無所属 千葉選挙区 新人 36歳
①国立大学法人の授業料について
東京大学では今年度入学者から授業料を年間10万円以上の値上げが行われました。東京大学の授業料値上げが報じられて以降、全国の国立大学法人でも授業料値上げの検討がなされているとの報道があります。国立大学法人の授業料(標準額:年間53万5,800円)について、どのようにお考えでしょうか?A: 高いので引き下げるべき
理由:
国立大学の授業料の高額化は、経済的な格差による学びの機会の格差につながります。大学教育で学ぶ意欲があり、かつ、能力がある人物に、経済的な事情によって学ぶ機会を奪うことは、当該個人にとってはもちろんのこと、社会としても当該個人の潜在的価値を最大限に発揮させられない(享受できない)ことによる損失を被っているといえます。超少子高齢化の日本社会にとって、個々人の価値創出能力を最大化することは、大きなテーマです。国立大学に入学することの難易度に鑑みると、税金を投入して授業料の引き下げを図ることは、国家として効果的・有益的な経営判断なのではないかと考えます。
②国立大学法人運営費交付金について
東京大学をはじめとした授業料の値上げの理由として、2004年の国立大学法人化以降、運営費交付金が減らされつづけており、大学運営に支障をきたす段階に至っていることが挙げられています。今年度予算額も前年度と同額とされましたが、昨今の物価高騰を考慮すると、実質的に前年度から200億円程度の減額に相当するとの指摘もあります。国立大学の運営費交付金について、いかがお考えでしょうか?A:適正である
理由:
特に国立大学の運営自体には資本主義の原理が働かないため、運営が効率的・効果的になされているか疑問の面もあります。また、日本社会が少子化にあることを踏まえると、国立大学に携わる関係者の数について、学生はもちろんのこと、教授の数も適切であるか疑問があります。大学運営に支障が発生していることは問題ですが、大学運営自体が適切に実施されているかを十分に検討した上で、交付金の増減については判断すべきと考えます。
③私学助成金に関して
国立大学法人のみならず、私立大学等でも授業料(入学金、設備維持費等を含む)の値上げがなされています。私立大学等経常費補助金(以下、私学助成金)の一般補助は減少傾向にあり、そのことが授業料値上げに転嫁されていると考えられます。私学助成金について、いかがお考えでしょうか?A:適正である
理由:
①でも回答したように、大学進学は大学教育にて学ぶ意欲があり、かつ、能力がある人物に限られるべきと考えています。このような観点から、いたずらな私立大学の拡大による大学全入時代と呼ばれる環境に、私は否定的です。私学助成金の増額・減額を検討する前に、②で回答したように、いたずらに私立大学が乱立していないかを検討すべきと考えます。
④高等教育費に係る公的支出について
日本の高等教育費における家計負担の比率は51%で、OECD平均(19%)の2倍以上となる一方で公的支出の割合は、日本が37%とOECD平均(68%)を大きく下回っています。高等教育費への公的支出について、いかがお考えでしょうか?A:適正である
理由:
高等教育費の無償化政策により家計負担は大きく軽減されるものと考えます。
⑤高等教育無償化について
日本は国際人権規約A規約第13条において定められている中等、高等教育の漸進的無償化条項の留保を2012年に撤回し、高等教育の無償化を進めることを国際的に示しています。また、日本国憲法第26条において教育を受ける権利が保障されています。こうした教育を受ける権利を保障する手段として高等教育を無償化することについて、いかがお考えでしょうか?A:無償化すべき
理由:
私立高校の授業料まで無償化する必要があるのかという点については否定的な意見もあるかと思いますが、子供の視点からすると、経済的な格差により学ぶ機会(の選択)が制限されることは望ましいこととはいえません。また、日本の教育慣行としても、高等教育までは事実上の義務教育的な風習があるため、公立・私立を問わず、高等教育の無償化には賛成です。少子化対策という観点からも、子供に対する教育費という経済的な理由により、子供を諦めることは、社会的な損失であるともいえます。公立高校の淘汰が進行する懸念もありますが、健全な淘汰は許容しつつ、地理的な要因により教育へのアクセス権が阻害されてはならないとする公立高校の存在意義を私立高校との共存において上手く図ることが重要です。
⑥給付型奨学金制度について
現行の就学支援制度は世帯年収380万円程度までとなっています。今年度より支援対象が拡大されましたが、多子世帯のみが対象とされています。給付型奨学金支援制度について、どのようにお考えでしょうか?A:多子世帯のみならずさらなる拡充が必要
理由:
学ぶ意欲があり、かつ、能力がある人物に経済的な事情により学ぶ機会を奪うことは、当該個人にとっても社会にとっても損失です。少子化対策も考えて、多子世帯に対象を拡大する政策も理解できなくはないですが、昨今の物価高などの影響に鑑みると、世帯年収380万円はかなり厳しく、さらなる拡充を検討する必要があると考えます。
⑦奨学金返済について
日本の大学生の過半数(55%:令和4年度日本学生支援機構調査による)が大学に進学するために奨学金を受給しています。一方、多額の「ローン」を抱えて卒業を迎えるため、奨学金返済のために若者が将来を思い描けないなどの弊害が指摘されています。奨学金返済について、いかがお考えでしょうか?A:負担軽減措置を講ずるべき
理由:
いたずらな私立大学の拡大により大学進学すべきでない者まで、大学進学した結果、多額の「ローン」を抱えている人も少なくないように思います。また、奨学金が借金であるとの認識を持たずに受給をしていた人も少なくないと感じます。若者が早期に経済的な基盤を築けないことは、少子化の一因とも考えています。確かに、奨学金を背負って大学進学をしたという選択をしたのは本人ですが、すべてを自己責任とするのは、やや酷のように思います。あわせて、超少子高齢化が日本の喫緊の課題であることに鑑みると、批判は覚悟の上で、国策として、若者世代の負担を軽減するという措置も一考と思います。