よりアクセシブルな

資料の作り方

2023年に、登壇者さんへ情報保障チームからのお願いとして作成したものを公開いたします。

カバー画像の出典:unsplash

0. はじめに

この大会では、かなり早い時期に、事前に、手話通訳者・文字通訳者に渡すデータのご用意をお願いしております。

大会での貴重なお話を、参加者の皆様に伝えることを大事にしたいと考えているからです。


★★★…【必須】登壇者にしかできない作業で、必須の作業

★★…【推奨】登壇者にしかできないものの、必須でない作業

★…【希望】スタッフ側でも担当できるものの、登壇者に実施してもらうとありがたい作業

1. 事前にご提出いただきたい資料

1-1. スライド、または登壇にあたって作成した資料(メモ程度)。

(★★★必須)

Googleスライド推奨(ギリギリまで修正できる。更新しても送り直す必要がないため)。

作成途中でも、URLを公開していただけると嬉しいです。

※Googleスライド形式への変換も可能。GoogleスライドのWebアプリで直接PowerPointを開いたり、修正したりすることも出来ます。

同じファイル名のPowerPointをGoogleドライブにアップロードすることで更新することもできます(確認が表示されるので、前のファイルは保存せず上書きを選択してください)。


1-2. 登壇者データ

(★★★必須)

講演者入力シートへ記入いただいています。それぞれ通訳する際に必要な情報となります。

1-3. 関連資料、書籍、ウェブサイト

(★希望)

講演の前提となるような、その分野での基本となる文献(もしあれば)。


2. スライド資料の参加者への事前共有

(★希望)

参加者(または、情報保障が必要な方)に事前に、Googleスライドのリンクを送りたいです。

3. スライドの作成について

3-1. 動画を事前撮影する場合文字は、35pointほどの大きさにしてください。

(★希望)

動画編集の際に、字幕や手話通訳を挿入する関係で、全体のサイズが小さくなるためです。

事前に資料共有が難しい場合は、特に読みやすいサイズで作成してください。

スライドの参考資料


3-2. 代替テキスト

(★希望)

写真や表やグラフについて。本文中または、代替テキストとして記載。

その視覚コンテンツを入れなかった場合にどういった文章を書くか。または、電話で説明するとしたらどのように伝えるか、と考えると作りやすいです。

代替テキストの入れ方が分からない場合は、記載したい文章を教えてください。大会側でGooleスライドであれば、更新できます。


代替テキストの例

写真:スーツ姿の人物が表彰状を持って座っている。バリアフリー化推進功労者表彰式

代替テキストとして、例えば、

写真:スーツ姿の人物が表彰状を持って座っている。バリアフリー化推進功労者表彰式

といれる。

3-3. 配色について

色の違いでのみデータを示したグラフは、使用しない。もしくは、各項目が何であるか、グラフ中にテキストで書くなどをするのが望ましいです。

(★希望)

白と黒だとコントラストが強くなり過ぎるので避けた方が良いですが、基本的に明度のコントラストが強い方が見えやすいです。

明るさに差をつけると、単色(正確には同じ色相の色)やモノクロであっても、違いが分かります。

たじまちはる『配色デザイン良質見本帳』、p159より引用

サマーセールを伝える画像。全体が薄い水色と白で、コントラスト比が低い。
サマーセールを伝える画像。全体が青と白で、コントラスト比が高い。

逆に、“色弱の方に見分けにくい色の組み合わせをグレースケールで見てみると…見事に明度差がない”
Twitter投稿による説明文より一部引用

見分けにくい色。8つのペア、16色。
見分けにくい色を白黒にしたもの。8つのペアは明るさが近く、見分けにくい。。

白黒変換(見分けづらいことが分かる。明度が近い色の組み合わせになってしまっている)


写真または、グラフを引用する場合は難しいと思いますので、修正はしなくても大丈夫です。その場合は、質問などで対応するような形としましょう。

(参考)多様な色覚特性をシミュレートするアプリもあります。興味を持った方は、使ってみても良いと思います。

3-4. (参考)フォントについて

モリサワの「BIZ UDゴシック」が商用無料で公開されました。
それに伴いGoogle系のアプリ(GoogleドキュメントやGoogleスライド)でも使えるようになりました。

UDとあるようにユニバーサルデザインのフォントです。Pがついているのは、文字ごとに文字幅が調整されているプロポーショナルフォント。ついていないものは、等幅フォントです。

デフォルトでは選択肢にないですが、下記の手順で追加できます。

[“BIZ UDGothic”にチェックを入れる]

4. 事前の録画や大会当日の登壇の際、意識していただきたいこと

(★★★必須)

途中で間違えたからといって、撮り直しは必要ありません

必須となっていますが、情報保障しやすい話し方をしていただくよう心がけることを必須としている意味合いです。

例)「とくようで働いています、△△です。よろしくお願いします。」
この場合とくよう」は、特別養護老人ホーム? 特別養子縁組?

例)「これを見ると分かる様に」ではなく、「この感染者数の増加グラフを見ると」といったように内容を具体的に話す。

99.もっと知りたい人のための参考資料

『困ったを解決するデザイン』の付録「『困った!』に先回りするデザインチェックリスト」。特設サイトからダウンロードできます。

https://komatta-design.studio.site/#download