日本共産党 比例 新人 53歳
①国立大学法人の授業料について
東京大学では今年度入学者から授業料を年間10万円以上の値上げが行われました。東京大学の授業料値上げが報じられて以降、全国の国立大学法人でも授業料値上げの検討がなされているとの報道があります。国立大学法人の授業料(標準額:年間53万5,800円)について、どのようにお考えでしょうか?A: 高いので引き下げるべき
理由:
アメリカでは7割の学生がアルバイトなしで研究生活を送っているなか、日本の学生は8割がアルバイトに従事しています。大学生協連の調査では「日常生活で悩んでいること」のトップが「生活費やお金のこと」で、経済的事由で休学や退学を余儀なくされる学生も少なくありません。「お金持ちだけが大学に行ける」社会は不公正です。学費は値下げ、さらには無償化=学費ゼロに向かうべきであって、それとは真逆の学費値上げは異常であり、約100億円で国立大学の学費値上げを回避できるとされています。営利企業のラピダス社に1.7兆円など半導体産業に5年で10兆円の血税を投入するよりも、学生の救済のためにすぐにでも値上げ回避の政治決断をすべきです。
②国立大学法人運営費交付金について
東京大学をはじめとした授業料の値上げの理由として、2004年の国立大学法人化以降、運営費交付金が減らされつづけており、大学運営に支障をきたす段階に至っていることが挙げられています。今年度予算額も前年度と同額とされましたが、昨今の物価高騰を考慮すると、実質的に前年度から200億円程度の減額に相当するとの指摘もあります。国立大学の運営費交付金について、いかがお考えでしょうか?A:増額すべき
理由:
運営費交付金は国立大学の運営の生命線であるにもかかわらず、法人化以降1600億円も削減されてきました。慢性的な研究費不足、教員の不安定雇用の原因となっており、背に腹は代えられない研究者らが国の進める軍事研究にまで手を出さるを得ないなど、あまりに深刻です。日本は法人化以降の論文引用数が4位から13位に転落するなどもはや世界レベルの研究ではないという状況です。国は「大学の国際競争力強化」などと口では言いますが、このままでは日本の学術研究と高等教育はますますやせ細るだけです。社会全体にとって有益であるという位置づけで交付金を抜本的に増額すべきです。
③私学助成金に関して
国立大学法人のみならず、私立大学等でも授業料(入学金、設備維持費等を含む)の値上げがなされています。私立大学等経常費補助金(以下、私学助成金)の一般補助は減少傾向にあり、そのことが授業料値上げに転嫁されていると考えられます。私学助成金について、いかがお考えでしょうか?A:増額すべき
理由:
私立大学の経営悪化や学費高騰の原因は、私立大学の助成を「経常費の2分の1」とした国会決議を踏みにじってたった1割に抑制してきた、政治の責任です。あまつさえ、定員割れ大学に対する減額で地方の私立大学を事実上つぶそうとするなど、許されません。大学は、私立を含めて国民共有の知的財産として発展してきたかけがえのない存在です。私立大学の公共性や教育研究の質を高める改革を進めるとともに、私学助成を経常費の2分の1まですみやかに引き上げるべきです。
④高等教育費に係る公的支出について
日本の高等教育費における家計負担の比率は51%で、OECD平均(19%)の2倍以上となる一方で公的支出の割合は、日本が37%とOECD平均(68%)を大きく下回っています。高等教育費への公的支出について、いかがお考えでしょうか?A:支出を増やすべき
理由:
日本はGDPが世界4位の経済大国であるにもかかわらず、高等教育に対する公的支出はOECD加盟国中ワースト2位という情けない状況です。自公政治は「受益者負担」なる論理を持ち出しますが、重い学費負担は高等教育の土台を崩し、子育て負担の増大と少子化の原因にさえなっています。本来大学研究の成果は社会全体が享受するものであり、国の責任で発展させるべきだという考えのもと、今こそ経済力にふさわしく大学予算を拡充し、憲法の「教育を受ける権利」「学問の自由」を全面的に保障する政治へ転換すべきです。
⑤高等教育無償化について
日本は国際人権規約A規約第13条において定められている中等、高等教育の漸進的無償化条項の留保を2012年に撤回し、高等教育の無償化を進めることを国際的に示しています。また、日本国憲法第26条において教育を受ける権利が保障されています。こうした教育を受ける権利を保障する手段として高等教育を無償化することについて、いかがお考えでしょうか?A:無償化すべき
理由:
無償化条項の留保撤回から13年、無償化どころか国立私立を問わず学費の高騰ラッシュが続き、それを政府が黙認する異常な状態が続いています。安倍政権時に無償化策を導入する口実で消費税増税を行うなど、自公政権はきわめて不誠実な政治を進めてきました。人権規約は、すべての人の教育の権利を認め、人格の完成と諸国民の間の寛容や平和の維持につながるものとして、高等教育の無償化を謳い、実際に欧州各国では国民的な運動の中で1960年年代以降無償化に踏み出しました。大学授業料をただちに半額にし、さらに無償化に踏み出すよう強く求めます。
⑥給付型奨学金制度について
現行の就学支援制度は世帯年収380万円程度までとなっています。今年度より支援対象が拡大されましたが、多子世帯のみが対象とされています。給付型奨学金支援制度について、どのようにお考えでしょうか?A:多子世帯のみならずさらなる拡充が必要
理由:
高学費のもと、アルバイトと貸与奨学金なしに学生生活が成り立たない状況が「当たり前」になっています。貸与型奨学金のために社会に出るにあたり一人あたり平均300万円もの借金が強要されるなど許されません。教育の権利を保障し、若い世代が新しい知識や技術、多様な価値観を身につけた社会人へと成長できるためにも、豊かな日本社会の発展のためにも、経済的な負担や不安を取り除くことが不可欠です。給付奨学金を75万人(現在の奨学金利用者の半数)にまで抜本的に拡充するよう求めます。
⑦奨学金返済について
日本の大学生の過半数(55%:令和4年度日本学生支援機構調査による)が大学に進学するために奨学金を受給しています。一方、多額の「ローン」を抱えて卒業を迎えるため、奨学金返済のために若者が将来を思い描けないなどの弊害が指摘されています。奨学金返済について、いかがお考えでしょうか?A:負担軽減措置を講ずるべき
理由:
貸与型奨学金の総額は約10兆円にも上るもので、若い世代の生活をむしばんでいます。40代前後まで事実上「借金」を抱えて社会生活を送ることが運命づけられるなか、少なくない若い世代が食事や医療費、子育て費用を削りながら暮らすことを余儀なくされています。あまりに理不尽で不合理です。貸与型奨学金の返済を半額に減らすよう提案します。必要な予算は5兆円ですが、大企業や富裕層を優遇している法人税・所得税のあり方を見直し、8.7兆円を超えて膨張し続ける軍事費や原発予算、大企業支援などの歳出削減で生み出し、不足する場合は国債発行も含めて対処します。