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2012年10月3日

公立校のレベル維持のために、私立進学を阻止? 【野村 亮

頭の良い子が私立に行ってしまうから、結果として公立中の

レベルが下がってしまう。

確かに無くはなさそうな話だ。

しかし本当にそうなのか?

そんなの計れるのか?

いつと比べて?どこと比べて?

私立も学力的なレベルは様々だ。

必ずしも成績の上から順に抜けていくわけではないと思う。

それにそのような子達は、昔からいた。

中高一貫進学校にしても体育系学校にしても。

今に始まった話ではない。

最近、中学受験の割合が少し上がったのかもしれないが、

これは都立の中高一貫校の開設もあり、時代の流れもあるだろう。

それを言うなら都心部に近い学校の方が、より影響が大きいと思う。

ちょっと偏見があるかもしれないが、誤解を恐れずにあえて言うなら、

私立中学への進学を希望する子達の中には、いわゆる変わり者も

多いと思う。

公立に行ったら問題児になりそうな子さえいる。

それこそ、私立に行った方がお互いのためというものだろう。

計れるわけでもないものを取り上げて、「レベルが下がる」

というのは、被害妄想だ。

指導力の無さを棚に上げて、子供(または親)のせいにしている

ようにさえ思える。

より普通の子たちが集まっていると良いようにとらえられないか。

そして、問題はそこでない。

公立校のレベルが下がるから私立に行く子を減らそうとする

というのは、どういうことだ?

子供の将来のことを考えるなら、その子がより伸びる環境を

勧めるべきではないのか?

公立中のレベルを維持するために、私立の進学を留まらせる

などという動きはあってはならないと考える。

だいたい私立に行くような難しい子(頭脳的にも、性格的にも、

または身体能力的にも)を公立校に入れて、きちんと対応し

能力を伸ばすことができるとは思えない。

もちろん、その子個人のこと、またその子が志望している

学校のことをよく知った上でならば、敢えて公立を勧める

こともあり得るだろう。

しかし、こうなるとその進路相談は、それ相応の進学先の

知識と研究がなければ成り立たない。

とにかく、私立に行きたい子の邪魔をするよりもやるべきことは、

その公立校に入りたいからといって学区に引っ越してくる子が

出るくらい魅力のある学校を作り上げることだ。

それは生徒に頼る話ではなく、その学校の先生たちにしかできない。

そして、そのためになら地域の人だってたくさんの協力を

してくれるに違いない。

以上の見解は、執筆者個人の意見であり、

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