日本共産党 北海道選挙区 新人 33歳
①国立大学法人の授業料について
東京大学では今年度入学者から授業料を年間10万円以上の値上げが行われました。東京大学の授業料値上げが報じられて以降、全国の国立大学法人でも授業料値上げの検討がなされているとの報道があります。国立大学法人の授業料(標準額:年間53万5,800円)について、どのようにお考えでしょうか?A: 高いので引き下げるべき
理由:
すでに多くの学生が高額な学費に苦しめられ、経済的な理由での退学も相次いでいます。さらなる学費値上げは到底認められません。本来国の予算で教育研究環境を維持すべきなのに、運営費交付金を減らしたうえで大学の学費値上げを黙認するなど、学生と家庭にその負担を押しつけるものであり、国の責任放棄は重大です。
緊急に国費投入をおこない来年度の学費値上げ回避に1000億円の助成(国立大学に限って言えば100億円)をおこない、その上で学費半額化と入学金の廃止に踏み出すとともに、主要国で当たり前のように実現している「学費ゼロ」を日本でも早期に実現させるべきです。
②国立大学法人運営費交付金について
東京大学をはじめとした授業料の値上げの理由として、2004年の国立大学法人化以降、運営費交付金が減らされつづけており、大学運営に支障をきたす段階に至っていることが挙げられています。今年度予算額も前年度と同額とされましたが、昨今の物価高騰を考慮すると、実質的に前年度から200億円程度の減額に相当するとの指摘もあります。国立大学の運営費交付金について、いかがお考えでしょうか?A:増額すべき
理由:
国は独法化以降、国立大学の運営の根幹をなす運営費交付金が13%=1600億円も削減され、各大学は深刻化する研究費不足により大学教員の多くが任期付きの不安定雇用にされたり、「安全保障技術研究推進制度」=軍事研究に財政的に誘導されるなど、学問の自由がゆがめられています。もはや実質減となる据え置きは許されません。教育・研究に力を注ぐ条件を破壊する政策は改めて運営費交付金をすみやかに元の額に戻し、さらに抜本的な増額へ踏み切るべきです。
③私学助成金に関して
国立大学法人のみならず、私立大学等でも授業料(入学金、設備維持費等を含む)の値上げがなされています。私立大学等経常費補助金(以下、私学助成金)の一般補助は減少傾向にあり、そのことが授業料値上げに転嫁されていると考えられます。私学助成金について、いかがお考えでしょうか?A:増額すべき
理由:
抜本的に増額すべきです。この20年以上もの間、私学助成は経常費の1割以下に抑制され、財政難による教育条件の劣悪化が深刻化しています。国立大学同様に「値上げラッシュ」が続いており、教育を受ける権利が奪われています。国立大学学費の値上げ回避と同額・同基準で、私立大学にも緊急助成をすべきです。予算はすべての私立大学・公立大学・専門学校を対象にして約860億円です。
④高等教育費に係る公的支出について
日本の高等教育費における家計負担の比率は51%で、OECD平均(19%)の2倍以上となる一方で公的支出の割合は、日本が37%とOECD平均(68%)を大きく下回っています。高等教育費への公的支出について、いかがお考えでしょうか?A:支出を増やすべき
理由:
大学教育の充実は学ぶ権利の保障とともに、日本社会の未来を切り開くものです。ところが日本の高騰教育予算がOECD諸国の中で最も低いという、恥ずべき現状に甘んじています。教育予算の2倍以上に膨れ上がった8.7兆円もの軍事費や、ラピダスをはじめとした半導体企業への莫大な税金投入(5年で10兆円)を削減し、増額した教育費で、①高等教育無償化=学費ゼロ、②給付中心の奨学金創設、③奨学金返済の半額免除、をおこなうとともに、運営費交付金と私学助成、研究費の抜本的な増額、大学教員の雇用条件の改善を求めます。
⑤高等教育無償化について
日本は国際人権規約A規約第13条において定められている中等、高等教育の漸進的無償化条項の留保を2012年に撤回し、高等教育の無償化を進めることを国際的に示しています。また、日本国憲法第26条において教育を受ける権利が保障されています。こうした教育を受ける権利を保障する手段として高等教育を無償化することについて、いかがお考えでしょうか?A:無償化すべき
理由:
学費の初年度納付が国立大で82万円、私大で148万円という巨額に上るなか、少なくない学生が「1日一食」に食事を減らし、8割の学生が勉強・研究時間を削ってアルバイトに従事するなど、高学費で学生生活が限界に達しています。国際人権規約にあるように教育は人格の完成とともに諸国民の間の寛容や平和の維持につながることを日本も含めた国際社会が認めているように、教育の成果は個人でなく社会全体のものです。欧州各国などで実現している高等教育無償化=学費ゼロを求め、まずはただちに授業料半額・入学金ゼロに移行すべきです。昨年総選挙で主要政党全てが高等教育の無償化や負担軽減を掲げていながら、後ろ向きの姿勢に終始することは許されません。いまこそ責任を果たすべきです。
⑥給付型奨学金制度について
現行の就学支援制度は世帯年収380万円程度までとなっています。今年度より支援対象が拡大されましたが、多子世帯のみが対象とされています。給付型奨学金支援制度について、どのようにお考えでしょうか?A:多子世帯のみならずさらなる拡充が必要
理由:
現状の修学支援制度はあまりに条件が厳しすぎます。「自宅4万円、自宅外8万円」の給付奨学金制度へ改め、現在の奨学金利用者の半数にあたる75万人が受給できる仕組みに拡充します。欧州各国では給付奨学金がひろく普及しており、経済的な効果も指摘されています。憲法で定められた基本的人権である教育を受ける権利を保障し、さらに社会全体の未来を豊かにするという位置づけが必要です。
⑦奨学金返済について
日本の大学生の過半数(55%:令和4年度日本学生支援機構調査による)が大学に進学するために奨学金を受給しています。一方、多額の「ローン」を抱えて卒業を迎えるため、奨学金返済のために若者が将来を思い描けないなどの弊害が指摘されています。奨学金返済について、いかがお考えでしょうか?A:負担軽減措置を講ずるべき
理由:
一人あたり平均300万円、総額10兆円もの奨学金=借金返済は40歳代前後まで続くことが多く、子育てや結婚、食事や医療への影響が確認されるなど、若い世代の生活と人生とを確実にむしばんでいます。アメリカはバイデン政権時に学生ローンの借り手一人あたり一万ドル(約140万円)の返済免除を決めました。日本でも返済軽減を政治的に決断すればできるものであり、日本でも直ちに半額免除を求めます。必要な経費5兆円は国の責任で国債を発行し、計画的に返済させます。同時に返還中を含め貸与型奨学金を無利子にし、貸与型奨学金そのものを所得に応じた返済制度にします。