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2012年6月18日

「Yes,and…」という発想 【中野 恵一

今朝の日経新聞「春秋」に、“正面から全否定で返す

「No」。うなずくふりで欠点を突く「Yes,but…」。

そのいずれとも違う「Yes,and…」という発想”と

いうことで、建設的な議論が「価値を増やす」という

話があった。

ちょうど、“どのような教育が「よい」教育か(苫野

一徳 著)”という本を読んだところだったが、これも、

特に教育問題に関して、不毛な「宗教論争」に

陥ることなく建設的な議論をするためのアプローチ

というか考え方が非常にわかりやすく整理された

良書であった。

その「答え」は、本書の中で何度も記述されている

通り、「拍子抜けするほどに簡単」なものであるし、

おそらく実務的には多くの場合、当たり前に

なされているものの、いったん「議論」となると

エスカレートしがちであるので、ぜひ、この本の

前半部(本当に、総ページの半分以上を費やして)、

非常によく整理された、さまざまな思想の相互関係を

理解して、その上で建設的な議論をしたいものだ、

と感じた。

そういうわけで、「教育」の話は後半になってようやく

本格的に論じられるのであるが、前半部が非常に

丁寧な議論であった分、やや物足りない感じが

してしまうのは残念である。

著者自身、本書は出発点、と言っている通りだと

思うので、今後、この「教育」に直接に関わる提言が

深まることを期待したい。

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