1702.自動車業界

1.調査テーマ

自動車メーカー間の出願動向比較

2.調査目的

衝突を回避する自動ブレーキ機能や自動運転が話題になっているが、各社の取り組みがどのようになっているか気になるところである。

そこで主要自動車メーカーの公開特許公報に基づき、各社の技術開発の現況および今後の動向を調べることとした。

3.調査対象

使用DB : SRPARTNER

対象公報: 公開特許公報

対象期間: 2011月1月1日〜2016月12月31日の発行

対象出願人 : 下記出願人

トヨタ自動車株式会社

本田技研工業株式会社

日産自動車株式会社

スズキ株式会社

ダイハツ工業株式会社

三菱自動車工業株式会社

マツダ株式会社

いすゞ自動車株式会社

川崎重工業株式会社

日野自動車株式会社


4.概要

自動車の主要メーカー10社の公開特許公報の発行件数は横這い傾向を示していたが、最終年を見るとトヨタ自動車と日産自動車は増加傾向を示していた。本田技研工業は減少傾向を示している

同様に、最終年にかけて日産自動車の発明者数は増加傾向に転じているが、本田技研工業は減少傾向を示している

発行件数が多い上位3社がこれまで注力してきた主要技術は、トヨタ自動車はハイブリッド車両と制御技術、本田技研工業は二輪車と燃料電池、日産自動車はハイブリッド車両と燃料電池であった。

各社が当面注力すると推測される技術は次の技術であると思われる

トヨタ自動車:衝突防止を含む安全化技術

本田技研工業:車両内部構造と蓄電装置の改良

日産自動車 :エンジン制御と駆動力制御

スズキ :自動二輪車と無段変速機の改良

ダイハツ工業:変速機構と燃料電池の改良

三菱自動車 :エンジンの改良

マツダ :エンジンの改良

いすゞ自動車:ハイブリッド車両の改良

川崎重工業 :ガスタービンエンジンの改良

日野自動車 :燃料噴射制御と排気浄化

各出願人について関連企業を確認するため、出願人毎の共同出願人と、当該出願人以外の単独出願(出願時点)を調べた結果は以下のとおり。

[トヨタ自動車株式会社]

共同出願人は600社、トヨタ自動車以外の単独出願人(出願時点)が113社であった。

[本田技研工業株式会社]

共同出願人は339社、本田技研工業以外の単独出願人(出願時点)が33社であった。

[日産自動車株式会社]

共同出願人は206社、日産自動車以外の単独出願人(出願時点)が12社であった。

[スズキ株式会社]

共同出願人は65社、スズキ以外の単独出願人(出願時点)が1社であった。

[マツダ株式会社]

共同出願人は64社、マツダ以外の単独出願人(出願時点)はなかった。

[三菱自動車工業株式会社]

共同出願人は53社、三菱自動車以外の単独出願人(出願時点)はなかった。

[いすゞ自動車株式会社]

共同出願人は18社、いすゞ自動車以外の単独出願人(出願時点)は1社であった。

また、グループ企業の東北海道いすゞ自動車株式会社は出願時点では単独出願であった。

[ダイハツ工業株式会社]

共同出願人は84社、ダイハツ工業以外の単独出願人(出願時点)は9社であった。

ただし、トヨタ自動車株式会社と株式会社豊田中央研究所が単独出願に含まれている。

[日野自動車株式会社]

共同出願人は47社、日野自動車以外の単独出願人(出願時点)はなかった。

[川崎重工業株式会社]

共同出願人は130社、川崎重工業株式会社以外の単独出願人(出願時点)は4社であった。

また、先行しているトヨタ自動車の動きを参考にすると、各社共に自動運転を含む運転支援に注力する一方で、電気自動車や燃料電池車両の実用化に向けて開発を進めるものと見られる

※ 作成した図表は69図と18表