私たちが記者会見を行った6月13日時点での回答に基づく、全体の分析結果です。
候補者数:402
選挙区候補者数:276
比例候補者数:126
回答数:169
選挙区回答数:138
比例回答数:31
回答率:42
選挙区回答率:50
比例回答率:24.6
質問1 国立大学法人の授業料について
アンケートに回答した立候補予定者の82.0%が国立大学の授業料を引き下げるべきと回答。(クリックで詳細)
国立大学法人の授業料について、立候補予定者のうちアンケート回答者がすべて「引き下げるべき」とした政党は、日本共産党、れいわ新選組、参政党、社会民主党、日本改革党でした。
とりわけ日本共産党、れいわ新選組、社会民主党については、回答率が8割以上と高水準であり、国立大学法人の授業料の引き下げに積極的な姿勢がみられました。
また立憲民主党、日本維新の会、国民民主党は、アンケートに回答した立候補予定者の80%以上が「引き下げるべき」と回答しています。
しかし回答率は、立憲民主党が6割とまずまずである一方、国民民主党は5割を、日本維新の会は4割を切っています。自由民主党は、立候補予定者の70%以上が「適正である」と回答しており、国立大学法人の授業料を引き下げない姿勢がみられました。
また公明党は、立候補予定者のうちアンケート回答者のすべてが「適正である」と回答しており、国立大学法人の授業料を引き下げない姿勢がみられました。
自由民主党、公明党の両党は、回答率においても約20%と低いうえ、第50回衆議院議員総選挙(2024年10月)の際、自由民主党が「高等教育の無償化」を、公明党が「大学等の無償化」を公約にあげていたにもかかわらず、今回の参院選における公約には「無償化」があげられていません。
公約に見られる自由民主党・公明党の高等教育の無償化に向けた施策をこれ以上行わないという姿勢は、アンケートにも反映されていると考えられます。
質問2 国立大学法人運営費交付金について
アンケートに回答した立候補予定者の93.4%が国立大学運営費交付金を増額すべきと回答。(クリックで詳細)
国立大学法人運営費交付金について、立候補予定者のうちすべてのアンケート回答者が「増額すべき」とした政党は、公明党、国民民主党、日本共産党、れいわ新選組、参政党、社会民主党、日本改革党でした。
とりわけ日本共産党、れいわ新選組、社会民主党については、回答率が8割以上と高水準であり、国立大学法人運営費交付金の増額に積極的な姿勢がみられました。
また立憲民主党、日本維新の会にしても、アンケートに回答した立候補予定者の90%以上が「増額すべき」と回答しています。ただし回答率は、立憲民主党が6割とまずまずである一方、日本維新の会は4割を切っています。
自由民主党は、アンケートに回答した立候補予定者のうち「増額すべき」としていたのが約82%であり、相対的に他党よりも低い水準でした。
しかし、ほとんどの党で、アンケートに答えた立候補予定者のうち「増額すべき」と回答した割合が8割を超えていたことは、学費問題が高等教育機関の財政的な経営難に起因していることに鑑みて重要なことです。
とはいえ自由民主党、公明党の両党は、回答率が約20%と低いことには留意が必要です。
私学助成金について、立候補予定者のうちすべてのアンケート回答者が「増額すべき」とした政党は、日本共産党、れいわ新選組、社会民主党でした。
いずれの党についても、回答率が8割以上と高水準であり、私学助成金の増額に積極的な姿勢がみられました。
また自由民主党、立憲民主党、参政党は、アンケートに回答した立候補予定者の約80%以上90%未満が、「増額すべき」としていました。
回答率は、立憲民主党が約6割と自由民主党・参政党と比較して高かったです。それに次ぐ公明党、国民民主党は、アンケートに回答した立候補予定者の約67%が「増額すべき」としていました。
いっぽう日本維新の会、日本改革党、NHK党に共通してみられたのは、アンケートに回答した立候補予定者のうち「増額すべき」と答えたのが1割以下であり、むしろ「減額すべき」と回答した割合が極めて高い点でした。
私学助成金については、国立大学法人運営費交付金についてよりも政党ごとに見解が割れている傾向にあり、「適正である」と回答した政党も比較的多く、とりわけ国立大学法人運営費交付金では登場しなかった「減額すべき」という回答が、日本維新の会、参政党、立憲民主党でみられるようになることに特徴がありました。
