あなたが使えるように用意されたものは、Ardour ファイルと、チュートリアルを始めるために必要な、関連するオーディオファイルの入ったフォルダです。チュートリアル自身は、編集、ミキシング、そしてマスタリング(あるいはエクスポーティング)についてのセクションから構成されます。オーディオファイルを録音するのに使われたプログラムは、右と左のチャネルを別々のファイルに分けて保存したので、Ardour には別々のリージョンとしてインポートされます。このため、曲を最初から Ardour で録音した場合と比べると、設定はずっと複雑です。しかし、これはバスや、ステレオイメージの作り方と使い方、そしてボリュームレベルの調整についてより詳しく学ぶよい機会です。
この特殊な状況は、タイムライン上の正しい位置にいるオーディオリージョンはひとつもないということも意味します。ほとんどは多くの編集が必要です。チュートリアルの目的が、曲の最終版をできるだけ早く作成することであるならばこれは困ったことですが、目的は、Ardour の使い方を学ぶことであり、これは十分に保証されています。
チュートリアルのファイルは、 Ardour のプロジェクトファイルと、オーディオファイルそのものです。以下の手順で、チュートリアルファイルをセットアップください。1.http://docs.fedoraproject.org/en-US/Fedora/15/html/Musicians_Guide/files/Ardour/FMG-HereIsHow.tar.lzma から、Ardour のプロジェクトファイルをダウンロードします。少なくとも 1 GiB の空きディスク容量のあるディレクトリで解凍します。2.http://soundcloud.com/fedoraproject/sets/fmg-ardour-tutorial にあるすべてのオーディオファイルをダウンロードします。それらのファイルを、前のステップで作った、Ardour のプロジェクトフォルダのサブディレクトリ、 Interchange/FMG-HereIsHow/audiofiles に置きます。
このセクションは 'Here Is How'の基本的な準備について述べます。リージョンをトリムして、タイムラインの上の正しい位置に置くことが中心です。ゴールは、元の曲の複製を作り上げることなので、芸術的な自由度はほとんどありません。
このセクションを最大に活用するためには、上記のチュートリアルファイルを使ってください。チュートリアルファイルについての指示に従うことで、あなたは本物の曲を作成するために、実際に編集、ミキシング、そしてマスタリングする技術を得られるでしょう。チュートリアルファイルを得る手順は、sect-Musicians_Guide-Ardour-Tutorial_Files を参照下さい。
このトラックを録音するのに使われたプログラムは、左と右を別々のトラックに録音するように設定されていました。このため、Ardour もそのように設定される必要があります。そうすると、セットアップが面倒で、メモリや CPU パワーもより必要としますが、ステレオイメージとレベルのバランスの制御についてはより完全となります。ボーカル、クラリネット、そして弦楽器について1トラックを、マリンバには2トラックを使います。ステレオオーディオですから、倍になって、全部で10トラックが必要です。ステレオトラックを一緒に操作することができると便利なので、そのために5つのバスを使います。こうすることで、ステレオチャネルの両方を変更することも、片方だけを変更することもできるようになります。チュートリアルが進むに連れて、おわかりになると思います。これら全部は、Ardour の中で行われます。
'master' という名前のマスターバスが既にあり、すべてのオーディオ出力はこのバスを経由して行われます。
5つの新しいバスを作成します:
メニューから、'Track > Add Track/Bus' を選択します。
5つのステレオバスを追加するようにオプションを変更します。
'Add'をクリックします。
5つのバスは、キャンバスエリアの、マスターバスの下に、'Bus 1' から 'Bus 5' という名前で現れるはずです。
バスの名前を変更します:
キャンバスエリアの左端に、それぞれのバスの名前のついたボックスを含むコントロールのあるスペースがあります。
バスの名前を変えるには、バスの名前が書かれたボックスの中をマウスで左クリックします。
ボックスはテキスト編集ボックスになります。内容を消して、新しい名前を書きます。
新しい名前を入れたら、キーボードで 'Enter' を押して、 Ardour に設定します。
ボックスは、テキスト編集ボックスではなくなります。
Bus-marimba1
Bus-marimba2
Bus-voice
Bus-strings
Bus-clarinet
10の新しいトラックを作成する。
10の、ノーマルモードのモノラルトラックを追加するようにオプションを設定します。
キャンバスエリアのバスの下に、 'Audio 1' から 'Audio 10' という名前のトラックが現れるはずです。
バスの名前を変えたのと同じように、トラックの名前を変えます。ここのそれぞれのトラックはオーディオチャネルの左か右だけを保持することに注意ください。名前は、左チャネルなら '0' か 'L' 、右チャネルなら '1' か 'R' を先頭あるいは後尾につけるのがよいでしょう。このような名前になるでしょう:
marimba1-L
marimba1-R
marimba2-L
marimba2-R
voice-L
voice-R
strings-L
strings-R
clarinet-L
clarinet-R
最後に、トラックとバスの並び順を変えます。これは厳密には不要で、あなたが最もよいと思う順序を好きに採用ください。例えば、マリンバは、ほとんど曲の間ずっと演奏されるので、一番下に持ってくるのがよいかもしれません。
キャンバスエリアの右のセッションサイドバーを探します。
5つのタブがあります:Regions, Tracks/Busses, Snapshots, Edit Groups, そして Chunks です。'Tracks/Busses' を選択します。
すべてのトラックとバスはリストに表示され、それぞれにキャンバスエリアでそのトラックあるいはバスを表示するかどうかのチェックボックスがあります。これで、バスの名前に 'bus' という語をつけるのがよい理由がわかったと思います。
トラックとバスの並び順を変えるには、マウスで移動したいトラックあるいはバスの名前をクリックしてドラッグします。
トラックあるいはバスのドラッグを始めると、リストに線が現れて、トラックあるいはバスの移動先を示します。リストが見えにくい時は、ドラッグしているトラックあるいはバスを少し横に動かすとよいです。
インタフェースでは、トラックあるいはバスを他のトラックあるいはバスの上に重ねられるように見えるかもしれませんが、実はそうではありません。トラックあるいはバスが他のトラックあるいはバスの上に重なるように見えるとき、実際にはリストの上でそのトラックあるいはバスの1つ前に置かれます。
編集するには、バスを、それが制御するトラックの次に置くと便利です。これはいつでも、後から変えることができます。
私たちは、心の中ではバスのシステムを作り上げましたが、まだそれを Ardour には伝えていません。QjackCtl でそれを確かめることもできます。すべての追加されたトラックとバスはマスターバスのオーディオ出力につながっています。さらに悪いことに、バスには、入力信号は何もありません。私たちがトラックとバスをどのようにつなぎたいのかを Ardour に伝えるには、2つのアプローチがあります。これから両方の例をあげます。あなたが、残りを仕上げてください。
トラックとバスをつなぐ1つの方法は、接続の変更が少ない時に適します。
コントロールの下、トラックのコントロールエリアをクリックして、'marimba1-L' トラックを選択ください。
キャンバスエリアの左のエディタミキサーが、トラックの名前と色(たぶん、今の場合、緑)を上の方に表示するはずです。
エディタミキサーが見えないときは、メニューから 'View > Show Editor Mixer' をクリックして、チェックをつけます。キーボードから 'Shift + E' を押しても、表示をトグルできます。
エディタミキサーが 'marimba1-L' トラックのコントロールを表示しているのを確認したら、エディタミキサーの一番下、 'Comments' の上のボタンを見てください。'master' とあるはずです。出力がマスターバスにつながっていることを意味します。これは望むものではありません。 'master' ボタンをクリックします。
