第6回研究報告会

2019年2月25日

第6回研究報告会

金融プラス・フォーラム

事務局

金融プラス・フォーラム「第6回研究報告会のご案内(最終案内)」を送付させていただきました。今回は、当フォーラム主要メンバー3名(①畔上秀人氏・②江口政宏氏・③冨田洋介氏)による報告となります。テーマは、①リスク評価の世代間継承―生命保険について―、②ブロックチェーンは次世代プラットフォームとなりうるか、③金融市場と経済格差に影響を及ぼす法的環境の実効性について-制定法と慣習法の相違を中心に-です。

<報告概要>

① 畔上秀人教授(東洋学園大学)は、都道府県別に人口当たりの保険契約数・金額の多寡が年によって大きく変化しないことから、地域によって異なる人々のリスクに対する評価が引継がれていくのではないかとの仮説を検証中であり、今回はその中間報告をしていただきます。具体的には、リスクを高く見積って保険商品を購入する親と同居する子は、成人して同様な傾向を示すという仮定の下、同居率と保険商品購入割合との関係を2期間世代重複モデルで検証し、これを基にシミュレーションと実証分析を行います。

② 江口政宏主任研究員(商工総合研究所)には、仮想通貨ビットコイン相場が2017年末のピーク時価格の約3分の1にまで下落している背景には、規制や投機的な需給の影響の他、ブロックチェーン(1)の問題点と限界が浮かび上がってきたことも無縁ではないとの考察のもと、これまでに明らかになったブロックチェーンの現実面での課題を整理したうえで、経済プラットフォームとしてのブロックチェーンの可能性について言及していただきます。

③ 冨田洋介専任講師(共栄大学)には、62カ国のデータを用いて各国の金融市場に付随する法的環境(2)が金融経済の指標である株式市場の発展、銀行機能の発展、経済格差に如何なる影響を及ぼしているのかを分析(3)していただきます。法源が異なれば同一水準の法的環境を整えたとしても、法的環境を通じた金融経済への実効性は異なり、この実効性の相違は法源と法的環境の間に制度的補完性が存在するのか否かということによって左右されるのではないかとの考察からアプローチします。

(1)2008年末にビットコインの基盤技術として提唱された「分散型記帳システム」である。以後、ビットコインの将来性を評価するうえで不可分の存在として注目されてきた一方で、巨大サーバに依らない低コスト分散型のシステムとして、新たな経済プラットフォームの可能性を秘めるものとしても期待を集めてきた。

(2)法的環境として所有権の強度、少数株主保護の制度、信用情報の利便性、法的権利の強度の4種類を使用する。

(3)分析手法は、主要な法源として制定法主義と慣習法主義に各国を分類し、その法源の相違によって金融経済の発展に影響を与える法的環境の実効性が異なることを回帰分析によって確認する。

今回も質疑応答を交えた活発な議論が期待されるところです。研究報告会終了後、ささやかな懇親会を催したいと思いますので、こちらの方にも是非ご参加ください(どちらかだけの参加も可です)。


1 テーマ

① リスク評価の世代間継承-生命保険について-

② ブロックチェーンは次世代プラットフォームとなりうるか

③ 金融市場と経済格差に影響を及ぼす法的環境の実効性について-制定法と慣習法の相違を中心に-

2 報告者略歴

① 畔上秀人(東洋学園大学現代経営学部教授)

1993年東北大学経済学部卒業、98年同大学院経済学研究科博士課程修了。関東学園大学教授、京都学園大学教授を歴任後、2015年より現職。専門分野は応用経済学で、理論モデルを用いた経済成長に関する研究、市区町村単位のデータを用いた金融機関の店舗展開に関する研究、都道府県パネルデータを用いた生命保険市場に関する研究、アンケート調査に基づいた金融サービスの需要動向に関する研究など。主要論文に “Do the over-the-counter sales at banks expand the individual annuity market in Japan?” Asia-Pacific Journal of Risk and Insurance, 2014、「金融機関の店舗サーヴィス指標の再考察」『平成25年度 貯蓄・金融・経済 研究論文集』、2014年、「金融機関店舗の減少に影響を与える要因について―東北6県の事例分析―」『地域学研究』第40巻第1号、2010年、「中山間地域の金融機関利用について―二つの村で行ったアンケート調査から―」『平成18年度 貯蓄・金融・経済 研究論文集』、2007年、など。

② 江口政宏(商工総合研究所主任研究員)

