キクイモの歴史
キクイモの歴史
キクイモは漢字では菊芋と書くので日本的な野菜のような感じがしますが、キクイモの原産地は北米で、ネイティブ・インディアンの食料でした。
17世紀にヨーロッパに渡り、フランス、ドイツやイタリアなどで栽培され、18世紀のヨーロッパの飢饉を救う食物として拡がったようです。
日本に入ってきた時期は文久元年頃、外国人が横浜に持ち込んだものが自生したのが始まりという説があり、キクイモの名付け親である幕末から明治期の博物学者田中芳男が書き残していることです。
花は菊の如く、根は芋の如くというわけで菊芋と命名したそうです。
確かに花の形は菊の花が咲いているように見え一斉に咲くと結構綺麗です。根は芋のようになるのですが芋とは大違いなところが菊芋の特徴です。
菊芋はゴボウ、ヤーコン、シュンギクなどと同じキク科です。
じゃが芋はトマト、ナス、ピーマン、パブリカなどと同じくナス科に属しています。
逆にこの命名によって世間的にはじゃが芋のように炭水化物が多い野菜と誤解されているかもしれませんがデンプンはほとんど含まないのです。
幕末に入ってきたキクイモが一躍日本人に知られるようになったのは、戦中、戦後に大変な食糧難に陥ったからです。
デンプンカスの塊をストーブで焼いて食べた時代に、キクイモは栽培され、色々な調理方法も考えられ食糧難を乗り切るのに大変重宝されました。
ヨーロッパではドイツが戦後の食料難を乗り切る時に役立ったそうです。
でも日本が復興期に差し掛かった頃から次第に食卓から消えていき、日持ちしにくいこともあって、いつか日本中から忘れ去られていきました。
それが約半世紀も経ってから再び脚光を浴びてきたのです。
イヌリンの研究が世界的に進んできたからです。
欧米では臨床試験により、キクイモを継続して摂取することによって血糖値が改善するという報告がされています。
血糖値で悩んでいる方にとっては福音となる野菜が現れたことでしょう。
その他にもダイエット、便秘の改善、健康に良い野菜として注目を浴び、研究が行われるようになったのです。
こんな歴史を秘めた野菜は他にありません。
この間キクイモさんはどうしていたのでしょう。
もともとは外来種であるキクイモさんは生命力が強く、日本の南から北の端までしぶとく自生して生き残っていたのです。
この時の来ることを待っていたのでしょうか?