'master' ボタンをクリックすると、メニューがポップアップして、別の出力を選べるようになります。このトラックは、 'Bus-marimba1' バスにつなぎたいのですが、リストにはありません。このためメニューから 'Edit' を選択します。
コネクションウインドウが現れます。使い方がわかりにくいので、以下に説明します:
左の、 'Outputs' のラベルのところは、 'out 1' と 'out 2' の2つの出力チャネル、それに、それがつながっている先のすべてのもののリストがあります。
'Add' ボタンは、出力チャネルを追加します。信号をステレオバスに出力するので、2つで十分です。
'Remove' ボタンは、出力チャネルを削除します。
'Disconnect All' ボタンは、トラックの出力コネクションをすべて削除します。
このリストでコネクションをクリックすると、削除されます。
右側、'Available connections' とラベルのある方には、JACK が提供するすべての入力のリストがあります。
JACK 対応のアプリケーションは、それぞれ、タブがあり、その下にコネクションのリストがあります。
このリストのコネクションをクリックすると、最後に選択された出力チャネルに、それが加えられます。
'Disconnect All' ボタンをクリックします。
空の 'out 1' リストをクリックします。
'Available connections' リストから、'Bus-marimba1/in 1' コネクションをクリックします。それは 'out 1' リストに加えられます。
次に、'Bus-marimba1/in 2' コネクションをクリックします。それは、 'out 2' リストに加えられます。
コネクションリストの表示が変わって、あなたがコネクションのペアを追加したことを示します。
'Close' をクリックして、コネクションの変更を有効にします。
'master' ボタンは、 'Bus-ma' のようになっていることに注意ください。トラックの出力コネクションが変わったためです。
コネクションを変更するもう1つの方法は、今回必要となるような、大量の変更を行うのに、ずっと高速です。
Window Track/Bus Inspector を選択します。
'Track/Bus Inspector' ウインドウが現れます。左側にトラックとバスのリストが、右側に4つの情報タブがあります。
'Inputs' と 'Outputs' タブで、選択されたトラックあるいはバスの入力と出力を見たり設定したりできます。2つの 'Redirects' タブは、プラグインの設定を変えるのに使いますが、このチュートリアルでは扱いません。
リストから 'Bus-marimba1' バスを選択してください。
'Input' と 'Output' タブを見てください。
'marimba1-L' トラックが、このバスの入力に接続され、このバスの出力が、 'master' バスの入力に接続されているのを確認ください。
'marimba1-R' トラックの2つの出力を、このバスの入力リストに加えます。
'marimba1-R' トラックの出力を見てください。これは、望むものではありません。マスターバスへの接続を削除ください。
他のトラックも修正して、以下のテーブルが示すような接続になるようにしてください。
それぞれのバスの 'Input' タブを見て、接続を確認ください。
マスターバスの入力には、5つのバスだけがつながっていることを確認ください。
次のステップは、トラックにリージョンを追加することです。この時点でリージョンを切り詰めると、後の作業が速くなるのですが、長いリージョン、あるいは休止(ほとんど静かなスペース)をリージョンに持つのは、便利な理由がいくつもあるので、今回はそのままとしましょう。
セッションサイドバー(キャンバスエリアの右)で、'Regions' タブを選択します。リストには、セッションのすべてのリージョンが含まれます。それぞれのリージョンは、1度だけ表示されます。タイムラインの上で何回、現れようと、あるいは、全く使われなくても、です。
キャンバスエリアにリージョンを追加するには、リージョンの名前をクリックして、トラックの上にドラッグするだけです。これをするときにカーソルが変化して、カーソルの垂直線が、タイムラインの上でリージョンが開始する点を示します。
リージョンの追加は、こんなに簡単!
おわかりかもしれませんが、実はまだやることがあります。そしてそれは、この特定のファイルの構成に関係があります。リージョンリストには、多くの似た名前のリージョンがあるのに気がつかれるでしょう。そして、名前のほとんどは、特定のトラックとバスに対応します。ファイルは、中に何があるかわかるような名前がついています。番号がついていて、追加される順序がわかります ('Marimba_1' の次は、 'Marimba_2')。そして、末尾の 'L' あるいは 'R' は、リージョンが左チャネルか右かを示します。さらに、 'ens-' で始まるリージョンは、 'voice' トラックに属します。 ('ens' は、 'ensemble' の略で、このリージョンに短いボーカルのアンサンブルがあることを示します。また、 'Voice... ' リージョンには、1人の歌手だけがあります)。'Here_Is_How' リージョンは、 'Create_the_Inconceivable' リージョンの前にあります。このようにリージョンを名付ける技術的な理由はありません。これらの名前は、あなたが曲を編集してミックスするのに便利なようにつけられました。今のところ、まだ 'marimba2' トラックとバスは使わないので、 'Marimba_' リージョンは、全部、 'marimba1' トラックに入れておきます。
リージョンを追加するうちに、あなたは Ardour でリージョンを操作することについて多くを学ぶでしょう。以下は、ためになるヒントです:
すべてのトラックを見るには、マウスのスクロールホイール(それがあれば)を使って、垂直にスクロールしましょう。
キーボードで、 'Ctrl' ボタンを押したままにして、マウスのスクロールホイールを使えば、キャンバスウインドウで見ることのできる時間を調整できます。
キーボードで 'Alt' ボタンを押したままにして、マウスのスクロールホイールを使えば、横にスクロールして、タイムラインを移動できます。
リージョンを置いた後も、キャンバスエリアの中でそれをどこへでも動かすことができます。'Select/Move Objects' ツールを使ってください。トランスポートコントロールの下、ツールバーの中で、指さす手のアイコンをクリックします。
リージョンを動かすときは、色のついたバーの上の大きなエリアをクリックしてドラッグするように注意ください。リージョンの下の方の色のついたバーをクリックすると、リージョンの大きさを短くしてしまいます。
このようにトラックを追加しているときは、それらが完全に同期されていることは重要ではありません。しかし、トラックの開始を他のトラックに自動的にそろえる 'magnetic' スナップ機能を使うこともできます。リージョンをゆっくりドラッグすると、開始点が他のリージョンに近づくと、(キャンバスエリアの垂直線で示されます)リージョンはそれに 'stick' くっつく、ように見えます。終わったら、その機能を無効にします。
とりあえず、今は不正確でもよいので、リージョンを適当なトラックに、できるだけつめて、オーバラップしないように入れます。
さて、リージョンの大きさを切り詰める準備ができました。本来録音対象とした部分の前と後にある、ほとんど静かなスペースを削除すします。特別ケースがいくつかあるので、まず、最初に、リージョンにこれを行うための一般的な説明をします。つぎに、それぞれのリージョンについて、具体的な説明をします。
クラリネットから始めましょう:
まず、クラリネットバスを 'solo' モードにします。バスのコントロールスペースで、 's' ボタンを押してください。これで、クラリネットバスだけが聞こえるようになります。
最初のクラリネットリージョンを聞きます。キーボードで 'Home' を押して、トランスポートの再生ヘッドを最初に位置づけ、スペースキーを押して、トランスポートを開始します。
クラリネットが演奏を始める前に、20秒くらいのほとんど静かな部分があります。注意して聞くと、部屋の音や、誰かが小節数を数えている声が聞こえます。
チャネルが同期していないときには、タイムラインの上で位置を調整する必要があります。リージョンをドラッグするときに現れる黄色い時計を使います。それは、2つめの時計と同じ単位に設定されていて、ファイルの最初からの時間を示します。次のステップに進む前に、同期させるのが重要です!
