15.高齢者対応技術

1.調査テーマ

高齢者対応技術の出願動向

2.調査目的

少子高齢化が話題になって久しいが、今も医療費の増加、認知症、介護、交通事故、健康維持などのニュースや番組が目立つ。

そこで、今回は高齢者に対してどのような技術開発が進んでいるのか、今後の動向はどうなりそうかなどを調べることとした。

3.調査対象

使用DB :SRPARTNER

対象公報:公開特許公報

対象期間:2011月1月1日〜2016月12月31日の発行

対象技術 : 高齢者対応技術全般

4.概要

公報の発行件数は多少の変動はあるものの、ほぼ増加傾向を示しており、最終年の2016年発行分も増加傾向を示している。

出願人や発明者もほぼ同様の傾向を示しており、高齢者に関する出願は今後増加すると思われる。

関連する技術はIPCのセクション分類C,D以外の全般に分散しているが、セクションAに関するものが極めて多かった。

さらに詳細に分析した結果によれば、最近は次の技術に注力されているようである。

医療 :高齢者に多い疾病の予防、治療と、飲みやすい薬剤の開発、認知症予防ゲーム

健康 :体力の維持・増進、転倒防止、リハビリ、健康管理、健康状態の遠隔監視

農林畜産:省力化と危険防止が多いが、後継者不足、耕作放棄地、大規模経営などに注目している公報もあった。

食品 :食感の改良、栄養摂取の改良、誤嚥防止

家庭生活:トイレや入浴に関するものが多い。歩行支援、車椅子や高座椅子の改良、転落、つまづきなどの危険防止、移乗の容易化、電動アシストなどの支援などもあり、多岐にわたっている。

社会環境:見守りサービスが多い。徘徊対策や交通弱者対策などもある。文字判読の容易化、記入作業の容易化、情報通信機器の操作性改善、送迎サービス、コミュニケーションやアドバイスの提供など、ICT技術を利用した様々な支援、サービスが既に出願されており、今後も増加すると思われる。

総括すると、高齢者対応技術は増加傾向にあり、これまでの高齢者医療や、電動車椅子のような個々人の装置だけでなく、ICT技術を利用した見守りサービスのような社会全体のインフラを整備・改良する新たな技術も増加すると思われる。

作成した図表は89図と2表