1710.小型二次電池

1.調査テーマ

小型二次電池の出願動向

2.調査目的

再生可能エネルギーによる発電技術では発電量の変動を吸収するために二次電池が重要であり、電気自動車やハイブリッド自動車でも二次電池が重要である。

これまではリチウム電池がこれらの用途に使用されていたが、更に高性能の二次電池が必要となってきており、二ユースでも取り上げられるようになってきた。

そこで、今回は小型二次電池の出願動向(過去の出願状況と今後の動向)について調べることとした。

3.調査対象

使用DB :SRPARTNER

対象公報:公開特許公報

対象期間:2011月1月1日〜2016月12月31日の発行

対象技術 : 小型二次電池

4.概要

小型二次電池に関する公報件数は、2013年で増加傾向が止まり、最終年の2016年では減少傾向を示している

小型二次電池ではリチウム電池に関する公報の件数が突出しているが、減少傾向を示している

しかし、次の電池は最終年に増加傾向を示していた

ナトリウム二次電池

ニッケル水素電池

空気電池

アルミニウム二次電池

フッ化物イオン電池

特に、ナトリウム二次電池の増加傾向がが突出していた。

したがって、当面はナトリウム二次電池の動向が重要と思われる。

このナトリウム二次電池は2012年から継続して増加しており、特に2014年には急増している

さらに最終年の2016年が最多となった技術は次のとおりである

アノード

電力給電のための回路装置

熱の遮断または遮蔽

その中でも特にアノードの改良が重視されているようである

ナトリウム二次電池に関する各社の注力状況を要素別に整理すると以下のようになる

電極

日本電信電話株式会社

住友電気工業株式会社

トヨタ自動車株式会社

住友化学株式会社

国立研究開発法人産業技術総合研究所

太平洋セメント株式会社

学校法人東京理科大学

日本電気硝子株式会社

電解質

パナソニックIPマネジメント株式会社

製造

大阪瓦斯株式会社

その他の技術としては、ナノ技術、シリコン、高分子を用いたものなども増加傾向を示しているが、まだ件数が少ないので今後も増加するかは不明である。

出願人ではトヨタ自動車名義の発行件数が多かったが、2016年では横這い傾向であった

トヨタ自動車以外を見ると、最終年の2016年では次の出願人が増加傾向を示している

株式会社日立製作所

TDK株式会社

日立化成株式会社

JX金属株式会社

なお、JX金属株式会社はリチウムなどの回収技術で突出していた。

件数と増加傾向を考慮すると、当面は、トヨタ自動車、エルジー・ケム、TDK、日立化成の動向が重要と思われる

これらの出願人名義でかつ注目技術に関する公報から課題と新規技術を抽出したが、その結果は以下のとおり

[トヨタ自動車株式会社]

抽出結果によれば、2013年に安全性向上、2014年に効率向上が重視されていたが、2016年に安定化が重視されるという流れになっている。

サンプル公報ではリチウム電池に関するものが多かったが、以下のものも含まれていた。

硫化物固体電池の正極活物質回収方法

ニッケル水素電池用電極の製造方法

鉛バッテリとニッケル水素電池の併用

マグネシウム電池

[エルジー・ケム・リミテッド]

抽出結果によれば、2013年に安定化、2015年に安全性向上、長寿命化が重視されるようになってきたようである。

サンプル公報ではリチウム電池に関するものしかなかった。

[TDK株式会社]

抽出結果によれば、2013年に安全性向上が重視されるようになってきたようであるが、2015年には電池容量の増大が重視されるという流れになっている。

サンプル公報はいずれもリチウム電池に関するものであったが、表面実装可能な全固体電池に関するものが目立っていた。

[日立化成株式会社]

抽出結果によれば、2015年に安全性向上と長寿命化が重視されるようになってきたようであるが、2016年には大容量化を重視するという流れになっている。

このサンプル公報はいずれもリチウム電池に関するものであったが、大半は特性の向上に関するものであった。

作成した図表は41図と第32表