'L' あるいは 'R' リージョンを選択します。エディットグループを使っているときは、どちらを選択してもかまいません。Ardour は 2つのトラックのリージョンが、'group equivalent' 同じグループ、であることを知っているからです。(つまり、それらは基本的には同じもので、たぶん、同じ所に属するはずだと)
クラリネットが開始する点の近くの、リージョンの色のついたバーをマウスでクリックします。
Ardour は、 両方のトラックで自動的にリージョンの開始点を移動します。
再生ヘッドを位置づけたい先の点のルーラーをクリックして、再生ヘッドを動かし、重要なオーディオを切り取ったりしないように、リージョンの部分をよく聞いてみます。
リージョンの開始点を変更するには、注意深くマウスカーソルをリージョンの開始点の色のついたバーに移動します。カーソルは、左右の両側に矢印のついた形に変わります。間違って大切なクラリネットのサウンドの一部を削除してしまっても、それはそのままだとわかるでしょう。実際、このようにリージョンをトリミングするうえでのありがたいことは、それが「非破壊的」つまり、完全なオリジナルのリージョンがそのままあることです。
最初の変更をした時、Ardour はセッションサイドバーのリージョンリストにあるリージョン名の隣に、矢印をつけたことに注意ください。その矢印をクリックすると、下に、同じリージョンのもうひとつの、白色のコピーがあることがわかります。Ardour は、白色のリージョンは、青いリージョンの変更だということを示します。白いリージョンをキャンバスエリアにドラッグすると、あなたが変更したリージョンと同じ所から開始するのがわかります。元のリージョンと同じ大きさに引き伸ばすこともでき、そうするとオリジナルのもうひとつの変更されたバージョンが作られます。Ardour は、リージョンの複数のコピーを保存しているように見えますが、実際には1つだけを保存しており、たくさんあるように見えるために必要な情報を別に保存しているのです。
リージョンの終点を変更して、クラリネットの後の長すぎる静寂を取り除きます。このとき、クラリネットを切り取ってしまわないように特別に注意してください。クラリネットは、リージョンの終わりではとても小さい音になります。切り取るものはそれほどありません!リージョンの終点を変更するとき、色のついたバーをクリックすることはできないことに注意してください。クリックアンドドラッグしないといけません。
以下は、その他のリージョンを編集するための指示です。リージョンを切り詰めるとき、セッションの最初に向けて移動させるのがよいでしょう。別のトラックに行く時には、「ソロモード」にあるバスを変更するのを忘れないでください。さもないと、編集しようとするトラックを聞くことができません。また、リージョンのいくつかには、同じか、ほとんど同じ音楽が入っていることに気がつくかもしれません。それについては、後で説明します。
Clarinet
Clarinet_2:
開始時に音が入りますが、不要です。削除します。その後の静寂も含めて。
終点には長い静寂がありますから、削除します。
Clarinet_3, Clarinet_4: 最初と最後の静寂は削除しますが、途中の静寂は残してください。
Strings:
Strings_1: 開始時にぶつぶついうノイズが入ります。そのままにしても、削除してもよいです。Esther はそのままにする方を選んだので、私もそうしましょう。
Strings_2, 3, 4: 開始時に静寂、終了時にはほんの少し。会話は削除しても、後で対策してもよいです。
Voice:
Voice_1, 2, 3, 4: 最初と最後の静寂を単純に除きます。失敗はそのままにしておきます。後で、対策します。
ens-Here_Is_How-1, 2, 3: 今のところ、すべての余分なノイズを除くのは大変むつかしいため、そのままとします。breating と shuffling は後で削除できます。訳注:breath, snuff 息と鼻をかむ音?
ens-Create_the_Inconceivable: とりあえず、両方のテイクをそのままとします。後で、どっちを採用するか決めます。
Marimba:
Marimba_1: このリージョンの最初を切り詰めないでください。セッションの開始時刻として使います。終端の静寂を削除してもよいですが、マリンバがまだ鳴っているときに切り取ってしまわないように注意してください。
Marimba_2, 3, 4, 5, 6, 7: まわりの静寂を削除してもよいです。マリンバがまだ鳴っているときに切り取ってしまわないように注意してください。ボリュームを上げてよく聞く必要があるでしょう。
さて、本当に必要なオーディオ部分のまわりの静寂を、だいたい、取り終わったので、正しい順序に並べるのが簡単になりました。
DAW を使った録音のパワーの1つは、同じものを何度でも録音できることです。このようなミキシングとマッチングを使えば、ある音楽の部分の「パーフェクト」な演奏を作り上げることができます。このファイルのいくつかのリージョンは同じものの複数のテイクです。片方が、もう片方より、どう見ても優れていると言えるときも、個人的な好みによって決めるしかないときもあります。このセクションでは、オーディオの部分を比較して優れた方を選択するという目的のために、さらにオーディオを切り刻むのに使うテクニックを説明します。ただ、まだすべての選択がなされる訳ではありません。
Clarinet_1 と Clarinet_2 リージョンを聞きます。同じ曲で、ほとんど等しいです。なので、まだ、どっちを使うか決めるのは早すぎます。しかし、同じだとわかるようにラベルを付けておきましょう。
セッションツールバーのリージョンリストから、青色の名前の左にある三角を左クリックして、'Clarinet_1--L' リージョンを選択します。白い名前が現れますから、それを1度左クリックします。白いリージョンは、元の(青い)リージョンの空のエリアを削除した時に作成されたものです。
もう一度、白い名前をクリックすると、テキストボックスが現れます。
テキストボックスを、 'Clarinet_1A--L' に変更します。
キーボードで 'Enter' を押して、名前を設定します。
以下のリージョンの名前をこのように変更します:
'Clarinet_1--R' は 'Clarinet_1A--R' に。
'Clarinet_2--L' は 'Clarinet_1B--L' に。
'Clarinet_2--R'は 'Clarinet_1B--R' に。
Clarinet_1 と Clarinet_2 は同じ音楽の素材なので、それを示す名前にしました。Clarinet_1 の2つのバージョン、 'A' と 'B' です。
ここで、名前付けの矛盾が発生します。青色のリージョンは、まだ元の名前を使っており、キャンバスエリアには 'Clarinet_2' というリージョンはありません!これが気になるようなら、他のリージョンの名前を正しく変更してください。
Clarinet_3 と Clarinet_4 リージョンを聞きます。Clarinet_4 は、最初、 Clarinet_3 にあるのと同じ演奏で始まり、 Clarinet_1A と Clarinet_1B にあるのと同じ演奏で終わります。まず、 'Clarinet_3' リージョンの名前を 'Clarinet_3A' と変え、 'Clarinet_4' リージョンを 'Clarinet_3B' とします。次に、Clarinet_3B リージョンから、 Clarinet_1 のような部分を抜き出します。
トランスポートツールバーから、垂直線に挟まれた両方向矢印のように見える、 'Select/Move Ranges' ツールを選択します。
カーソルがテキスト編集のときの 'I' の形に変わります。
