2023年1月15日
第17回研究報告会
金融プラス・フォーラム事務局
金融プラス・フォーラム「第17回研究報告会ご案内」を送付させていただきました。今回は掛下達郎先生(福岡大学商学部教授/公益財団法人日本証券経済研究所客員研究員)をお招きし、「GAFAの銀行化・金融機関化:金融化との関連で」と題して報告していただきます。デジタル革命の進展に伴いテック企業と金融機関の垣根が小さくなっていますが、米国ではアマゾンやアップルなど巨大テック企業が銀行業務や金融業務を拡大してきていることが注目されています。こうした領域に関連した研究は殆どみることができませんが、掛下教授は数少ない研究者の一人です。下段は、掛下教授から届いた報告概要ですが、金融再編が本格化している日本の金融機関はもとよりその他の業界でも大変参考になるものと思われます。研究報告に関連した論文に「アマゾンの銀行化とアップルの金融機関化:金融化との関連で」(日本証券経済研究所『証券経済研究』第115号,2021年9月)、「金融DXとリテール金融ビジネスの将来像:アメリカ巨大テック企業の事例」(ゆうちょ財団『季刊 個人金融』2022年春号) などがありますのでご参照ください(いずれもネットで取得可)。
<報告概要>
「本報告では、巨大テック企業であるGAFA(グーグル,アップル,メタ,アマゾン)がおこなっている銀行業務と金融業務についてその全体像を明らかにしたい。
本報告で考察する課題は,GAFA各社が①銀行の3大業務(預金,貸付,決済)にそれぞれどのように進出しているか,②その他の金融業務にどのように進出しているか,③とくにモバイルバンキングにどのように進出しているか,④上記の銀行業務と金融業務において,コストが削減されているか,の4点である。GAFAの中で、とくにアマゾンは銀行業務に一部進出し、アップルは負債を増やして証券投資をおこない部分的に金融機関化している。歴史的に、アメリカの製造業は何度も金融機関化してきた。しかし、GAFAの金融機関化は、テック企業としての本業の不振を補うものではない。2010年代以降、GAFA各社は純利益を増大させ、本業のテック関連の研究開発を充実させている。金融DXにおいて、革新的な銀行は、新しいテクノロジーとスマートフォンを利用して、シームレスに従来の金融業務である住宅ローンや各種保険等を提供している。GAFAは、同じく金融DXによって、決済を中心とするエコシステムの構築・発展・拡大を目指している。巨大テック企業によるコスト削減があれば,彼らの銀行業務への進出は,経済全体に対して利益をもたらす。これは,金融の本来あるべき姿と考えられる。」
研究報告会終了後、オンライン懇親会を予定しております(ビールで乾杯予定)。是非ご参加ください(どちらかだけの参加も可です)。
記
1 テーマ:「GAFAの銀行化・金融機関化:金融化との関連で」
2 日時:2023年3月12日(日)16時30分~18時00分
報告(16:30-17:45)の後、質疑応答を予定しています。終了次第、オンラインにて懇親会(18時~19時)。
3 開催方法:オンライン(zoom)
4 会費:研究報告会、懇親会とも無料
5 研究報告者:掛下達郎(福岡大学商学部教授/公益財団法人 日本証券経済研究所客員研究員)
1989年九州大学経済学部卒業、2015年九州大学より博士号(経済学)取得。1999年~2000年米国ノートルダム大学経済学部訪問研究員、2000年米国マサチューセッツ大学経済学部訪問研究員。2019年より現職。証券経済学会代表理事、公益財団法人日本証券経済研究所日米資本市場研究会メンバー、同資本市場・企業統治研究会(大阪)研究会メンバー。主要著書に『アメリカ大手銀行グループの業務展開:OTDモデルの形成過程を中心に』(日本経済評論社、2016年3月刊行:公益財団法人 日本証券奨学財団 2015年度研究出版助成/2016年度JSPS科学研究費学術図書JP16HP5156)、「現代の金融業」川波洋一・上川孝夫編『現代金融論(新版)』第7章,有斐閣ブックス,2016年など内外の金融資本市場関連の著書が多数ある。また、論文「アマゾンの銀行化とアップルの金融機関化:金融化との関連で」 公益財団法人 日本証券経済研究所『証券経済研究』第115号,2021年9月 など多数。
