大垣市環境衛生課編集 大垣市の身近な自然IV 「大垣市近郊 船付のトリ」より
県下でも有数のカモの越冬地として知られている、大垣市近郊「船付鳥獣保護区 」は、総面積430ha、揖斐川と牧田川が合流する河川敷とその付近の水田とか らなっています。ここは年間を通じて100種類あまりの鳥類が生息しており、 特に冬期は約7,000羽のカモ類がここを休息地として渡ってきます。
水量をたたえた揖斐川と牧田川、および水門川と多くの水路がこの保護区の中を 流れており、その間の河川敷は現在ではその多くを畑地や牧草地と変えているも のの、まだいくらかはカワヤナギやエノキなどの雑木でおおわれ、ヨシが生い茂 っていて、夏にはオオヨシキリやセッカが数多く繁殖し、カッコウがひねもすの どかな声をひびかせ、カイツブリやカルガモがひっそりと卵をかえしています。
また乾いた草地では、ケリ、キジ、ヒバリ、ホオジロなどの繁殖もみられ、春秋 の渡りの時期には各種の野鳥が訪れ、冬にはタゲリやキジバトの群れ、ノネズミ をねらってノスリがやってきます。
そして秋から春先にかけては多くのカモ類が生息し、まれにマガンやオオハクチ ョウが越冬することがありますが、多くはマガモ、ヒドリガモ、コガモ、オナガ ガモ、カルガモ、ヨシガモ、オカヨシガモ、キンクロハジロ、ホシハジロ、ハジ ビロガモ、カワアイサなどの休息地となります。またカワウやアオサギも多く、 これらの小鳥をねらってオオタカなどの猛禽類もやってきます。このように船付 保護区は水辺の鳥の繁殖地と、冬鳥の越冬地として重要なところです。
タゲリ
全長31cm。頭に冠羽のある白と黒のコントラストのきれいな大形のチドリ。 冬、水田や草地に群となっている。幅広いつばさをふわふわとさせながら飛ぶ。
アオサギ
全長93cm。サギの仲間では最も大きく、全体に灰色。飛ぶときは首をちぢめ ており、足を後ろへ長くのばしてゆっくりはばたく。夏にもまれに見られるが、 冬は数が多い。
ホシハジロ
全長45cm。中型の浸水ガモ。オスは赤茶色の頭に胸が黒く、体は全体に灰色 である。水面を走ってのち飛び上がる。湖、大きな川などに生息する冬鳥。
カワウ
全長82cm。体、首、クチバシとも長く、全長黒色。泳いでいるときは首のみ 長く水面からつき出た感じ。日によって300羽ぐらいの群れがいる。年中見ら れる。
マガモ
全長59cmでオスは頭が緑色に光っているため、アオクビとも呼ばれている。 全体に灰色で脚はだいだい色である。メスは全体に茶色。船付では一番多い種類 であり目につく。グェーグェーと鳴く。冬鳥。
ヒドリガモ
全長48cm。マガモより小さい中型のカモ。オスは顔が栗色で頭の上は白っぽ く、黒白の尻が目につく。ピューウ、ピューウと口笛のような声で鳴き、遠くま で聞こえる。船付はヒドリガモの渡来が多いことで、他の県内のカモ渡来地と比 較される。冬鳥。
オナガガモ
全長オス75cm、メス53cm。マガモよりやや小さいが首と尾が長い。こげ 茶色の頭に白い線が入っている。飛んだ時も首と尾が長く他と区別できる。メス も首と尾が長め。海岸、湖、川などに冬鳥として渡来、近年数が増えている。
キンクロハジロ
全長40cm。中型の潜水ガモ。オスは頭から背が黒く、腹は白い。頭にはたれ 下がった冠羽があり、目は黄色い。よく潜水する。淡水を好み、湖、大きな川に いる冬鳥。
オカヨシガモ
全長49cm。中型のカモで全体に灰黒色。オスは尻のところが黒い。地味で目 立たないが、県内の他の渡来地にくらべて多い。
ヨシガモ
全長48cm。中型のカモ。遠くからみるとオスは頭が大きく、ナポレオンの帽 子のような形をしている。また後ろへたれた飾り羽が目につく。ホーイ、ホーイ 、と鳴く。
カルガモ
全長60cmの一般的な大型カモ。全身茶色で顔が白っぽく、顔に2本の黒い線 がある。オスもメスも同じ色で、グエッグェッと鳴く。くちばしの先が黄色いの が他と区別する大きな特徴。多くのカモは日本では冬鳥だが、カルガモは1年中 見られ繁殖する。川や水田、池などで見られる。
コガモ
全長37cmの小型カモ。オスは栗色と緑色の顔が目につき、ピリッピリッと鳴く。川、湖、池などに冬中いる。メスは全体が茶色。船付保護区内では水門川の水門近くに多い。