'Clarinet_3B' の終わりにスクロールして、'Clarinet_1' リージョンと同じように聞こえる部分が見えるようにします。
どちらかのトラックの中で、'Clarinet_1' のように見えるリージョンの上でクリックアンドドラッグして、それを選択します。
エディットグループのため、Ardour は、自動的に両方のトラックで同じエリアを選択します。
'Clarinet_1' に似た部分をすべて選択したのを確認するため、範囲を選択したらそれを右クリックして、メニューから 'Play Range' を選択します。
選択した範囲を変更したい時は、範囲選択ボックスの上の角にある暗い色の四角を使います。このボックスの1つにカーソルを置くと、両方向の矢印に変わります。
さあ、その範囲から新しいリージョンを作成しましょう。選択した範囲を右クリックして、メニューから 'Bounce range to region list' を選択します。
その範囲は独立したリージョンとなり、リージョンリストに 'clarinet-L-0-bounce-1' のような名前で現れます。使いにくいので、'Clarinet_1C--L' と 'Clarinet_1C--R' とリージョンの名前を変えます。新しいリージョンは、白色であることに注意してください。
範囲ツールはもう使いません。次はトランスポートツールバーの下、範囲ツールの左にある、手の形のアイコンの 'Select/Move Objects' ツールを選択します。
選択した範囲は、もう、選択されなくなります。 'Clarinet_3B' リージョンの最後を、今、リージョンリストに入れたものの後、その前の静寂に近いところまで、切り詰めます。
次に 'Clarinet_3' リージョンを後ろに動かして、新しく作成された 'Clarinet_1C' リージョンを入れる場所を作りましょう。
新しい 'Clarinet_1C' リージョンを、キャンバスエリアの他の 'Clarinet_1' の後にドラッグします。他のリージョンの間隔を調整してもよいです。
これらのリージョンは、誤って録音されたぶつぶついうノイズで始まります。そのままにするならば、ノイズをリージョンリストに入れれば、その後に続く弦楽器とは別に独立して制御することができます。
新しいリージョンは、 'strings-L-0-bounce-1' とでも名付ければよいでしょうか。私は、この音は、録音スタジオの上の階で椅子を床の上で動かす音だと知っているので、 'Chairs--L' と 'Chairs--R' というリージョン名をつけました。
そして、 Strings_1 リージョンから椅子のノイズを除きましょう。
marimba2 トラックはまだ使っていないので、椅子のリージョンをそこに置くことができます。今はとりあえず、あることを忘れないために。
Strings_1 リージョンを聞きます。椅子のノイズはリージョンの間じゅう続いていることがわかります。後で削除しましょう。
あなたが注意深く歌を聞くか、あるいは、 'Here Is How' の楽譜を持っていなければ気がつかれないでしょうから、教えてあげますが、演奏家はこのリージョンの終わり付近でミスをしました。バイオリン奏者が、そのすぐ後で、 'sorry' と言っているのはこのためです。
誤りを除かないといけないので、トラックの終わりを調整して、約6秒、短くします。キャンバスビューで、リージョンの最後を、最後から2つめの 'blob' の前にします。
これらの4つのリージョンは、すべて、関連していて、内容もオーバラップしています。
Strings_2 は、 Strings_1 と同じ演奏のほとんどを含み、少し長いです。そこには、椅子のノイズはありません。しかし、最初の1分20秒(1:20)のあたりに、演奏ミスがあるので、終わりの方は使うことができません。
最後の32秒程度を切り詰めます。
このリージョンを、 'Strings_1B' という名前に変えます。
1B と合うように、 'Strings_1' リージョンの名前を 'Strings_1A' と変えます。
後で、どっちのリージョンを使うか決めます。
Strings_3 も同じ演奏なので、 'Strings_1C' という名前に変えます。
Strings_4 は、 Strings_1A が失敗したところから始まって、そこから続きます。今は、このままとしましょう。
これらのリージョンはいくらかのオーバラップがありますが、見分けるのはわりと簡単です。
Voice_1 には、2つのオーディオのチャンクがあります。最初のは良いですが、2つめは歌手の問題でクリアーでないため、これは使わないことにしましょう。
Voice_2 には、 Voice_1で録音が失敗していた2つめのオーディオのチャンクが入っています。 Voice_2 においても、彼女は少し問題を抱えているようです。今、それを直しましょう。
Voice_1 リージョンを切り詰めて、オーディオの2つめのチャンクと、その前の静寂に近い部分を除きます。
Voice_2 リージョンの対策の1つの手は単純にリージョンの最初の部分を切り取ってしまうことです。'I have your flax-' という歌詞と静寂がある部分です。
歌手が、2回目に 'I have your flax-' と歌うところは、少し急いで聞こえます。それで、1番目の 'I have your flax-' と、続く 'golden tails to ... ' をくっつけることにしました。
'Select/Move Ranges' ツールを使って、歌手が最初に 'I have your flax-' と歌う部分を選択します。 'flax' という語が全部入るように、そしてその後の静寂が入らないように、注意します。
トランスポートのループ機能を使って、正しい範囲を選択したことを確認します。
範囲を選択して、右クリックし、 'loop range' を選択します。
直したい時は、トランスポートを止め、範囲を調整します。
もう一度聞くには、範囲を右クリックして、 'loop range' を選択します。
範囲を十分細かく調整するために、ズームインした方がよいかもしれません。キーボードで 'Ctrl' キーを押したまま、スクロールホイールを使ってズームインします。
ループ機能を使い終わったら、タイムラインからループマーカーを除きます。 'Loop' と、書いてある、緑色の三角印です。三角の上にカーソルを置くと色が変わるので、キーボードで 'Delete' ボタンを押します。
選択した範囲がそれでよければ、範囲を右クリックして、メニューから 'Consolidate range' を選択します。
Ardour は、あなたが選択した範囲からリージョンを作ってそこに置きます。さらに、新しいリージョンの前と後ろのスペースも別リージョンとして分割するため、多くの小さいリージョンができることになります。すべては、セッションツールバーのリージョンリスト、青色の 'Voice_2--L' と 'Voice_2--R' リージョンの下に、わかりやすいようにまとめられます。
オリジナルの Voice_2 リージョンの残りを切り詰めて、それが 'golden' で始まって、前の語('flax-')を含まないようにします。範囲ツールを使う必要はありませんが、使ってもよいです。
次に、2つのリージョンをくっつけて、 'I have your flax-golden tails to... ' と聞こえるようにします。
この方法は、完全とは言えませんが、単に、 Voice_2 リージョンの先頭を切り詰めてもなんとかなります。
両方のリージョンを同時に動かすのを忘れないことが大事です。誤ってバラバラになっても、元の通りに戻すのは簡単です。
Voice_3 は2つのオーディオのチャンクがあります。今は、そのままにしましょう。
