「学費値上げ反対緊急アクション」の問題提起から始まった
学費値上げ反対緊急アクションは、2025 年度学部生に適用された、東京大学の学生 1 人当たり年約 11 万円の値上げに対して、6・14院内集会「東京大学をはじめとする大学学費値上げに苦しむ学生の声を聴く会」やオンライン署名「東大の学費値上げに反対します」(6.20時点34,080名)など反対活動を広く展開し、輿論を動かしました。東京大学が学費の値上げ発表に続く形で広島大・熊本大などが学費値上げの検討を始めました。先日、中部地方初の国立標準額を超える学費値上げを検討していると名古屋工業大学がニュースになりました。今後もさらに波及していくことが予想されています。
また、私立大学の学費値上げも相次ぎ、ここ数年で私立大学の20~25%で値上げが続いています。高等教育の学費値上げは今後も続く流れだと考えられますが、学生の生活は物価高のなかでますます苦しくなっています。物価高のなかで、学生に対する支援はいっそう重要なものであると考えます。
国が教育予算で補填することができれば、各大学は値上げする必要がなくなります。少数与党のなかで、学生の声をきちんと国会・国政へと届けるため、これまで3度の院内集会などのロビイング活動や、輿論形成のための諸活動を行いました。
「全国から学費値上げ反対の声を上げる学生有志」へと結集
2月13日には、実際に学費値上げ反対運動に立ち上がった大学の学生ほか、116以上の大学等の学生が結集して声を上げ、2.13院内集会「学費値上げ反対運動に立ち上がった 東大、広大、大阪大、熊本大、中央大、武蔵美大 苦しむ学生の声を聴く」を行い、高等教育無償化を公約に掲げる各7党の国会議員、文科省、財務省、総務省と、要請書を手交した。3月27日時点で、国会で7回の質疑、地方議会で1回の質疑にて、学生の声が引用されました。
「緊急:2026年度学費負担軽減! 高等教育予算拡充を求める5・8院内集会」では全国の大学教員と連帯し、当事者の生の声を国会議員の方々に届け、高等教育無償化を公約に掲げる各7党の国会議員、文科省、財務省、総務省への要請書の手交とともに、 高等教育政策のあり方について意見交換を行いました。
6月10日には立憲民主党の文科部会のヒアリングにも出席しました。
今後の活動について
私たちは、修学支援新制度の改正に際して、意見書を公開していました。3月の参議院の文科委員会で取り上げられました。修学支援新制度の「特に優れた者」であることを「授業料等減免」の対象とする条件を撤廃することを目指す署名を6月中に行う予定です。また、9月以降に学費や奨学金に苦しむ学生当事者、キャンパスの今を可視化する新しい形の書籍も出版し、輿論を喚起していきます。
毎日新聞の輿論調査では、若年層では「大学などの無償化」「同性による結婚」「2院制のあり方など国会改革」など、生活に密着したテーマを思い浮かべる傾向が浮き彫りになり、「大学などの無償化」が18-29歳では32%のトップ関心度でした。日本は「漸進的無償化」を目指す社会権規約を批准していますが、制度や行政によって学生の高等教育を受ける権利は制限されています。 学費の値上げを止めなければ、経済格差はますます拡大するでしょう。
最後に
認定NPO法人「D×P」のLINE相談窓口の利用者向け調査では、512人のうち約1割が「(闇バイトの)経験がある・周囲に経験ある人がいる」と回答。「実際にあやしい求人を見たり、誘われた経験がある」は約4割にも達しており、また、今後闇バイトに誘われた場合どうするか?との問いには、約4人に1人が「お金に困ったらやるかもしれない」と回答。窮乏を恐れる若者にとっては、闇バイトも選択肢の1つになっていることを示しています。そして、闇バイトを検討する理由の8割以上が「生活費・奨学金返還・病院代・税金支払いなどにお金が必要なため」と回答しており、その背景に若者の経済的貧困があることは明らかです。
学費値上げの問題は、誰かが日本で当たり前に生きられないことを示しています。高額な学費負担に苦しむ学生の置かれている現実を直視する必要があります。