プロジェクトのホームページで述べられているように、Planet CCRMA at Homeのゴールは、Fedora Linuxベースのコンピュータをオーディオワークステーションに変貌させるためのパッケージを提供することです。これが意味するところは、 Fedora プロジェクトは汎用のオペレーティングシステムを提供することにかけてはすばらしいはたらきをしていますが、汎用のオペレーティングシステムというものは高品質のオーディオ作業にとっては不十分であるということです。Planet CCRMA at Homeの貢献者たちはあなたのシステムをオーディオ作業のために特別に調整することのできるソフトウエアパッケージを提供します。
GNU SolfegeとLilyPondのユーザは、Planet CCRMA at Homeとかかわりをもつ必要はありません。他のオーディオソフトウエアをお使いの場合は除きますが。SolfegeもLilyPondも、オーディオ作成のために最適化されたコンピュータで有利になることはありません。
CCRMA は、'Center for Computer Research in Music and Acoustics 音楽と音響学のコンピュータ研究センター'の略で、カリフォルニア州スタンフォードにある、スタンフォード大学の学術研究機関および音楽コンピューティング機関の名前です。そこではさまざまな音楽の環境において、コンピュータと技術が及ぼす効果と可能性を理解する研究が行われています。そこでは、学術コースが提供され、ワークショップとコンサートがひらかれ、多くの高度に専門化された分野の仕事をひとつにまとめる試みがなされています。
Planet CCRMA at Homeのウエブサイトには、彼らが、CCRMAのコンピュータ施設で使われるソフトウエアのほとんどを提供していると書いてあります。このソフトウエアの多くは、先進的で複雑で、日常的に使うためのものではありません。冒険好きなユーザはPlanet CCRMAのウエブサイトを探検して自分でそのソフトウエアを調べてみるとよいでしょう。
追加のリポジトリをインストールするただ1つのもっともな理由は、あなたがそこのソフトウエアをインストールして使いたいからでしょう。このガイドで取り扱っているソフトウエアアプリケーションのうち、Planet CCRMA at Homeリポジトリでしか手に入らないものは、 'SuperCollider'です。Planet CCRMA at Homeは他にも、オーディオ関連の多くのソフトウエアアプリケーションを提供していますが、その多くはデフォルトのFedoraプロジェクトリポジトリで手に入ります。
現在デフォルトのFedoraリポジトリで手に入る多くのオーディオソフトウエアのほとんどは、最初は、 Fedora において、Planet CCRMA at Homeリポジトリで入手可能になりました。ときには、アプリケーションのアップデート版が、Fedora Updatesで入手可能になるよりも早くPlanet CCRMAから得られることもあります。もしあなたがより新しいソフトウエアバージョンが必要ならば、あなたはPlanet CCRMAリポジトリをインストールするべきです。
これは、Planet CCRMAリポジトリをインストールして、そのソフトウエアを何もインストールしないユーザには潜在的なセキュリティ上の弱点ともなります。'yum'は、インストールされているアプリケーションのより新しいバージョンを見つけると、リポジトリにかかわらずそれをインストールします。これはあなたが気がつかないうちに起きることがあるので、あなたは知らないうちにPlanet CCRMAのソフトウエアを使っていることがあります。
あなたがそこのソフトウエアを必要とするのでなければPlanet CCRMA at Homeリポジトリをインストールするべきでない最大の理由は、セキュリティです。Planet CCRMAリポジトリを使うことについて、主に2つのセキュリティ問題があります。
Planet CCRMAは、専用のオーディオワークステーションのためのものです。ソフトウエアは、コンピュータシステムをオーディオ作業に使えるようにするために必要な最適化により引き起こされる潜在的(あるいは未知の)セキュリティ上の脅威を生み出すかもしれない方法でパッケージングされます。さらに、これらの最適化はPlanet CCRMA以外のソフトウエアに存在するバグを明らかにして、最適化されないシステムで起きる以上の損害を与えるかもしれません。最後に、コンピュータシステムの'安定性'(トラブルなしに動くことのできる能力)は、オーディオ最適化のために損なわれるかもしれません。普通のデスクトップアプリケーションは、オーディオ最適化されたシステムの上では比較的うまく動かないかもしれません。最適化処理が、意図に反して、いくつかの他のプロセスを最適ではなくすることもあるからです。