Voice_4 には Voice_3 と同じ2つのオーディオのチャンクがありますが、さらに続いて、他のものも含まれます。この2つのチャンクについて、 Voice_3 か Voice_4 のどちらを使うか、まだ決められないので、両方のリージョンに残すことにします。
ens-Here_Is_How-1 は、似たオーディオの2つのチャンクがあります。どちらも正しいです。
ens-Here_Is_How-2 は、似たオーディオの2つのチャンクがあります。ens-Here_Is_How-1 とは異なります。2つめのチャンクは、音程がおかしいです。2つのチャンクの間のタイミングは正しいです。
ens-Here_Is_How-3 には、 ens-Here_Is_How-2 のオーディオの2つめのチャンクの正しい音程のものがあります。ens-Here_Is_How-2 の正しいタイミングを維持したいので、 ens-Here_Is_How-3 を ens-Here_Is_How-2 のちょうど上にドラッグします。2つのリージョンを並べて、3の波形ができるだけ2の波形をカバーするように調整します。これらのリージョンは、一緒に移動するように注意ください。
このリージョンには、同じ曲の2つのテイクがあります。
両方を聞いて、どちらが好きか決めます。あなたの好みの問題です。後から、選択を逆にすることもできます。 Ardour は、リージョンを切り詰めるときに削除されたものを本当に消してしまうわけではないためです。
範囲ツールを使って、あなたが好きな方のテイクを含む範囲を選択します。
トランスポートのループ機能を使って、正しい範囲を選択したことを確認するのもよいでしょう。
範囲を右クリックして、 'Crop region to range' を選択します。自動的に、リージョンを切り詰めてくれます。
マリンバリージョンは、調整が不要です。
マリンバを並べることから始めましょう。それは曲のほとんどにわたって、比較的一定のリズムを演奏するからです。このようなものから始めるのはよい考えで、他のトラックとリージョンを、それに関連させることができるからです。
ここでの時間はすべて、分と秒で示されます。チュートリアルのファイルはデフォルトでこの単位を使うように設定されています。しかし、あなたがそれを変更したなら、それを覚えておく必要があります。また、私は、 'Marimba_1' リージョンを切り詰めたりはしておらず、それは 'marimba1' トラックの 00:00:00.000 から開始します。もしあなたがこのリージョンを変更したなら、元の大きさに戻しておくことをおすすめします。
'Marimba_1' リージョンを切り詰めたりしてないことと、それが 00:00:00.000 から開始することを確かめたら、その場でロックしましょう。
リージョンを右クリックして、 'Selected regions' メニューに行って、メニューから 'Lock' をクリックします。
Ardour が、キャンバスエリアで、 > と < を、名前のまわりにつけることに注意ください。
また、そのリージョンを、 'Select/Move Objects' ツールで動かすことができなくなっていることにも注意ください。
さて、それが開始する正確な時刻を示すためにマーカーを置きます。セッションが始まってから6秒です。
適当にズームインして、6秒のマークがルーラーの上でどこに行くかわかるようにしてください。(今すぐに、見える必要はありません。)キーボードで 'Ctrl' ボタンを押したままにして、マウスのスクロールホイールを使ってズームインして下さい。あるいは、キーボードの '=' でズームイン、 '-' でズームアウトすることもできます。
カーソルを6秒のマークの近くに移動します。(繰り返しますが、まだ、正確である必要はありません。)'Location Markers' 行を右クリックして、メニューから 'New location marker' を選択します。
黄緑色の矢印が現れますから、クリックアンドドラッグして、黄色の時計が 00:00:06.000 ちょうど6秒を指すようにして、マウスを離します。
カーソルをマーカーの上に移動すると、黄緑色から、赤褐色(コーラル)になります。右クリックして、メニューから 'Lock' を選び、マーカーが誤って動かないようにします。
カーソルをマーカーの上に置いて、もう一度、右クリックします。メニューから 'Rename' を選択します。
小さいウインドウが現れます。マーカーの名前を 'marimba-start' と書いて、 'Rename' をクリックして新しい名前を設定します。
タイムラインの上でのリージョンの位置の調整を、とても正確に行う必要があるので、別の 'Snap/Grid Mode' を使う必要があります。それぞれの設定は、異なる種類の作業に適しています。
キャンバスエリアの上のツールバーを使って、モードを変更します。ポップダウンメニューは、'Magnetic' つまり、現在 'Magnetic Snapping Mode' にあることを示しているかもしれません。その他に、 'No Grid' と 'Grid' があるはずです。
No Grid: このモードは、ユーザがリージョンを置く場所を完全にコントロールすることができます。私たちがやろうとしているような、とても正確な配置に適します。
Grid: このモードは、ユーザがリージョンを、グリッド線の上で始まるように置くことしか許しません。あなたが変更してないならば、グリッドは2秒に設定されているはずですから、リージョンは2秒間隔以外のところから開始することはできません。Ardour は、リージョンを奇数秒で始めたり、その間のどこかで始まるように配置することを許しません。
Magnetic: このモードは、リージョンをどこに置いてもよいです。しかし、リージョンの開始点がグリッド線(このセッションでは偶数秒)の近くにあるときには、開始点は、自動的にその地点に「くっつき」ます。リージョンの開始点が、グリッド線に、磁石で引き寄せられるようにふるまいます。
snap/grid モードを 'No Grid' にする
'Marimba_2' リージョンを動かして、 'marimba2' トラックに入れ、 'Marimba_2' のサウンドがタイムラインの約15秒の (00:00:15.000) ところで始まるようにします。椅子を引きずる音をそのままにするならば、じゃまにならないところに置きましょう。'strings' トラックの 'Strings' リージョンの前に移動します。
'marimba1' と 'marimba2' バスが聞こえるように、それらが両方ともソロモードであるのを確認します。
さて、むつかしい仕事です。2つのトラックを並べて、一緒に始まるようにしなければいけません。
'Marimba_2' リージョンのサウンドは、 'Marimba_1' トラックの2つめのパターン、タイムラインで約15秒のところ、と同時に開始しなければいけません。
リージョンの波形をよく見るために、ズームインする必要があります。もっと重要なことは、ズームインすれば、リージョンの配置をより細かく調整できます。
範囲を選択して、トランスポートのループモードを使うとよいでしょう。2つのリージョンの開始点を何度も聞いて、それらがきちんと並んでいるのを確認下さい。
だいたい良いのだが、きっちり一緒と言えないと感じたときは、一度ずっと遠くに動かして、聞いて、そして、また近づけましょう。
このパターンの最初の何秒かを整列させても、いずれ、同期が取れなくなるでしょう。それはかまいません。最初が、最も気になる部分です。リスナーが2つの同時演奏されるマリンバトラックのサウンドに慣れてきた頃、そんなに細かい注意をはらうことはなくなります。さらに、マリンバトラックが同期が取れなくなる頃には、リスナーは歌詞に注意が行っていることでしょう。
'Marimba_2' リージョンのロックを忘れないように!
