昔はたくさんいた魚で、地方によってはハリウオ、ハリンコ、ハリンキョ、ハリ ンチョ、ハリンボ、ハリンパとも呼ばれ、親しまれた美しい可憐な魚です。
美しい小川などに鮮やかな色を身にまとい泳いでいました。しかし、今、私たち の前から姿を消そうとしています。何の価値もないように思われるこの魚は、自 然湧水地とか清水にしか住まず、自然環境のバロメーターとなりながら、自然を 破壊し汚してきた私たちの反省を待っています。
ハリヨの生息は、私たちの自然環境が「水都大垣」の名を永遠に残す意味でも、 現在ある市内の数少ない生息地を絶対に守り、次の世代の人々のためにも残して いくことが大切ではないでしょうか。
ハリヨは、元来、琵琶湖南東岸部と濃尾平野南西部にのみしか生息していないと 言われる貴重な魚です。
岐阜県内では、現在は、揖斐川水系の西岸部で池田町上八幡、神戸町南部、大垣 市北部、垂井町南部、養老町鷲之巣、南濃町北部等の養老山脈下の湧水地帯です 。
大垣市曽根町
昭和40年7月8日市が天然記念物に指定
かつては沼であったところを改修して、地下水をポンプアップした人工池、(約25m四方の池)である。湧き水は多く、道路を挟んで北側により大きい 池(瀬古の池)があり、そこにはハリヨが群生していた。
大垣市西之川町
昭和40年9月14日岐阜県が天然記念物に指定
ハリヨの生息地は両岸が石垣で護岸され、住宅に囲まれた水路(長さ約30m、幅1.2m)である。水源は、おもにポンプアップされた地下水である。
大垣市矢道町
昭和49年12月26日市が天然記念物に指定
池の上流50m位のところに養魚場があり、地下水をふんだんに汲上げ使用済みの清水を下へ流して、この川にはセキショウモが生えている。市が天然記念物と指定したのは周囲が50m位の小さな池である。
大垣市加賀野町
昭和61年12月12日に県の名水50選に指定された、加賀野八幡神社井戸の自噴水を利用し、周囲の水路に、平成元年3月25日、三重県藤原町のハリヨ約70匹が放流された。
水路は、長さ約40m、幅1mのコンクリート三面張水路で、年間平均水温15℃の湧き水が豊富であり生息しやすい環境となっている。平成3年1月22日、加賀野八幡神社井戸の西隣に周囲32m、面積1.2mの池が新設され井戸の自噴水を引き込まれており、平成3年4月29日地元子ども会の 手によりハリヨが放流された。現在、市内のハリヨの生息は、この水路と池が一番多いと思われる。
以上の生息場所を見ると、湧水の近くであること、農薬、家庭雑排水などが入りこまないこと、夏期水位が下がる所でも湧水がみられること、水温14℃~16℃であること、川底は砂質又は砂泥質であることなどがあげられる。
ハリヨはトゲウオ科に属し、イトヨという魚の仲間で、体長4~5cmの小魚で、 背びれに3本、腹びれ左右に1対2本、そして、しりびれの前に1本、計6本の トゲをもち、日本全国の生息分布からも非常に珍しく稀少な存在的価値があり、 生態的に巣を作る魚で特異な習性をもった可憐な淡水魚です。