1808.医療情報利用技術

1.調査テーマ

医療情報利用技術の出願動向

2.調査目的

医療費の削減が話題になっているが、その1つの対策として医療のIT化やコンピュータ処理化がある。

そこで、医療の業務効率化だけでなく高度化も含めて、医療情報の利用技術に関する出願動向を調べることとした。

3.調査対象

使用DB :SRPARTNER

対象公報:公開特許公報

対象期間:2011月1月1日〜2016月12月31日の発行

対象技術 : 医療情報を利用する下記8種類の技術

予約・受付処理

診断処理

患者情報利用

医薬品情報利用

医療会計処理

生体情報利用

医療機器管理

医療情報保護

4.概要

8種類の医療情報利用技術に関する公報件数は2013年から減少傾向を示しているが、増減幅は少ないので概括すればほぼ横這いとなっている。

処理内容別に見ると、全体的に減少傾向または横這いであるが、生体情報利用は増減しながらも全体としては増加傾向を示している

出願人別で見た場合、出願人数を発行年別に集計した結果によれば、本テーマに関係している出願人は増減しつつもほぼ横這い傾向を示している

本テーマの分析対象公報を公報発行件数が多い上位10社とその他の出願人について集計した結果によれば、第1位は東芝メディカルシステムズであった。

以下、富士フイルム、キヤノン、富士通、日立製作所、セイコーエプソン、コニカミノルタ、湯山製作所、コーニンクレッカフィリップスエヌヴェ、東芝テックと続いている。

公報発行件数が多い上位10社について公報発行件数を発行年別に集計した結果によれば、2014年からキヤノン、富士通、セイコーエプソン、湯山製作所が増加傾向を示している

増加傾向を示していた生体情報利用技術に限ってみると、セイコーエプソンの増加傾向が顕著であったが、フクダ電子、日本光電工業、TOTOも重要と思われる

セイコーエプソンが特に重要と思われるが、新規技術として抽出された「排便ガスの測定」を出願していたTOTOの動向も注目しておきたい。

当面の課題としては、健康状態把握、精度向上、時間短縮、不快感減少などが重視されるようである。

診断処理技術ではキヤノンと富士フイルムは最終年で増加傾向を示しており、特に当面はキヤノンの動向が重要と思われる

増加傾向を示していたキヤノン、富士通、セイコーエプソン、湯山製作所をさらに詳細に分析した結果は以下のとおり。

・次のサブクラスが共通している。

A61B: 農業または林業における土作業:農業機械または器具の部品,細部または附属具一般

G06F: 電気的デジタルデータ処理

G06Q: アナログ計算機

・その他のサブクラスで比較的多かったものを各社別に抽出すると以下のようになる

キヤノン : G01N: 材料の化学的または物理的性質の決定による材料の調査または分析

G06T: イメージデータ処理または発生一般

富士通 : G06T: イメージデータ処理または発生一般

湯山製作所 : A61J: 医療または製剤目的のために特に適合させた容器;医薬品を特定の物理的形態

または服用形態にするために特に適合させた装置または方法;食品または医薬品の

経口投与装置;おしゃぶり;唾受け用具

B65B: 物品または材料を包装するための機械,器具,装置または方法;荷解

セイコーエプソン: A63B: 身体の鍛錬、体操、水泳、登はん、またはフェンシングのための装置;球技

;訓練用具

・各社で最も件数が多いIPCは以下のように異なっている。

キヤノン : A61B5/00:診断のための検出,測定または記録

富士通 : G06Q50/24:患者記録管理

湯山製作所 : A61J3/00:医薬品を特定の物理的状態または特定の服用形態にするための特殊な装置

たは方法

セイコーエプソン: A61B5/0245:電気信号を発生する検知手段を用いるもの

※A61B5/00は診断のための検出,測定または記録 ;個体の識別

※ 作成した図表は35図と13表