高等教育費に係る公的支出について、立候補予定者のうちすべてのアンケート回答者が「支出を増やすべき」とした政党は、公明党、日本維新の会、国民民主党、日本共産党、れいわ新選組、参政党、社会民主党、日本改革党でした。
とりわけ日本共産党、れいわ新選組、社会民主党については、回答率が8割以上と高水準であり、高等教育費に係る公的支出の増額に積極的な姿勢がみられました。
また立憲民主党も、アンケートに回答した立候補予定者の95%以上が「増額すべき」と回答していました。自由民主党は、これらの政党と比べて、アンケートに回答した立候補予定者のうち「増額すべき」と答えたのが9割を切っており、相対的に消極的な姿勢を見せています。
とはいえ以上の政党は、いずれの政党もアンケートに回答した立候補予定者の85%以上が高等教育費に係る公的支出について「増額すべき」と回答しており、従来の高等教育費に係る公的支出では不十分であるという共通認識があることが伺えます。
高等教育無償化について、立候補予定者のうちすべてのアンケート回答者が「無償化すべき」とした政党は、日本維新の会、日本共産党、れいわ新選組、社会民主党でした。
とりわけ日本共産党、れいわ新選組、社会民主党については、回答率が8割以上と高水準であり、高等教育無償化に積極的な姿勢がみられました。
日本政府が国際人権規約(A規約)によって高等教育の漸進的無償化が義務付けられているにも関わらず、すべての回答者が「無償化すべき」と答えていなかった政党は、自由民主党、公明党、立憲民主党、国民民主党、参政党、日本改革党、NHK党でした。
ただし立憲民主党は、アンケートに回答した立候補予定者の95%以上が「無償化すべき」と答えており、高水準です。
自由民主党、公明党の両党は、回答率においても約20%と低いうえ、第50回衆議院議員総選挙(2024年10月)の際、自由民主党が「高等教育の無償化」を、公明党が「大学等の無償化」を公約にあげていたにもかかわらず、今回の参院選における公約には「無償化」があげられていません。
公約に見られる自由民主党・公明党の高等教育の無償化に向けた施策をこれ以上行わないという姿勢は、アンケートにも反映されていると考えられます。
給付型奨学金制度について、立候補予定者のうちすべてのアンケート回答者が「多子世帯のみならずさらなる拡充が必要」とした政党は、公明党、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、日本共産党、れいわ新選組、参政党、社会民主党、日本改革党でした。
とりわけ日本共産党、れいわ新選組、社会民主党については、回答率が8割以上と高水準であり、高等教育費に係る公的支出の増額に積極的な姿勢がみられました。
また自由民主党についてもアンケートに回答した立候補予定者の94.1%が「多子世帯のみならずさらなる拡充が必要」としていました。
以上の10党は、アンケートに回答した立候補予定者の9割半ば以上が「多子世帯のみならずさらなる拡充が必要」と回答しており、かなり高い水準で合意が既に形成されていることがわかります。
ここ数年で修学支援新制度の対象者拡大策が行われましたが、来年度以降の拡充策の目処は未だ立っていません。
そのような現状のなか、同制度以外の施策も含め、さらなる給付型奨学金制度の拡充が急がれます。
奨学金返済について、立候補予定者のうちすべてのアンケート回答者が「負担軽減措置を講ずるべき」とした政党は、公明党、れいわ新選組、社会民主党でした。また立憲民主党、日本共産党は、アンケートに回答した立候補予定者の95%以上が「負担軽減措置を講ずるべき」と回答していました。
とりわけ日本共産党、れいわ新選組、社会民主党については、回答率が8割以上と高水準であり、奨学金返済に係る負担軽減措置に積極的な姿勢がみられました。
次いで自由民主党、国民民主党は、アンケートに回答した立候補予定者の80%代半ばが「負担軽減措置を講ずるべき」と回答しており、相対的に消極的な姿勢が見られました。
日本維新の会は、アンケートに回答した立候補予定者のうち「負担軽減措置を講ずるべき」と回答したのが70%と、上記の政党と比較して低い水準にとどまっています。
注目されるのは、日本維新の会のアンケートに回答した立候補予定者のうち10%、国民民主党のアンケートに回答した立候補予定者のうち約5%が、「負担軽減措置を講ずる必要はない」と回答しており、奨学金返済について負担軽減することに明確に反対している立候補予定者が目立ちました。