6 主催者
金融プラス・フォーラム(会長:唐木宏一)
7 連絡先
野澤:ZZZt-nozawakag「アットマーク」jcom.zaq.ne.jpZZZ
宮下:ZZZk-miyashita「アットマーク」yu-cho-f.jpZZZ
迷惑メール防止のため、Zを外し、「アットマーク」を@に変更してください。
8 研究報告会・会員研究発表会
(1)研究報告会
<2017年>
第1回(12月):井上智洋(駒澤大学准教授)『人工知能は未来の経済をどう変えるか?』
<2018年>
第2回(3月):瀧俊雄(マネーフォワード取締役Fintech研究所長)『フィンテックのインパクト』
第3回(7月):宮村健一郎(東洋大学経営学研究科研究科長)『 アメリカ銀行業のP2Pレンディング戦略』
第4回(9月):駒井隼人(株式会社Delta Valuesチーフデータサイエンティスト)『ビッグデータから見た個人投資家行動』
第5回(12月):中村淳一郎 (株式会社IICパートナーズ代表取締役社長)『企業年金・退職金のエッセンスと企業経営に活かす視点』
<2019年>
第6回(3月):畔上秀人(東洋学園大学現代経営学部教授)『リスク評価の世代間継承-生命保険について-』、江口政宏(商工総合研究所主任研究員)『ブロックチェーンは次世代プラットフォームとなりうるか』、冨田洋介(共栄大学国際経営学部専任講師)『金融市場と経済格差に影響を及ぼす法的環境の実効性について-制定法と慣習法の相違を中心に-』
第7回(7月):牧野知弘(オラガ総研株式会社 代表取締役 / 不動産事業プロデューサー)『不動産価値革命と住宅―人生100年時代を迎えて―』
第8回(9月):武田泰弘(TRENDE株式会社テクノロジーディレクター)『電力流通とP2P電力システム』
第9回(12月)濱口桂一郎(労働政策研究・研修機構研究所長)『人生100年時代の雇用と労働』
<2020年>
第10回(12月):駒井隼人(一橋大学経営管理研究科博士後期課程、株式会社Delta Values)・小谷野良太(株式会社Delta Values)『個人投資家は何を基準に投資の意思決定をしているか? ―株価からの一考察』
<2021年>
第11回(3月):野崎浩成(東洋大学国際学部教授)『地銀と持続可能性』
第12回(7月):森健(株式会社野村総合研究所未来創発センター・グローバル産業・経営研究室長)『コロナ禍が加速させるデジタル資本主義』
第13回(12月):清水洋(早稲田大学商学学術院教授)『流動性とイノベーション:国、企業、個人はどのように立ち向かうのか』
<2022年>
第14回(3月):鈴木隆雄(桜美林大学大学院教授、国立長寿医療研究センター理事長特任補佐)『日本の高齢者は若返っているか:科学的根拠に基づく高齢者の健康増進に関する戦略』
第15回(10月):近藤一仁(岡山商科大学客員教授)『IR(インベスター・リレーションズ)の過去・現在・未来について~変わらない IR の本質を説き、真の企業価値の向上と評価改善を提言する~』
第16回(12月):猪俣哲史(ジェトロ・アジア経済研究所 海外研究員)『グローバル・バリューチェーンから見た米中デカップリング』
(2)会員研究発表会
<2020年>
第1回(11月):宮下恵子(ゆうちょ財団ゆうちょ資産研究センター研究員)「標準世帯モデル形成の歴史的背景と就労構造の変化」、岩坂健志(新潟食料農業大学教授)「金融機能を補完する社会のあり方」
<2021年>
第2回(10月):江口政宏(商工総合研究所主任研究員)「現役世代のライフコース戦略を探る~パネルデータを用いた分析」、尾川宏豪(全国地域生活支援機構理事)「成年後見制度における後見機能の再構築―財産後見人となる金融機関」
<2022年>
第3回(7月):松澤孝紀(開志専門職大学事業創造学部専任講師)「銀行の業務範囲と手数料ビジネス」、藤井喜一郎(川口短期大学、埼玉学園大学、明治大学兼任講師)「経済経営学視点から見る日本の中小企業―『中小企業論』刊行に当たって」