):牧野知弘(オラガ総研株式会社 代表取締役 / 不動産事業プロデューサー)『不動産価値革命と住宅―人生100年時代を迎えて―』