安藤政輝リサイタル
「宮城道雄全作品連続演奏会 3」
1991/ 2/28
ごあいさつ
安藤政輝
約300曲と言われる宮城道雄の全作品の連続演奏会も第3回目を迎えました。 今回は、1920年(大正9年)と1921年(大正10年)の作品を14曲取り上げます。
1920年という年は、10月に第2回作品発表演奏会が東京音楽学校奏楽堂で行われ、11月に「宮城道雄後援会」が発足、そして、同月「新日本音楽大演奏会」が有楽座で開催されたという年であり、 また、1921年には、8月に宮城数江先生(当時は牧瀬数江)が入門し、10月に第3回作品発表演奏会開催というように、宮城作品が華々しく世に出ていった時期にあたります。
14曲のうち、<あひる>など7曲が子供のための「童曲」です。 また、大人向けの「歌曲」も<せきれい>など3曲あります。その他、注目すべき曲の第一は<ひぐらし>です。 宮城道雄が音域と音量の拡大を狙って改良した「大胡弓」を発表したのは、音域から考えて、 この箏・胡弓・尺八の三重奏曲<ひぐらし>であったろうと思われます。次に注目すべき曲は<落葉の踊>です。十七絃は1921年(大正10年)の、 箏・三絃・篠笛・十七絃・胡弓・尺八による管絃合奏曲<花見船>で発表されましたが、残念ながら現在は楽譜が残っていません。 続いて作曲された箏・三絃・十七絃三重奏曲の<落葉の踊>が事実上の十七絃を使用した第1作ということになっています。