リージョンの残りを一緒に聞いてみます。00:02:20.000 頃の、リージョンの終わりは、あなたが開始を正しく並べたならば、こちらも並んでいるはずです。高音と低音のマリンバが交代します。
'Marimba_3' リージョンを、'marimba1' トラックの約 00:03:20.000 に開始するように移動します。最終的な配置は後で決めます。
'Marimba_4' リージョンを、'Marimba_3' リージョンとだいたい同じ時刻に始まるように、こちらは、 'marimba2' トラックに、移動します。最終的な配置は後で決めます。
このセクションのあいだじゅう、配置が決まっていないリージョンを、他の整列処理にじゃまにならないようにどけることが必要になるでしょう。リージョンを正しい位置に置いたら、ロックするのを忘れないでください。後から、アンロックして、並べ直すこともできます。また、マーカー(前に使った 'marimba-start' マーカーのように)を、それぞれのリージョンの開始点に置くと良いでしょう。マーカーを置けば、それをクリックして、青色のプレースマーカーラインを動かすことができます。こうすれば、リージョンの中のサウンドの開始点を好きなところに揃えて並べるのが簡単です。
'voice' バスで、 'solo' モードを有効にして、マリンババスと一緒に聞けるようにします。
'Voice_1' リージョンを動かして、歌手が高音のマリンバとほぼ同じに開始するようにします。
'Voice_2' リージョンを動かして、歌手が、約 00:00:48.00 に開始するようにします。
'ens-Here_Is_How-1' リージョンを動かして、約 00:01:33.300 に歌い出すようにします。
'ens-Here_Is_How-2' (と、結合された 'ens-Here_Is_How-3' も) リージョンを動かして、約 00:02:11.500 に歌い出すようにします。
'Voice_3' と 'Voice_4' をよく聞くと、'Voice_4' で歌手が歌詞を抜かした ('plan in you spider's ear') のに気がつくでしょう。 'Voice_3' には、 'Voice_4' の2つめのパートが含まれないので、 'Voice_4' リージョンを切り詰めて、両方を使う必要があります。
歌手は、 'Voice_3' の約 00:02:24.500 に開始するようにします。
歌手は、'Voice_4' の、約 00:02:43.000 に、 'and here is how' と歌い始めるようにします。
'ens-Create_the_Inconceivable' リージョンを動かして、約 00:02:59.000 に開始するようにします。
すべての歌手のリージョンを、ほぼ並べ終わったので、最後のマリンバのパッセージをどこに置くかを考えましょう。
'ens-Create_the_Inconceivable' リージョンを聞きます。マリンバの終了リージョンを、最高音の歌手が 'if you know what I mean' と歌った後、'mean' という語を歌い終わる前のどこかに置きます。
マリンバを再開始する正確なところは、あなたが決めればよいです。位置を決めて、2つの 'Marimba_3' リージョンを、 'marimba1' のその場所に動かし、 'Marimba_4' リージョンを 'marimba2' で動かします。
正確な整列をするために、範囲を設定し、トランスポートのループ機能を使うと良いかもしれません。
この特別な開始点は、難しいかもしれません。低音のマリンバは静かに始まって、しだいに大きくなります。一方、高音のマリンバは、大きな音が減衰していくところです。ということは、もし両方のマリンバトラックを同時に開始すると、リスナーは、低音トラックが、高音トラックの後に開始するように感じます。私の言うことが信じられないなら、やってご覧なさい。
この問題を解決するため、オリジナル編集者 (Esther) は、高音のマリンバが低音のマリンバより少し遅く開始するようにしました。
今までのセッションを聞くとわかりますが、マリンバが、歌手と比べるとずっと大きく、全体がとても狭い感じに聞こえるかと思います。これは、私たちがリージョンを並べただけで、まだミキシングを何もしていないからです!
'Strings_1A' リージョンを動かして、約 00:00:28.00 から始まるようにします。そうすれば、椅子の音、それを消さないならば、に十分なスペースがあります。
'Strings_4' リージョンの始まりは、 'Strings_1A' リージョンの終わりとほぼ同じです。両方を聞いて、どっちが好きか決め、'Strings_1A' リージョンの中のサウンドの位置を使って、 'Strings_4' リージョンの切り詰めと整列のガイドとしてください。
他の2つの弦楽器リージョンは、 'Strings_1A' と同じ曲が入っています。どれを使うかまだ決められないので、それらを、マリンバリージョンの終了点の後ろに移動して、聞こえないようにします。
弦楽器リージョンと同じく、適当なクラリネットリージョンを1つ選んで、正しい位置に置きましょう。複数の演奏の間の選択は後回しにします。こんなふうにリージョンを大きく離れて動かすときは、少しズームアウトするとよいです。
'Clarinet_1A' リージョンを動かして、サウンドが 00:01:06.200 の後に始まるようにします。
'Clarinet_3A' リージョンを動かして、サウンドが 00:01:35.000 の後に始まるようにします。
ミキシング段階に進む前に、曲全体を聞いて、並び替えが正しいことを確認下さい。聞くときには、ボリュームレベルとバランスが変で、セッション全体が、ステレオイメージの中でとても、「中心にある」ように聞こえるのに注意ください。
次の段階は「ミキシング」と呼ばれ、だいたい2つの作業からなります。ボリュームレベルを設定することと、ステレオパン設定を調整することです。フェーダーとパンの設定を保存するのに、オートメーションを使います。また、右と左のチャネルを別々のトラックに録音して、サブマスターバスで結合させるのが、どんなに便利か、見てください。
ライブの音楽演奏の録音制作において、オーディオ技術者(今の場合、あなた)がもっとも創造的な影響を及ぼすのが、ミキシング段階です。トラックの注意深い調整とチューニングが、リスナーの体験に大きな違いをもたらします。
最後に、編集段階と比べて、ミキシング段階は、直線的に進行するのではない ということに注意ください。つまり、あなたはチュートリアルを最初から最後まで順にするのでなくて、セクション間をジャンプするのがよい、ということです。あなたはまず最初に、ステレオ出力のためにトラックを設定するでしょう、次にチュートリアルのセクションを順に全部読んで、そのアドバイスに従うかもしれません。しかし、時々、前の作業に戻って、設定をやり直すことになるでしょう。1つの設定が変更されたら、他の設定にも影響が出ることがあります。例えば、一度トラックのレベルを設定し、そのパニングを変更したら、設定したレベルが今でもそれでよいのかを確かめる必要があります。たぶん、少しかもしれませんが、調整が必要でしょう。
セッションがずいぶん変に聞こえた理由のひとつは、すべてのオーディオが左と右のチャネルを等しく経由したため、「ステレオ」録音素材があるにもかかわらず、「モノラル」録音になってしまったことです。これはもっと前に対策できたのですが、今やっても、大差はありません。今までの作業は、リージョンを集めてそれらしい曲に聞こえるようにすることでしたが、ミキシングが行うのはリージョンとトラックを微調整して、曲がより優れたものに聞こえるようにすることです。
