1712.国公立大学
1.調査テーマ
国公立大学などの出願動向
2.調査目的
最近、兵器に関係する研究を大学が協力するべきではないというニュースを聞いた。
また、英ネイチャー誌の特集で日本の科学研究はこの10年間で失速しているという記事を見た。
では、現在、大学でどのような研究が行なわれ、共同出願人としてどのような企業が関係しているのだろうかということが気になってきた。
そこで、今回は大学、特に国公立などの大学の出願動向を調べることとした。
3.調査対象
使用DB :SRPARTNER
対象公報:公開特許公報
対象期間:2011月1月1日〜2016月12月31日の発行
対象出願人 : 国公立大学などの大学
4.概要
大学に関する公報の件数は2013年までは増加傾向であったが、2014年に減少し、その後はほぼ横這い傾向を示している。
大学の種類別で見ると、全ての大学種類でほぼ横這い傾向を示しているが、最終年では国立大学は減少傾向を示し、学校法人(近畿大学など)は増加傾向を示している。
大学別の発行件数で見ると、2011年時点では東京大学と東北大学が突出していたが、最終年の2016年では他の大学との差が少なくなってきている。
京都大学は2012年から増加傾向が続いており、最終年の2016年には少し減少しているものの、今後の動向が重要となりそうである。
技術では、医療診断、医薬、酵素、触媒、合金、半導体などの研究が多いようである。
企業との共同出願を見ると、日本電信電話、トヨタ自動車、住友電気工業、デンソー、カネカ、住友金属鉱山、ダイキン工業などの企業が目立っていた。
主要な4大学の出願状況は以下のようになっていた。
[東京大学]
A: 発行件数の年別推移
多少の増減はあるものの、ほぼ横這い傾向を示している。
B:サブクラス分類別発行件数の年別推移
件数と増加傾向から見て、特に次の技術が注目されているようである。
A61B:診断;手術;個人識別
B01J:化学的または物理的方法,例.触媒,コロイド化学;それらの関連装置
C12N:微生物または酵素;その組成物 ;微生物の増殖,保存,維持;突然変異または遺伝子工学;培地
C12Q:酵素または微生物を含む測定または試験方法 そのための組成物または試験紙;その組成物を調製する方法;微生物学的または酵素学的方法における状態応答制御
H01L:半導体装置,他に属さない電気的固体装置
[東北大学]
A: 発行件数の年別推移
2013年までは増加傾向を示していたが、その後減少し、再び増加したが、最終年の2016年では減少している。
B:サブクラス分類別発行件数の年別推移
件数と増加傾向から見て、特に次の技術が注目されているようである。
A61B:診断;手術;個人識別
A61K:医薬用,歯科用又は化粧用製剤
A61P:化合物または医薬製剤の特殊な治療活性
C12N:微生物または酵素;その組成物 ;微生物の増殖,保存,維持;突然変異または遺伝子工学;培地
C22C:合金
H01L:半導体装置,他に属さない電気的固体装置
[大阪大学]
A: 発行件数の年別推移
2015年までは増加傾向を示していたが、最終年の2016年には減少している。
B:サブクラス分類別発行件数の年別推移
件数と増加傾向から見て、特に次の技術が注目されているようである。
A61K:医薬用,歯科用又は化粧用製剤
A61P:化合物または医薬製剤の特殊な治療活性
G01N:材料の化学的または物理的性質の決定による材料の調査または分析
[京都大学]
A: 発行件数の年別推移
2013年までは増加傾向を示していたが、その後は減少し続けている。
B:サブクラス分類別発行件数の年別推移
件数と増加傾向から見て、特に次の技術が注目されているようである。
A61P:化合物または医薬製剤の特殊な治療活性
B01J:化学的または物理的方法,例.触媒,コロイド化学;それらの関連装置
C07K:ペプチド
H01M:化学的エネルギーを電気的エネルギーに直接変換するための方法または手段,例.電池
作成した図表は70図と5表