CCRMAは、Linuxにフォーカスした巨大な組織ではありません。それは学術組織でありそのPlanet CCRMA at Homeリポジトリに対する主な意図は、コンピュータを持っている誰でもが、彼らがしていることと同じ種類の作業をできるようにするということです。Fedora Projectは比較的大きな組織で、世界で最大の商用 Linux提供者の1つに後援されています。そして、日々の使用に耐える安定してセキュアなオペレーティングシステムを作成することにフォーカスしています。さらに、世界の数千の人々がFedora Projectあるいはそのスポンサー企業で働いており、積極的に問題を解決するのが彼らの責任です。CCRMAも同じ責任を持ちますが、彼らはFedora Projectのように専用のリソースを持ちませんから、同じレベルのサポートを提供できると考えるのは単純(???)過ぎると言えるかもしれません。
すべてのFedora LinuxユーザはCCRMAで働く、Planet CCRMA at Homeリポジトリを提供してくれる人々に感謝するべきです。これまで彼らの作業は、Fedoraが多くの高品質のオーディオソフトウエアを提供する助けとなってきました。さらに、Planet CCRMA at Homeリポジトリをとおして、多くのCCRMAの高度に専門化されたソフトウエアアプリケーションが入手可能なことはオーディオと音楽の熱狂者にとってとても貴重なリソースでした。
一方、Fedoraユーザは、Planet CCRMAソフトウエアが、Fedoraソフトウエアと同じ基準を満たすとは期待できません。Fedora Projectの主なゴールはLinux ソフトウエアを提供することですが、CCRMAの主なゴールはコンピュータを使った音楽とオーディオの研究と芸術についての知識を前進させることなのです。
これらの2つのゴールはどこで出会うでしょうか?
もしあなたが、あなたのコンピュータを日々のデスクトップ作業と高品質オーディオ製作の両方に使いたいならば、1つのよい解決策はあなたのコンピュータを'デュアルブート'することです。これには、同じ物理コンピュータにFedora Linuxを2回インストールする必要がありますが、こうすればPlanet CCRMA at Homeソフトウエアのために完全に分離されたオペレーティングシステム環境を保持することができます。これによりあなたは、Planet CCRMAのアプリケーションを、最も最適化された状態で安全に、セキュアに実行することができます。さらに、あなたはオーディオ作業のために必要のないシステムサービスを停止したり、削除することにより、システムをより最適化することもできます。例えば、GNOMEあるいはKDEユーザは、オーディオ最適化されたインストールのためには'Openbox'だけをインストールする選択ができます。
あるいは、半分、という手段もあります:いくつかのPlanet CCRMAアプリケーションだけをインストールして、完全に最適化されたカーネルとシステムコンポーネントはインストールしないということです。これは、典型的な日々の作業(電子メール、ワードプロセッシング、ウエブブラウジング、など)に使われることが多いコンピュータに適しています。例えばもしあなたがSuperColliderを使いたいけど他のオーディオソフトウエアは必要ない場合、これがあなたにとって最適な解決策かもしれません。
結局、あなたのコンピュータとデータが安全でセキュアであるのを保証するのはあなたの責任です。あなたは自分の作業パターンと欲求のために最適な策を見つけてください。
Planet CCRMA at Homeソフトウエアは、スタンフォード大学のサーバにホスト(格納)されています。それはFedora Linuxのサーバとは別なので、yum(PackageKitとKPackageKitが使うコマンドラインユティリティ)はあなたがそれを使いたいということを知らせられなくてはいけません。リポジトリをインストールした後はPlanet CCRMA at Homeソフトウエアはyum, PackageKit, あるいはKPackageKitにより他のソフトウエアと同じように簡単にインストールすることができます。
以下の手順は、Planet CCRMA at Homeリポジトリ、それはFedora Linuxベースのコンピュータ専用です、をインストールします.
PackageKitあるいはKPackageKitでコンピュータをアップデートします.
