㈱実用技術研究室
超短パルスレーザー応用、レーザー微細加工、技術コンサルティング
超短パルスレーザー応用、レーザー微細加工、技術コンサルティング
「32. 光路設計・設定,光学素子のアライメント - 0 (Sep. 18, 2026)」,「33. 定盤面に平行にビームを通す (Oct. 7, 2026)」,「33. 定盤面に平行にビームを通す (Oct. 19, 2026)」
(Sep. 18, 2026)
「実用技術塾・改」 32 「光路設計・設定,光学素子のアライメント - 0」
「光路設計・設定,光学素子のアライメント」等に関する解説を始める.レーザー発振器を導入し,これを光源として,加工機や計測器を試作する場合等に役に立つ基礎知識・ノウハウを開示する.直接に役立つものもあるが,実際に合うように工夫が必要な場合は少なくない.そこで効いてくるのは,基本となる考え方の理解である.机上だけよりは,実際にビームを用いた経験を加えると,理解が深まり,ベースが堅固なものとなる.ここで開示する基礎やノウハウを,ビームを用いて実際に経験すること(実験)を推奨する.
その際,以下の事項に注意されたい.
「クラス2のHe-Neレーザーを光源として用いる.」
・安全のためである.可視光レーザーであれば,可視化手段を必要としない.クラス1は暗く,クラス3Bは危険である.瞬きができれば,クラス2は安全である.明るい部屋や屋外ではビームが見え難いので,暗室に準じた環境を基本とする.
・「レーザー安全講習」等では,遠隔操作を推奨し,光路は目の高さを避けて設置するように解説される.一方で,実際の光路設定やアライメント作業では,ビームをスクリーンにあてて形状等を目視確認したり,スケール(物差し)にあてて位置を読み取る.精密に合わせようとする場合,しっかり見ようとして顔,目をスポットに近づける.一寸した操作ミスで,ビームが目に入りかねないことが容易に想像できる.安全に作業を行うにはクラス2の光源に限定しておくのが良い.
・適切なレーザー保護眼鏡の着用で,高出力レーザーによる目の障害を防止できる.但し,精密な光路設定やアライメントは,当てはまらない.レーザー保護眼鏡のレーザー波長の透過率は,極僅かである.目視が必要な場合は,レーザー保護眼鏡を利用できない.
・多くのレーザー機器でHe-Neレーザー或いは赤色LEDがガイド光として用いられている.He-Neレーザーを用いた光路設定や光学素子のアライメントの経験は,実機での調整・点検に直接役に立つ.(主ビームとガイド光の高い一致度が重要となる.これについては後述する.)
・民間企業において,クラス3B,クラス4のレーザー機器の使用は,レーザー機器管理者の管理・監督下で行う.クラス2のHe-Neレーザーを用いた実験は,制約を受けない.
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(Oct. 7, 2026)
「実用技術塾・改」 33 「定盤面に平行にビームを通す」
結像等の多くの光学系では,「光軸」を基本に据えて考える.「光軸」とは,光学素子等を通る回転対称な光束の回転対称軸である.ビーム状のレーザーを引き回す光学系では,殆どの場合,ビームそのものを「光軸」とみなせる.
光学定盤面に平行にビームを通すことを基本とする.ビームのパス(経路)の経時変化を元に戻すことをアライメントと呼ぶことが多いが,定盤面に対して角度を持たせた場合に比べて平行の場合の方が,容易に精度よくアライメントできる.余程の必要がない限り,鉛直上方にビームを走らせない.ビームを目に入れてしまう事故の大半が,鉛直上方に跳ね上げたビームで生じている.
集光レンズやミラーは,ホルダ,ロッド,ロッドスタンド,ベースプレート等を用いて定盤上に保持される.振動などの影響を避けるために,定盤面からのビーム高さ(光軸高さ)は低いことが望まれる.利用するホルダーなどの光学部材の組合せによって,必要な光軸高さは決まる.この具体的な数字に合わせて定盤面に平行にビームを通すことが,目的とする光学系を構築する実作業のはじめとなる.
鉛直面内の傾斜角度を調整できるレーザーホルダー,ロッド,ロッドスタンド,ベースプレート等を組上げ,クラス2 (2M) のHe-Neレーザーを保持する.70×70×80 mm程度のサイズのマグネットベースに,長手方向を鉛直にとった30 cmスケールを,粘着テープ等で貼り付ける.一端を定盤にあてることで,再現性を確保する.真っ直ぐに立たないスケールは,剛性の高いものに取り換える.
(1) ビームがおおよそ水平に出力されるように,レーザーホルダの傾斜を調整する.