エディットグループを解除するのはよい考えです。そのままにしておくと、この制作段階で可能な機能を減らすことになるからです。エディットグループが有効だと、1つのトラックにした変更が、自動的に他のトラックにもされてしまいます。私たちはトラックを独立に調整したいのです。両方のトラックに同じ調整が必要なときには、それがアタッチされているサブマスターバスを使います。
以下のステップは、エディットグループを無効とし、セッションのトラックをステレオ出力のために再構成します。
トラックを独立して調整したいので、エディットグループを一時的に無効にしなければいけません。
セッションサイドバーの 'Edit Groups' タブを開きます。
すべてのグループの 'Active' ボタンのチェックを外します。後でエディットグループを有効にしたい時は、'Active' ボタンをチェックすればよいです。
メニューから 'Window > Show Mixer' を選択して、ミキサーウインドウを開きます。マルチモニター構成をお持ちなら、ミキサーウインドウを、メインのエディタウインドウとは別のモニターに置くと便利です。マルチモニターでないときは、ミキサーウインドウを、別の仮想デスクトップに置くと良いでしょう。もちろん、これはどちらもオプショナルな手順です。
それぞれのトラックのミキサーの一番下付近、ボタンの上、に小さい黒い四角があり、3つの灰色の三角と緑の垂直線があるはずです。それぞれのバスにはこの四角が2つあります。これが、パンナーを制御して、ステレオイメージでのトラックの左と右の位置の調整をするものです。
パンナーを調整するには、パンナーの表示をクリックアンドドラッグします。緑の線をクリックする必要はありません。線はステレオイメージでのトラックのだいたいの位置を示します。
大文字の 'L' で終わる「左」トラックはすべて、緑の線を一番左に設定します。
大文字の 'R' で終わる「右」トラックはすべて、緑の線を一番右に設定します。
バスは、既に正しく設定されていると思います。バスの上のウインドウは左チャネルを示し、緑の線は一番左、下のウインドウは右チャネルを示し、緑の線は一番右にあるはずです。
パンナーの上のミキサーコントロールは、「フェーダー」と呼ばれ、トラックのレベルを変更します。
編集と同様、ここで大切なことは、レベルをほぼ正しい領域に設定して、トラック全体にわたってそれが使えるようにすることです。後でオートメーショントラックを使い始めると、レベルを微調整したり、セッションの中で変えたりできるようになります。以下は、最初のレベル設定のために使うことのできる1つの手順です。
メニューから 'Window > Mixer' を選択して、ミキサーウインドウを開きます。以前に言ったように、ミキサーウインドウは別のモニターあるいは仮想デスクトップに置くと便利です。
すべてのフェーダーを 0 dB にします。あなたが以前に変えたりしていなければ、既にそのレベルになっているでしょう。
一番静かなトラックを選び、 0 dB に設定して、他のトラックのレベルの大きさの最大値として使います。一般的に言って、オーディオ信号を増幅するのは避けるのが安全なので、一番静かなトラックを「ベースライン」に使うということは、他のトラックのレベルを、それに合うように下げる必要があるということです。今の場合、ボイストラックが一番静かです。
この時点で、バスのフェーダーだけを触るのがよいでしょう。トラックのフェーダーを触ると、パニングが変わって、後でわかりにくい問題になることがあります。
セッション全体を演奏して、バスのフェーダーを調整し、すべてのトラックが同じように良く聞こえるようにします。この時点では、セッションのほとんどの部分がバランスされていることが目的だということに注意ください。セッション全体でただ1つのフェーダー設定でよいということはまずありません。
フェーダー設定を変えるには、2つの方法があります:
レベルメーターの左にある垂直のドットのついたコントロールストリップ(トラックの演奏中に光ります。)をクリックアンドドラッグする。
インジケーターボックスのテキストフィールドを使う。ボックスをクリックして、それが示す数字を削除し、新しい数字を入れ、キーボードで「エンター」を押す。
キャンバスエリアで、トラックとバスの表示の順序を変えると、ミキサーウインドウの表示も変わります。バスを全部一緒にすると、見やすいかもしれません。
あるいは、トラックを表示しないようにして、変更するバスだけに集中することもできます。一時的にトラックあるいはバスをミキサーウインドウで隠すには、ミキサーウインドウの左側のツールボックスを使います。隠したいトラックあるいはバスの 'Show' ボックスのチェックを外します。
フェーダーツールの 'maximum level' インジケータが、それぞれのトラックがどの程度大きな音かを判断する助けとなるでしょう。このインジケータは、メーターの上、 'Solo' ボタンの下にあります。インジケータは、インジケータが最後にリセットされて以来、トラックが生成した最大レベルを表示します。インジケータをリセットするには、それをクリックします。
最初のパニングを設定するのは、最初のレベルを設定するよりも、かなり多くの考察が必要です。異なる音楽には異なる要求があるでしょうが、この種類の録音されたアコースティック音楽のパニングを設定するときの主な目的は、それぞれの演奏者がステレオイメージの上で、ユニークで不変の位置を占めることを保証することです。人が音楽を聞くとき、暗黙的に、脳が音がそこからやってくるべきと思うところ、「位置」をサウンドに期待します。録音された音楽を聞くとき私たちはサウンドは実際にはスピーカーもしくはヘッドホンから来るのであって、演奏者はそこにいないことを理解しています。そうであっても、演奏者もしくはサウンドの空想上の場所が絶えず変化するような音楽を聞くのは難しい、疲れる、あるいは不愉快なことです。同じように、レベルのバランスが悪い音楽を聞くのは、難しくて疲れることです。
困難さに輪をかけるように、ステレオイメージは私たちの心の中で多くの要素の複雑な組み合わせとして作られます。静かなサウンドと後から起きるサウンドは、大きなサウンドと最初からあるサウンドと比べると、遠くにあるように感じられます。DAW のパンナーは、信号を「全部左」と、「全部右」の直線上のどこかに置くことしかできないにもかかわらず、私たちの脳は3次元世界にサウンドがあるように処理します。優れたオーディオ技術者はこれらの要素を比較的簡単に制御できることでしょうが、私たちにとってはたくさんの試行錯誤が必要となるでしょう。
このセッションの固有の問題は、ソリストを含むリージョンが、ソリストが他の歌手と一緒に歌っているリージョンと比較して、彼女を異なる空想上の場所に置くということです。これは同じトラックで起きるので、オートメーションのパンナーとフェーダーをトラックに使ってこの問題を解決しましょう。ご自分で聞いてみてください:00:02:40.000 あたりから始めて、'Voice_4' リージョンと 'ens-Create_the_Inconceivable' リージョンで、ソリストがどこに立っているように聞こえるか、注意してください。私には、彼女が右の近いところから、左の遠いところに、ボーカルアンサンブルの人たちや、通り道にいるはずの弦楽器にぶつかることなく通り抜けていったように聞こえます!ほとんどのリスナーはそんなこと気にしないだろうとあなたは言うかもしれません。そうかもしれません。そうであっても、レベルとパニングの大幅な変化は、それら同じ人たちによって、受動的に発見されるだろうと、私は反論します。彼らが、意識の上では、「なんか、変だ」と思うだけかもしれませんが。
