日本共産党 比例 現職 65歳
①国立大学法人の授業料について
東京大学では今年度入学者から授業料を年間10万円以上の値上げが行われました。東京大学の授業料値上げが報じられて以降、全国の国立大学法人でも授業料値上げの検討がなされているとの報道があります。国立大学法人の授業料(標準額:年間53万5,800円)について、どのようにお考えでしょうか?A: 高いので引き下げるべき
理由:
教育は憲法が国民に保障する基本的人権であり、どんな経済的環境に生まれてもお金の心配なく教育を受けられる国にすべきです。重い教育費負担を減らして国民のくらしを守る上でも、「教育は権利」という民主主義の原則を実現していく上でも、大切な課題です。
②国立大学法人運営費交付金について
東京大学をはじめとした授業料の値上げの理由として、2004年の国立大学法人化以降、運営費交付金が減らされつづけており、大学運営に支障をきたす段階に至っていることが挙げられています。今年度予算額も前年度と同額とされましたが、昨今の物価高騰を考慮すると、実質的に前年度から200億円程度の減額に相当するとの指摘もあります。国立大学の運営費交付金について、いかがお考えでしょうか?A:増額すべき
理由:
国立大学運営費交付金は、法人化された2004年度に比べ、年額で1,631億円も減額されています(24年度)。地方国立大学では、教員一人当たりの基盤的経費配分額が年10万円程度になるなど、最低限必要な研究費の確保が困難になり、研究のすそ野が狭まっています。基盤的経費の削減によって競争的資金の獲得競争が激化し、申請業務の負担が増え、肝心の研究時間が減っています。短期的成果主義がまん延し、研究者が自由な発想で長期的視野からじっくりと研究にとりくめる環境が急速に失われています。その結果、世界から注目されるような質の高い研究論文が減っています。この問題を解決するために、基盤的経費の増額へとかじを切り、運営費交付金の削減分を元に戻し、増額をはかり、「実績」に応じた傾斜配分は廃止すべきです。
③私学助成金に関して
国立大学法人のみならず、私立大学等でも授業料(入学金、設備維持費等を含む)の値上げがなされています。私立大学等経常費補助金(以下、私学助成金)の一般補助は減少傾向にあり、そのことが授業料値上げに転嫁されていると考えられます。私学助成金について、いかがお考えでしょうか?A:増額すべき
理由:
私学は憲法が保障する公教育のひとつです。そして、建学の精神や独自の教育理念によって多様な教育を求める国民の要求にこたえるというかけがえのない役割があります。私学も公教育である以上、ヨーロッパのように、大半の経費を公財政でまかなうべきです。大学生の8割近くを擁する私立大学がはたす公共的役割にふさわしく、私学への国の支援を抜本的に強める必要があります。学生の学ぶ権利を保障する高等教育機関としては、国立と私立に差異はありません。私立大学の経営悪化の最大の原因は、「経常費の2分の1助成」という国会決議を踏みにじって、国庫助成を経常費の1割にとどめていることにあります。私立大学にも国公立大学と同様に公費を支出する「公費負担」の原則を確立するべきです。「2分の1国庫補助」国会決議をすみやかに実現し、校舎などへの助成を実現させ、私学助成を抜本的に拡充すべきです。公費負担による入学金廃止に踏み出すべきです。
④高等教育費に係る公的支出について
日本の高等教育費における家計負担の比率は51%で、OECD平均(19%)の2倍以上となる一方で公的支出の割合は、日本が37%とOECD平均(68%)を大きく下回っています。高等教育費への公的支出について、いかがお考えでしょうか?A:支出を増やすべき
由:
"家庭の経済力に左右されず教育を受けられる社会こそ、子どもと若者の未来を支え、社会を豊かにします。ところが日本では、国公立大学も、私立大学でも学費値上げのラッシュが起きています。政府審議会で「国立大学費を150万円に」などの議論さえ行われています。この根底には、教育予算を削り、かわりに国民に多額の教育費を負担させるという、「受益者負担」「自己責任」の自民党政治があります。
大学学費の値上げを中止させ、国の予算を投入して授業料半減・入学金ゼロを実現(専門学校含む)し、無償化をめざすべきです。
⑤高等教育無償化について
日本は国際人権規約A規約第13条において定められている中等、高等教育の漸進的無償化条項の留保を2012年に撤回し、高等教育の無償化を進めることを国際的に示しています。また、日本国憲法第26条において教育を受ける権利が保障されています。こうした教育を受ける権利を保障する手段として高等教育を無償化することについて、いかがお考えでしょうか?A:無償化すべき
理由:
日本政府は、2012 年に国際人権規約の高等教育無償化条項について留保を撤回し、高等教育を漸進的に無償化することを国民と国際社会に公約しましたが、その後、そのための具体的な取り組みは議論もされず、10年以上も「放置」されています。政治が看過して良いのかが問われています。
そもそも憲法は、教育の機会均等を定めており、それを国民に保障するのは政治の責任です。教育の成果は、個人のためだけでなく、社会全体のものです。誰もがお金の心配なく大学で学べるようにすることは、日本の学術振興、科学技術の発展、社会の進歩に大きく寄与することになります。OECD 加盟国で高等教育への公的支出が「最低水準」、すなわち私的支出=個人負担がとても大きいという状態も放置して良いはずがありません。政府として、高等教育の漸進的無償化をすすめることを求めます。
⑥給付型奨学金制度について
現行の就学支援制度は世帯年収380万円程度までとなっています。今年度より支援対象が拡大されましたが、多子世帯のみが対象とされています。給付型奨学金支援制度について、どのようにお考えでしょうか?A:多子世帯のみならずさらなる拡充が必要
理由:
政府が2020年度から導入した修学支援制度(授業料免除と給付奨学金)は、条件が厳しく、実情にも合わないために全学生の1割しか対象にならず、予算の4割も余らせている欠陥制度で、本来の給付奨学金とは程遠いものです。国際人権A規約(社会権規約)の高等教育の無償化条項を日本政府は2012年に批准し、高等教育無償化を国際公約したのですから、給付型奨学金の拡充は当然のことと考えます。
⑦奨学金返済について
日本の大学生の過半数(55%:令和4年度日本学生支援機構調査による)が大学に進学するために奨学金を受給しています。一方、多額の「ローン」を抱えて卒業を迎えるため、奨学金返済のために若者が将来を思い描けないなどの弊害が指摘されています。奨学金返済について、いかがお考えでしょうか?A:負担軽減措置を講ずるべき
理由:
学生の8割がアルバイトに従事し、3人に1人が貸与奨学金を借りています。平均で300万円の奨学金という「借金」をかかえて社会に出ざるをえない状況で、若い世代の抱える奨学金返済額は10兆円にものぼります。奨学金返済の半額免除を緊急に行うなどの措置が必要です。