概要:

ライティングタスクの回答・解答例である模範文は重要な指導ツールになりうる。模範文はテキストに掲載されている場合もあれば，教師が目的に応じて執筆する場合もあるだろう。本章では，そのような模範文の提示法を，模範文の長さ（パラグラフとエッセイ）別，段階（書く前と書いた後）別に議論する。また，模範文を提示した後の，振り返り活動をサポートするアンケートツールについても紹介する。

Further Readings:

• Guirao, J. C., de Larios, J. R., & Coyle, Y. (2015). The use of models as a written feedback technique with young EFL learners. System, 52, 63–77. https://doi.org/10.1016/j.system.2015.04.002 ★10〜11歳程度の児童がEFL学習者が模範文の分析を通して何に気付くかを，学習者同志の対話の分析を通して調査した比較的新しい研究。模範文に関する先行研究が詳しく網羅されている文献レビューのセクションも有益。
• Schmidt, R. (2001). Attention. In P. Robinson (Ed.), Cognition and second language instruction (pp. 3–32). Cambridge University Press. https://www.amazon.co.jp/dp/0521003865 ★第二言語ライティングの研究を認知的アプローチで行う際に参照されることが多い気づきの概念を，注意とは何かという観点から解説している。やや抽象的な心理学用語も出てくるが、重要事項が詳細に解説されている。