社会民主党 神奈川選挙区 新人 75歳
①国立大学法人の授業料について
東京大学では今年度入学者から授業料を年間10万円以上の値上げが行われました。東京大学の授業料値上げが報じられて以降、全国の国立大学法人でも授業料値上げの検討がなされているとの報道があります。国立大学法人の授業料(標準額:年間53万5,800円)について、どのようにお考えでしょうか?A: 高いので引き下げるべき
理由:
教育とは、将来の社会を支える人々を養成する行為です。したがって、教育の機会をつくることは個人の努力に委ねられるべきものではなくて、社会全体として担うべきものです。
その趣旨からすると、本来公教育は無償であるべきものであり、公教育の成果は社会に還元されるべきものであると思います。
したがって、国立大学法人の授業料は本来無償であることが望ましいと考えています。
そこで当面あるべき方向性としては、学費は引き下げられるべきであると考えています。
②国立大学法人運営費交付金について
東京大学をはじめとした授業料の値上げの理由として、2004年の国立大学法人化以降、運営費交付金が減らされつづけており、大学運営に支障をきたす段階に至っていることが挙げられています。今年度予算額も前年度と同額とされましたが、昨今の物価高騰を考慮すると、実質的に前年度から200億円程度の減額に相当するとの指摘もあります。国立大学の運営費交付金について、いかがお考えでしょうか?A:増額すべき
理由:
国立大学法人化以降、運営費交付金が減らされつづけています。大学運営に必要な経費をそれぞれの法人が賄わざるを得ないという状況は、国が公教育の責任を放棄することであると思います。国立大学の運営に、財政の面から国は責任を持つべきだと考えていますし、国立大学法人運営費交付金は増額すべきだと思います。
③私学助成金に関して
国立大学法人のみならず、私立大学等でも授業料(入学金、設備維持費等を含む)の値上げがなされています。私立大学等経常費補助金(以下、私学助成金)の一般補助は減少傾向にあり、そのことが授業料値上げに転嫁されていると考えられます。私学助成金について、いかがお考えでしょうか?A:増額すべき
理由:
「国は公教育に責任をもつべきである」という考え方は、私立大学についても同様であると思います。理念的にはそのように考えています。ただ、少子化の中にあっても私立大学を中心に大学が増えてきており、定員充足率が100%を下回る私立大学が増えてきています。
その状況の中で、私立大学の授業料無償化という政策を直ちに実行することは様々な困難を引き起こすと思います。
しかし、私学助成金をふやすことで私立大学生の授業料引き下げにつなげ、私立大学生の負担軽減をはかることは重要であると思います。
④高等教育費に係る公的支出について
日本の高等教育費における家計負担の比率は51%で、OECD平均(19%)の2倍以上となる一方で公的支出の割合は、日本が37%とOECD平均(68%)を大きく下回っています。高等教育費への公的支出について、いかがお考えでしょうか?A:支出を増やすべき
理由:
高等教育に限りませんが、日本政府の学校教育に掛ける予算は余りに貧弱です。教育は市民一人一人の努力によるべきものではなく、社会が責任をもって行うべきものであると考えています。
その意味で、教育への公的予算は拡大すべきですし、高等教育にかかる公的支出も増やすべきであると考えています。
⑤高等教育無償化について
日本は国際人権規約A規約第13条において定められている中等、高等教育の漸進的無償化条項の留保を2012年に撤回し、高等教育の無償化を進めることを国際的に示しています。また、日本国憲法第26条において教育を受ける権利が保障されています。こうした教育を受ける権利を保障する手段として高等教育を無償化することについて、いかがお考えでしょうか?A:無償化すべき
理由:
社会を維持するためには、若者を教育し育てることが必要です。教育には社会全体が責任を持つべきであり、個人の経済力に任せるべきものではありません。
親の経済力に関わらず若者を育てることは、社会全体にとっても大きな力になると考えています。
その意味でも、高等教育の無償化という方針は正しいと考えています。
⑥給付型奨学金制度について
現行の就学支援制度は世帯年収380万円程度までとなっています。今年度より支援対象が拡大されましたが、多子世帯のみが対象とされています。給付型奨学金支援制度について、どのようにお考えでしょうか?A:多子世帯のみならずさらなる拡張が必要
理由:
就学支援を世帯収入によって区別する制度には反対です。世帯と学生本人との関係性は様々であり、世帯収入が多いからと言って学生に十分な保障があるとは限りません。
「教育は社会が責任を持つべきものである」という考え方からは、世帯収入で区別をする理由はありません。給付型奨学金支援制度の充実が必要です。
「世帯収入が多い場合には就学支援は不要である」という考え方もあると思います。ただ格差の大きい今の日本社会では、「高額所得者には累進税率等により十分な税金を課しながら、学生への一様な支援を国が行う」という制度が好ましいと考えています。
⑦奨学金返済について
日本の大学生の過半数(55%:令和4年度日本学生支援機構調査による)が大学に進学するために奨学金を受給しています。一方、多額の「ローン」を抱えて卒業を迎えるため、奨学金返済のために若者が将来を思い描けないなどの弊害が指摘されています。奨学金返済について、いかがお考えでしょうか?A:負担軽減措置を講ずるべき
理由:
現在、民間企業や地方公共団体の一部では、実際に奨学金返済の負担軽減措置を取っています。このような負担軽減措置に意味があることは明らかです。
日本の奨学金は、奨学金というよりも本人負担の教育ローンです。大学を卒業し、これから社会で貢献しようとする若者に数百万円の借金を背負わせることは、余りに過酷であると思います。
奨学金返済という制度はかつての日本でもありましたが、現在とはあまりにも違いが大きいです。かつては、学費も高額ではなく返済すべき奨学金の金額も多くはありませんでした。また、非正規雇用が現在のように多くはなく、正規雇用者として計画的な返済も可能でした。また、学校の教員になり一定年数勤務すれば奨学金の返済が免除されるなど、返済免除の制度もありました。
現在の奨学金返済は、かつての奨学金返済に比較し、余りに過酷な状況になっていると思います。返済の負担軽減措置を検討すべきだと思います。