1986年東京大学経済学部卒後商工中金に入庫、18年間調査部に在籍。調査部では中小企業関連調査を中心に内外マクロ経済、金融の調査も手掛ける。2014年から2016年まで一橋大学経済学部寄附講義「中小企業の経済学」担当者として講義を含む講座運営全般に携わる。2017年より商工総合研究所に入所し、中小企業研究に従事。論文として「人手不足の実態と中小企業の対応」『商工金融』第68巻第7号 2018/7、「人手不足と中小企業の非正規雇用―労働力調査オーダーメード集計を利用した分析―」『商工金融』第68巻第1号 2018/1、「中小中間財メーカーは競争力を維持できるか」『商工金融』第64巻第2号 2014/2などがある。著書には『中小企業の経済学』(商工中金編、2016年、共著)、『いま中小企業ができる生産性向上』(商工総合研究所編、2019年、共著)がある。商工中金在籍時に中小企業組合等に対する講演歴多数。メディアには日経産業新聞、日刊工業新聞などに寄稿。

③ 冨田洋介(共栄大学国際経営学部専任講師)

2002年中央大学商学部卒業後、証券会社、投資顧問会社、投信委託会社勤務を経て、中央大学商学研究科博士課程後期修了(博士:金融学)。2015年より桐蔭横浜大学法学部(~2017年)・東京女子大学現代教養学部・東洋学園大学大学院の非常勤講師も兼任、2017年より現職。金融面からのコーポレート・ガバナンスを起点として、法の起源と金融の関係およびドイツの金融制度に注力(幼少期にドイツへの滞在経験10年あり)。2019年4月より東洋学園大学現代経営学部講師就任予定。論文として「経済的不平等と経済的産出量に関する覚書-法の起源と株式市場の規模を中心に-」(『証券経済学会年報』第53号:2018年:証券経済学会「平成30年度優秀論文賞」受賞)、「個人金融資産における株式保有割合と法の起源に関する国際比較」(『生活経済学研究』第48号:2018年)、「株価超過収益率およびリスクの測度における国際比較と法の起源についての一考察」(『年報財務管理研究』第27号:2016年)、「Law and Financeの議論の変遷と比較法に関するサーベイ」(『桐蔭論叢』33号:2016年)、「ドイツにおける投資信託とコーポレート・ガバナンスとの関係について-投資信託の制度とその役割を中心に-」(『年報財務管理研究』第23号:2012年)など。

3 日時

2019年3月22日(金)16時15分~18時00分

各持ち時間35分(うち質疑応答10分)を予定しています。終了次第、近場にて懇親会。

※なお、15時~16時に同会場にて研究奨励選考委員会等を予定しております。

会員でご興味のある方は、ご参加いただけます。

4 会場

東洋学園大学 本郷キャンパス1号館3階1304教室 ※東洋大学(白山)ではありません※

☆東京メトロ丸ノ内線「本郷三丁目」駅(改札を出て左)徒歩4分

☆都営大江戸線「本郷三丁目」駅(改札を出て右)徒歩6分

☆JR総武線「水道橋」駅(東口)から徒歩7分

☆都営三田線「水道橋」駅(A6出口)から徒歩3分

☆東京メトロ丸ノ内線/南北線「後楽園」駅(1~3番出口)から徒歩7分。

5 懇親会(18時15分開始~)

会場:「たかの家」水道橋店(HP参照)

https://r.gnavi.co.jp/g220006/map/

文京区本郷1-15-2三澤ビルB1 TEL.050-3464-5902

JR水道橋駅東口徒歩3分、地下鉄都営三田線A6徒歩1分

6 会費

無料。懇親会は別途料金(4千円)

7 主催者

金融プラス・フォーラム(会長:唐木宏一)

8 過去の研究報告

<2017年>

第1回(12月):井上智洋(駒澤大学准教授)

『人工知能は未来の経済をどう変えるか?』

<2018年>

第2回(3月):瀧俊雄(マネーフォワード取締役Fintech研究所長)

『フィンテックのインパクト』

第3回(7月):宮村健一郎(東洋大学経営学研究科研究科長)

『 アメリカ銀行業のP2Pレンディング戦略』

第4回(9月):駒井隼人(株式会社Delta Valuesチーフデータサイエンティスト)

『ビッグデータから見た個人投資家行動』

第5回(12月):中村淳一郎 (株式会社IICパートナーズ代表取締役社長)

『企業年金・退職金のエッセンスと企業経営に活かす視点』