農場付近の地形、地質など

地形的には、この地域には段丘のような丘陵地、樽前火山の裾野、河川・海岸に拡がる沖積地などがあります。

河川は、白老岳に源がある白老川、樽前火山に源がある別々川、樽前川、覚生川などがあります。

このうち苫小牧市と白老町の境界線にあるのが別々川です。

夢苺農場はこの別々川に沿う道筋の苫小牧岸にあります。

同じ樽前火山の火山灰を被っていても別々川流域は苫小牧市周辺や白老町周辺とも土壌の組成が同じではありません。

夢苺農場の在る場所の土壌の正式名称は農業環境技術研究所の土壌図によると「礫質灰色低地土、灰褐系」となっています。

また別々川の白老岸では「中粗粒褐色低地土、斑紋なし」となっており、作土の理化学性分類も違います。

下層に黒泥層を含むということが違うようです。

一見砂地に見えるのは火山灰ではなく礫質で泥炭のように見えるのは黒泥層のことです。

黒泥層の主要母材は植物遺体ですが、黒泥は泥炭の分解が進んで植物組織がほとんど肉眼で認められない程度に至った有機質材料と無機質材料が均質に混合したものとされていて農業には比較的適しています。

「日本奥地紀行(高梨健吉訳)」にはこの地域の黒い植物質の土壌という表現が出てきます。

第三十九信に詳しく観察が載っています。

「最後の爆発の時、この地方に軽石は平均三フィート半の深さまで積もった。ほとんどあらゆる川で、この地層形成の良い断面図が見られる。深い割れ目のある土手には広くて明るい色の軽石層が、上部は数インチの肥沃な黒い植物質の土壌で、下部が数フィ-トの黒い海砂となっている」

イザベラ・バードが観察した肥沃な黒い植物質の土壌は夢苺農場付近でも見ることができます。

約5万5千年前に支笏火山の噴火が始まり、風不死岳、恵庭岳と噴火が続き樽前山が噴火したのが約9000年前と言われています。

その他に倶多楽火山、有珠火山の降灰があり、火山活動の歴史とともに森林の埋積、火山の休止による腐植層の形成、森林の形成、再び火山活動による森林の破壊のようなサイクルを繰り返していたようですが、河川の流域はそれに加えて氾濫を繰り返えしたため平野部とは違う土壌の性質を生んでいったようです。

別々川は行政区分の境界線上に流れていますがこの付近が有珠山や倶多楽火山の降灰の影響の境界上にもあるようです。

樽前山と風不死岳そして恵庭岳は地図で定規を当ててみると不思議なことに北北西の方向に一直線に並んでいます。

支笏湖は元々支笏火山が大爆発を起こして支笏カルデラを形成したわけですから樽前山、風不死岳、支笏火山、恵庭岳と4つの火山が一直線上に並んでいることになります。

自然の大いなる不思議です。

このなかで今でも活動しているのは恵庭岳と樽前山です。

どうやら一直線に火山が並んでいるのはプレートがこの方向に沈み込んでいる結果らしいのですが、この配置がこの地域の天候にも何らかの影響を及ぼしているような気がしてなりません。