1、杭瀬川のホタル
本市の西部を流れる杭瀬川に生息するのはゲンジボタルで、市の天然記念物の指定をうけている。
杭瀬川のホタルは今から300有余年前初代大垣藩主戸田氏鉄公が“天の川ホタル”と名づけ永く保護されたことがあり、昭和初期にはホタル観光船が杭瀬川に浮かぶなど多くの人々に親しまれてきた。
このように親しまれてきたホタルも、汚染と乱獲などにより一時はほとんどその 姿を消してしまったが、自然とホタルを愛する熱心な人々の努力により、ホタルの生息環境の回復が図られ、その結果、5月下旬から6月中旬には、その美しい 姿を見ることができる。
2、薬師川のホタル
赤坂西部の美濃国分寺の前を流れる薬師川は、川幅の狭い小さな川である。
この薬師川の清流に生きてきたホタルも幻となりかけていたが、近年、徐々に回復のきざしを示している。
3、金生山のホタル
金生山は、本市北西部に位置し、海抜217m、伊吹山系に属し、良質の石灰岩 から形成されている。
金生山のホタルはヒメボタルで、キセル貝などの陸生貝類を自然餌として成長するのであるが、この陸生貝類は石灰岩のある自然環境のよい場所にしか発見されず、貴重である。
ホタルは清流を好む。とくにゲンジボタルは清流にしか生息できない。
弱アルカリ性で、カルシウムイオンの多い水質で、水中への酸素補給が適当であることが大切である。
ホタルの敵 -ホタルの敵は、結果的に人間?-
洗剤などを含んだ家庭汚水の流入
農薬の漏れ
工場廃水の流入
川岸のコンクリート化や人の踏み込み
盗獲
クモの巣
コイ科の魚やアヒルなど
Ⅰ水辺かん木 サクラ・ヤナギ・カシ・ツバキ
Ⅱ水辺性植物 タデ・ヨモギ・ソバ
Ⅱ地被性植物 シバ・クローバ
Ⅲ挺水性植物 ガマ・マコモ・ヨシ・ショウブ
ホタルの発光は、雄と雌が交尾のために出会うときの信号であるといわれている 。
ゲンジボタルは雄と雌とでは、その光り方や、光の強さがちがう。強く光り、光を明滅させながら飛びまわっているのが雄で、草や木の葉の上にじっととまって 、弱く光っているのが雌である。
雄は、雌の弱い光をみつけると、飛びながら近づいて行く。そして、一段と明るく光を明滅させてこたえる。
これが雄と雌の出会いの信号である。雄は、雌の合図をみつけると、いそいで雌のそばにとんでいきやがて交尾をする。
交尾するホタル
我々は、自然の大切さを忘れ、高層ビルを建て、工場を増設し、大地をコンクリ ートやアスファルトでおおい、河川を汚染するなど機械文明を優先し、自然を破壊した。
そのような大地や小川からは、ホタルもトンボも飛び立つことはできない。
自然のサイクルを崩してきた人間は、今、自然の戒めと自然保護の必要性を重く重く感じている。豊かで、快適な生活を願ったはずの人間が、自らの生活環境を 不快なものにしてしまっているといえる。今、必要なのは、目先のことばかりにとらわれず、自然の尊さ、自然の恩恵について改めて考え、理解を深めることで ある。
一匹の虫が、一本の樹木が、そしてひとにぎりの草花たちが、自然の中の営みを通じて、どれほど我々人間に恵みを与えてくれるかを考え、その存在の尊さを知りその価値の大きいことを考えたい。
動植物たちは、自然と人間とのかかわり合いの調整者であることを・・・ 。