(2) レーザーの近くにスケールを置き,ビームが目的とする目盛り(高さ)にくるようにロッドを調整する.
(3) レーザーから離れた場所にスケールを置き,目的とするスケール上の目盛りにビームがくるように,ホルダの傾斜を調整する.
納得できるまで,(2),(3) を繰り返す.多くの場合,繰返しは数回で十分である.
以降,同様の作業が頻繁に出てくる.それらは全て,
(a) 川上側のターゲットで「ビームの出射点」を調整,
(b) 川下側のターゲットで「ビームの傾斜」を調整
が基本的考え方となっている.
マグネットベースと30 cmスケールは,一例である.各自,自分に合ったものを利用して良い.
定盤面からのビーム高さを計るのは最初だけであることが多い.必要が無くなったら,マグネットベースからスケールを外し,それぞれの本来の目的に用いる.
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(Oct. 19, 2026)
「実用技術塾・改」 34 「光学ベンチに平行にビームを通す」
多くの場合,光学定盤上に光学ベンチ(レール)を固定し,これを利用して光学系を構築する.レンズ等の光学素子はビームに沿って設置・配置されるが,光(ビーム)は直進するので,多くの場合光学素子等の配置は直線状となる.所望のラインに沿って光学ベンチを設置し,このベンチ上に光学素子類を置く.光学ベンチを用いない場合に比べ,光学素子類の位置・高さ・向き等のアライメント(調整,再調整)は,格段に容易になる.
光学ベンチ上に光学素子類を保持するのに,次のような光学部品の構成が用いられる.一般的な構成として下から順番に,光学ベンチキャリア,ロッドスタンド,ロッド,光学素子用ホルダ.高さの調節はロッド・ロッドスタンドにより行う.多くの光学部品カタログでは,ビームの進む方向(=ベンチの長手方向)をY軸,鉛直上方をZ軸,この2軸に直交する方向をX軸としている.光学素子のX軸方向の位置調整が必要な場合は,光学ベンチキャリアとロッドスタンドの間にX軸ステージを入れる.
光学ベンチに平行にビームを通すには,例えば次のような構成の光学部品類を用いる.下から順番に,光学ベンチキャリア,ロッドスタンド,ロッド,光彩絞りホルダ(含,光彩絞り).可能であれば,この構成を二組用意する.今回は簡単のために,クラス2 (2M) のHe-Neレーザーを光学ベンチキャリア,ロッドスタンド,ロッド,鉛直面内の傾斜角度を調整できるレーザーホルダからなる光学部品類に保持し,光学ベンチの一端に置く.He-Neレーザーの出力ビームを,おおよそ所望の高さで且つ光学ベンチに平行になるように粗調整する.光彩絞りを一組ずつレーザー出力窓の直後に置き,光彩絞りの中心高さをビーム高さに合わせる.その後,一組をそのままレーザー出力窓の直後,もう一組を光学ベンチの他端に置く.(1) 既に川上側の光彩絞りの中心をビームが通っているので,(2) 次は川上側の光彩絞りを全開とし,川下側の閉じた光彩絞りの中心にビームがくるようにレーザーホルダの傾斜を調節する,(1’) 川上側の光彩絞りを閉じ,光彩絞りの中心にビームがくるようにホルダ高さをロッドで調節する.(1’) と (2) を数回繰り返す.光彩絞りが一つの場合には,(2’) 光彩絞りを光学ベンチの他端に移動させ,光彩絞りの中心にビームがくるようにレーザーホルダの傾斜を調節する,(1“) 光彩絞りを出力窓直後に移動させ,光彩絞りの中心にビームがくるようにホルダ高さをロッドで調節する. (1”) と (2’) を数回繰り返す.
上述の説明に従い,ビームを平行に通すことができたならば,幸運である.多くの場合,X軸上のレーザー出力窓,光彩絞りの中心の座標が異なっていることが支障となる.
(a) 同じ型番であってもロッド,ロッドスタンドの組合せでX軸上の光彩絞りの座標は異なる.同じ座標となるロッド,ロッドスタンドを二組探す.
(a’) 光彩絞りホルダの光学部品類の構成において,光学ベンチキャリアとロッドスタンドの間にX軸ステージを挿入する.
(b) レーザーホルダの光学部品類の構成において,光学ベンチキャリアとロッドスタンドの間にX軸ステージを挿入する.
光彩絞り一つの場合は,(a’) 又は (b) が対策となる.光彩絞りを二組利用できる場合は,(a) (b)が標準的であるが,(a’) でも可能である.
水平面内の調整の手順は,鉛直面内と同様である.光学ベンチキャリアの固定ねじの締め方のばらつきの影響を見落としがちである.これにも留意する.
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