日本共産党 兵庫選挙区 新人 59歳
①国立大学法人の授業料について
東京大学では今年度入学者から授業料を年間10万円以上の値上げが行われました。東京大学の授業料値上げが報じられて以降、全国の国立大学法人でも授業料値上げの検討がなされているとの報道があります。国立大学法人の授業料(標準額:年間53万5,800円)について、どのようにお考えでしょうか?A: 高いので引き下げるべき
理由:
高学費によって学生生活が限界にきているときに、さらなる負担増はやってはなりません。教育の機会均等、学ぶ時間を奪っているのが高学費であり、引き下げるべきです。
②国立大学法人運営費交付金について
東京大学をはじめとした授業料の値上げの理由として、2004年の国立大学法人化以降、運営費交付金が減らされつづけており、大学運営に支障をきたす段階に至っていることが挙げられています。今年度予算額も前年度と同額とされましたが、昨今の物価高騰を考慮すると、実質的に前年度から200億円程度の減額に相当するとの指摘もあります。国立大学の運営費交付金について、いかがお考えでしょうか?A:増額すべき
理由:
国立大学の運営に必要な経費を支えるのが運営交付金です。法人化された2004年度に比べ1631億円(2024年)減らされ、国立大学協会も声明で「もう限界です」と窮状を訴えています(2024.6.7)。これをただちに回復し増額すべきです。
③私学助成金に関して
国立大学法人のみならず、私立大学等でも授業料(入学金、設備維持費等を含む)の値上げがなされています。私立大学等経常費補助金(以下、私学助成金)の一般補助は減少傾向にあり、そのことが授業料値上げに転嫁されていると考えられます。私学助成金について、いかがお考えでしょうか?A:増額すべき
理由:
私立大学への助成は経常経費のわずか1割に抑制されてきました。高等教育機関としては、国立と私立に差異はありません。学生の8割近くを擁する私立大学の公共的役割にふさわしく、私学への国の支援を抜本的に強める必要があります。
④高等教育費に係る公的支出について
日本の高等教育費における家計負担の比率は51%で、OECD平均(19%)の2倍以上となる一方で公的支出の割合は、日本が37%とOECD平均(68%)を大きく下回っています。高等教育費への公的支出について、いかがお考えでしょうか?A:支出を増やすべき
理由:
日本は、OECD(経済協力開発機構)諸国の中で高等教育への公的負担割合が最も低い国の一つです。大学予算削減のしわ寄せを学費値上げによる「自己収入」で賄うようになれば、教育の機会均等、学生の学ぶ権利はますます壊されます。日本の経済力にふさわしく大学予算を拡充し、憲法の「教育を受ける権利」「学問の自由」の全面的な保障のために政治が責任を果たすべきです。
⑤高等教育無償化について
日本は国際人権規約A規約第13条において定められている中等、高等教育の漸進的無償化条項の留保を2012年に撤回し、高等教育の無償化を進めることを国際的に示しています。また、日本国憲法第26条において教育を受ける権利が保障されています。こうした教育を受ける権利を保障する手段として高等教育を無償化することについて、いかがお考えでしょうか?A:無償化すべき
理由:
そもそも教育の成果は個人のものでなく社会全体のものです。国際社会は、第2次世界大戦の反省に立ち、国連総会で採択された国際人権規約にも実ったように、すべての人の教育の権利を認め、教育が人格の完成とともに、諸国民の間の寛容や平和維持につながるという考え方に立って、高等教育の無償化をうたっています。日本政府は、2012年に国際人権規約の高等教育無償化条項の留保を撤回しています。高等教育無償化は国民と国際社会への日本政府の公約であり、「受益者負担主義」の立場から脱却し、無償化に踏み出すべきです。
⑥給付型奨学金制度について
現行の就学支援制度は世帯年収380万円程度までとなっています。今年度より支援対象が拡大されましたが、多子世帯のみが対象とされています。給付型奨学金支援制度について、どのようにお考えでしょうか?A:多子世帯のみならずさらなる拡充が必要
理由:
奨学金は国民の教育を受ける権利を保障するもので、給付を基本にすべきです。学費が高いのに、給付奨学金制度が確立していないのは世界で日本だけです。人生の門出で「奨学金」という名の多額の借金を負わせる社会はあらためるべきです。奨学金返済額は10兆円にもなります。現在の奨学金は、将来借金となる貸与制が中心です。日本共産党は「自宅4万円、自宅外8万円(月額)」を75万人(現在の奨学金利用者の半数)に支給する本格的な給付奨学金制度を創設し、対象・支給額を拡充していくことを提案しています。
⑦奨学金返済について
日本の大学生の過半数(55%:令和4年度日本学生支援機構調査による)が大学に進学するために奨学金を受給しています。一方、多額の「ローン」を抱えて卒業を迎えるため、奨学金返済のために若者が将来を思い描けないなどの弊害が指摘されています。奨学金返済について、いかがお考えでしょうか?A:負担軽減措置を講ずるべき
理由:
多額の借金返済は、若い世代の生活に重くのしかかります。奨学金返済が結婚や子育てをはじめ生活設計の重荷となり、将来不安を増大させています。貸与奨学金の総貸付残高10兆円の半分を国が拠出して減額すること、すべての貸与奨学金を無利子にすることなどが必要と考えています。