2021年6月4日
第12回研究報告会
金融プラス・フォーラム
事務局
金融プラス・フォーラム「第12回研究報告会のご案内」を送付させていただきました。今回は野村総合研究所未来創発センターの森健(もり たけし)グローバル産業・経営研究室長をお招きし、「コロナ禍が加速させるデジタル資本主義」と題して報告して頂きます。野村総合研究所では2017年度から「デジタルが拓く近未来」をテーマに幅広く取り組まれており、森室長はその中心メンバーでもあります。その成果は三部作として「世の中に提言する」として、その第一弾である此本臣吾監修、森健・日戸浩之著(2018)『デジタル資本主義』(東洋経済、2019年大川出版賞受賞)に続いて此本臣吾監修・森健編著(2020)『デジタル国富論』が第二弾として出版されています。また、森健「新型コロナウイルスとデジタル国富論」(『知的資産創造』2020年10月)では「数年分のデジタル化が数カ月で起こった」との観点から「「ウイズ・コロナ」時代を乗り越えるためのデジタル国富論」を展開しています。『デジタル国富論』では、「デジタル技術を上手に活用することで、各人が豊かな生活を送るための方策」が書かれていますが、国富の定義として「GDP+i」という指標が提唱されています。GDP(X軸)は物質的充足度、i(Y軸)は精神的充足度を意味し、両方を合わせて国民のウェルビーイング(持続的幸福度)を表しています。コロナ禍からの回復には縦横のトレードオフを乗り越える必要があるがデジタル技術がカギとしています。
著者から寄せられた講演の概要は以下の通りです。
「コロナ禍によって外出制限や営業自粛が進み、テレワークやオンラインショッピング、オンライン診療など社会の様々な領域でデジタル化が急速に進みました。デジタル技術は資本主義の姿や人間の役割、働き方などに大きな影響を及ぼしていますが、ポスト産業資本主義としてのデジタル資本主義の姿について多面的に論じていきたいと思います。」
著書のなかでは「GDP+i」に加えてaaS(アズ・ア・サービス)化、デジタル・ケイパビリティ、デジタル・コモンズなどへの言及も目をひきます。また、アダム・スミス、カール・ポラニー、フロム、ドラッカー、ハンナ・アレント、アマルティア・セン、サンデル、リフキン、宇沢弘文、岩井克人、柄谷行人、梅棹忠夫など幅広い分野からの興味ある参考文献が挙げられています。
当研究報告会においても多面的かつ斬新な内容の研究報告が期待されます。質疑応答(及び懇親会)でも活発な議論を期待したいところです。研究報告会終了後、オンライン懇親会を予定しております(数グループ分け、一定時間経過後に入替。ビールで乾杯予定)。是非ご参加ください(どちらかだけの参加も可です)。なお、今回の研究報告会は昨年3月に予定(延期→中止)していた「デジタル資本主義と産業のaaS(アズ・ア・サービス)化」をコロナ禍1年を踏まえてお願いするものです。
記
1 テーマ:「コロナ禍が加速させるデジタル資本主義」
2 日時:2021年7月4日(日)16時30分~18時00分
報告(16:30-17:40)の後、質疑応答を予定しています。終了次第、オンラインにて懇親会。
3 懇親会(オンライン:zoom):18時開始(~19時)
4 会費:報告会、懇親会とも無料
5 報告者:森健(株式会社野村総合研究所未来創発センター・グローバル産業・経営研究室長)
1995年慶応義塾大学経済学部卒業、同年野村総合研究所(NRI)入社。2005年LSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミックス)経済学修士課程修了。専門はデジタルエコノミー、グローバル事業環境分析、ビジネスカルチャー分析に基づく多国籍チーム運営。2012年より公益財団法人野村マネジメント・スクールにて企業の上級経営幹部向けの研修プログラムの企画・運営。2019年より野村総合研究所未来創発センター、2021年4月より未来創発センター・グローバル産業・経営研究室長。共著書に『2010年のアジア』『2015年の日本』『2020年の産業』『デジタル資本主義』『デジタル国富論』(いずれも東洋経済)、『グローバル・ビジネス・マネジメント』(中央経済社)などがある。
6 主催者
金融プラス・フォーラム(会長:唐木宏一)
7 過去の研究報告
<2017年>
第1回(12月):井上智洋(駒澤大学准教授)『人工知能は未来の経済をどう変えるか?』
<2018年>
第2回(3月):瀧俊雄(マネーフォワード取締役Fintech研究所長)『フィンテックのインパクト』
第3回(7月):宮村健一郎(東洋大学経営学研究科研究科長)『 アメリカ銀行業のP2Pレンディング戦略』
第4回(9月):駒井隼人(株式会社Delta Valuesチーフデータサイエンティスト)『ビッグデータから見た個人投資家行動』
第5回(12月):中村淳一郎 (株式会社IICパートナーズ代表取締役社長)『企業年金・退職金のエッセンスと企業経営に活かす視点』
<2019年>
第6回(3月):畔上秀人(東洋学園大学現代経営学部教授)『リスク評価の世代間継承-生命保険について-』、江口政宏(商工総合研究所主任研究員)『ブロックチェーンは次世代プラットフォームとなりうるか』、冨田洋介(共栄大学国際経営学部専任講師)『金融市場と経済格差に影響を及ぼす法的環境の実効性について-制定法と慣習法の相違を中心に-』
第7回(7月):牧野知弘(オラガ総研株式会社 代表取締役 / 不動産事業プロデューサー)『不動産価値革命と住宅―人生100年時代を迎えて―』
第8回(9月):武田泰弘(TRENDE株式会社テクノロジーディレクター)『電力流通とP2P電力システム』
第9回(12月)濱口桂一郎(労働政策研究・研修機構研究所長)『人生100年時代の雇用と労働』
<2020年>
第10回(12月):駒井隼人(一橋大学経営管理研究科博士後期課程、株式会社Delta Values)・小谷野良太(株式会社Delta Values)『個人投資家は何を基準に投資の意思決定をしているか? ―株価からの一考察』
<2021年>
第11回(3月):野崎浩成(東洋大学国際学部教授)『地銀と持続可能性』