ターミナルウインドウで、以下のコマンドを実行ください。
su -c 'rpm -Uvh http://ccrma.stanford.edu/planetccrma/mirror/fedora/linux/\ planetccrma/13/i386/planetccrma-repo-1.1-2.fc13.ccrma.noarch.rpm'
これはすべてのバージョンのFedora、32ビットでも、64ビットでも、で動作します.コマンドはここでは表示のために分かれていますが、一行で書いてください。
コンピュータを再びアップデート下さい。
'yum'の外でRPMデータベースが変更されたという警告が出るかもしれませんが、これは正常です。
リポジトリの定義は自動的に更新されます。
いくつかのパッケージは他のリポジトリ(Planet CCRMA at Homeのような)に加えてFedoraリポジトリでも入手可能です。もしPlanet CCRMA at Homeリポジトリがあなたがインストールした他のリポジトリより新しいバージョンを持っていたら、その時点でPlanet CCRMAバージョンがインストールされます。
リポジトリのインストールにはrpmプログラムを直接使う必要があったのですが、他のすべてのPlanet CCRMAソフトウエアは、他のアプリケーションと同じく、yumを使ってインストールできます。以下が、そのときに使われるコマンドラインオプションの説明です:
-Uは'upgrade アップグレード'を意味し、指定されたパッケージをインストールし、以前にインストールされたバージョンがあれば削除します.
-vは'verbose 冗舌'の意味で、余分の情報メッセージを表示します.
-hは'hash ハッシュ'の意味で、インストールの進行を示すハッシュマーク(#)を表示します.
これはオプショナルで、進んだユーザにのみ勧められます。yumは普通は、どのリポジトリが提供するかには無関係に、パッケージの最新のバージョンをインストールします.このプラグインを使うと、この振る舞いを変え、yumが、主に提供するリポジトリによってパッケージバージョンを選ぶようにできます。低い優先度のリポジトリで新しいバージョンがあっても、yumはパッケージをアップグレードしません.もしあなたが、単に、あるパッケージをアップデートしたくないときはsect-Musicians_Guide-CCRMA_Preventing_Package_Updatesの手順の方が、あなたの目的にかないます。
yum-plugin-prioritiesパッケージをインストールください。
テキストエディタ、catあるいはlessコマンドで/etc/yum/pluginconf.d/priorities.confが存在し、以下のテキストを含むのを確認ください:
[main] enabled = 1
もしこのプラグインを使うのを止めるときは、このファイルを編集して、enabled = 0として下さい。そうすれば、リポジトリ構成ファイルに設定された優先度をそのままにしておけます。
一部、あるいはすべてのリポジトリに優先度を設定できます。リポジトリに優先度を設定するには、/etc/yum.repos.d/*ディレクトリのそのリポジトリに相当するファイルを編集して、以下のような行を追加します:priority = N。ここで、Nは1以上99以下の数字です。優先度1が最高の設定で、99が最低です。少なくとも2つのリポジトリに優先度を設定しないと、このはたらきは有効でありません。
これはオプショナルで、進んだユーザにのみ勧められます。yumは普通は最新のバージョンのパッケージをインストールします。このプラグインは特定のパッケージを更新されなくします。もしあなたが、特定のリポジトリのパッケージを使わなくしたいのであれば、sect-Musicians_Guide-CCRMA_Repository_Prioritiesの方が、あなたの目的にかないます。
yum-plugin-versionlockパッケージをインストール下さい。
テキストエディタ、catあるいはlessコマンドで/etc/yum/pluginconf.d/versionlock.confが存在し、以下のテキストを含むのを確認ください:enabled = 1
/etc/yum/pluginconf.d/versionlock.listに、あなたが更新したくないパッケージのリストを追加下さい。それぞれのパッケージは別の行に書いてください。例えば:
jack-audio-connect-kit-1.9.4 qjackctl-0.3.6
これは、Fedora 14 Musicians' Guide http://docs.fedoraproject.org/en-US/Fedora/14/html/Musicians_Guide/index.html の部分を私が訳したものです。Creative Commons Attribution–Share Alike 3.0 Unported license ("CC-BY-SA")にしたがって https://sites.google.com/site/kandamotohiro で配布されます。kanda.motohiro@gmail.com