こんなふうに始めてみましょう:
必要ならセッションを聞いて、ほとんどのセッションの間、楽器と歌手の位置を決められるか、考えます。これを覚えておく必要があるので、書き留めるか、地図を書くのがよいでしょう。
さて、すべてのものがあるはずの場所の地図を書きましょう。このような普通でないアンサンブルの時には、特に、あらかじめ決められた座席や立ち位置の決まりはありません。トラックによってはほとんど調整が不要のものもあるでしょうし、大幅な調整が必要なものもあるでしょう。一般的に言って、いじりまわすのが少ないほど、セッションはよく聞こえるので、あるトラックが既に一貫した場所を持ち、他のトラックと矛盾しないならば、そのままにするのがよいでしょう。
以下が、私の意見です。あなたが聞いたものとは違うかもしれません。特に、最初のレベル設定をあなたが独自にされたならば、違ってくるでしょう。
マリンバトラックはどちらも、ずっと一定です。'marimba1' トラックは私の前、5メートル、少し左にあります。'marimba2' トラックは同じ距離で、右にあります。
弦楽器リージョンはすべて一定です。バイオリンが中心のすぐ左に、チェロがすぐ右に。マリンバより、少し近くにあります。
クラリネットは、高音マリンバの反対側、5メートルの距離、中心と左の中間にあります。
ボーカルアンサンブルは弦楽器と同じ所にあります。右に少し、広がっています。
ソロボーカリストはボーカルアンサンブルの男性歌手と同じ所に立っています。
これが、私の修正プランです。リスナーが北を向いているとして方向を書きました。
リスナーを半円形に囲む、2つの演奏者の列を確立します。
弦楽器は近い方の列の北西に置きます。左に少し動かす必要があります。
ボーカルソリストは、近い方の列の北から少しだけ東(まんなか)に置きます。彼女を少しだけ左に動かす必要があります。
ボーカルアンサンブルは、近い方の列の北から北西に広がって置きます。ソリストは、同じ場所にいることができます。アンサンブルを近く聞こえるようにするには、フェーダー設定が必要でしょう。
低音マリンバは、外側の列の北西に置きます。これは調整が不要でしょう。あるいは少し左に移動。
高音マリンバは、外側の列の北東に置きます。少し左に移動が必要です。
クラリネットは外側の列の北。大きく右に動かす必要があります。
このようなレイアウトを選んだのは、それが比較的、小さな調整で済むことと、伝統的な器楽アンサンブルの座席パターンから見て、道理にかなったものだからです。また、この曲でクラリネットが演奏する音は、遠いところで鳴っているように聞こえるのが適当と思われ、パッセージは十分な情感をもって演奏されているので、そういう効果を得るのは割と簡単だと思えました。最も重要な考慮点は、ボーカルアンサンブルとその中のソロボーカリストの配置でした。ソロボーカリストはアンサンブルで最も高いパート(ソプラノ)を歌っていますが、ステレオ録音では、彼女はアンサンブルの最も左にいるようには聞こえません。(私はレコーディングの間、そこにいたので、そうでないことがわかるのです。)これはより難しいことになります。ボイストラック全体のフェーダーとパンナーの設定は、 'ens-Create_the_Inconceivable' リージョンにおいて、2番目に高音の歌手(アルト)が、ソリストである最高音の歌手のすぐ後に歌う、その瞬間を基準としなければいけないということです。
ほぼ全部のトラックに、それをステレオイメージの中でだいたい正しい位置に置くために、おおまかな調整をしてください。バスのパンナー設定に加えて、個々のトラックのパンナーの設定を変える必要があるかもしれません。少し違う効果があります。マリンバトラックを、今、フェーダー設定を含めて微調整するのもよいでしょう。このトラックはとても一定なので、ほとんどオートメーションは使う必要がなく、最初の設定をより完全にすることで得られるものが大きいのです。フェーダーは、ターンアップするより、ターンダウンする方が良いのを忘れないように!
ボイストラックを操作するのは、今はやめといた方が良いでしょう。
今までは、雑ですが、フェーダーとパンナーの設定の調整は手でやってきました。これだと、セッションが演奏しているときに設定を変えようとしてもできません。セッションを演奏するときに毎回、あなたは自分ですべての設定を変更しなければいけません。これはすぐに複雑なことになります。覚えるのに大変、というのは言うまでもなく。「オートメーション」を使うと、セッション演奏の時に、エフェクト(パンナーやフェーダーなど)を、自動的にかけることができます。オートメーショントラックは、ただのトラックで、オーディオが何も入っておらず、かわりにそれぞれのエフェクトを調整する指示が入っています。オートメーショントラックは、普通のオーディオトラックに似ていますが、設定の変更を示すための線と点が表示されます。オートメーショントラックは、実際、「録音」することもできるのですが、私たちはもっと基本的な編集手段を使いましょう。オートメーショントラックは、バスとトラックに割当てることができます。
以下が、オートメーショントラックを作成して、設定する方法です。低音のマリンバが、最初は大きく、高音マリンバとソロボーカリストが加わるにつれて小さくなるように、そのフェーダーを設定します。
キャンバスエリアで、 'Bus-marimba1' バスのコントロールボックスから 'a' ボタンをクリックして、 'automation' メニューを開きます。
オートメーションメニューから、 'Fader' をクリックします。
バスの下に、フェーダーを制御するオートメーショントラックが現れます。
オートメーショントラックの中をクリックすると、点が現れます。それぞれの点は、コントロールの設定の絶対値を示します。点が現れた後、それをクリックアンドドラッグすると、カーソルの横の黄色い数字が、その時のフェーダーの設定値を示します。
オートメーショントラックに2つ以上の点があると、それらを結ぶ線が現れます。フェーダーは、点をつなぐ線が示すとおりに、絶対値の間でなめらかに変化します。
誤りをして最初からやり直したい時は、オートメーショントラックのコントロールボックスで 'clear' ボタンを押します。残念ですが、1つだけの点を削除することはできません。これは、実は、不要なのです。もし、誤って点を増やし過ぎたら、単に、余分なものは設定を一定にするために使えばよいです。
オートメーショントラックの最初に、 0.0 dB の設定値の点を1つ、加えます。
約 00:00:15.000 のところに、 0.0 dB の設定値の点を1つ、加えます。
約 00:00:16.500 のところ(歌手が歌い始めるところ)に、 -10.0 dB あるいは、あなたが以前設定したもの、の設定値の点を1つ、加えます。
さて、これでオートメーションのプランができました。しかし、フェーダーはまだ、「マニュアル」モードのままですから、オートメーショントラックは何の効果も持ちません。オートメーショントラックの設定を、トラックのコントロールボックスの中のモードボタンをクリックして変更します。ボタンは、現在、'Manual' です。
メニューから、 'Play' を選択すると、オートメーション設定が演奏されます。'Manual' モードでは、すべての設定の調整を手で行う必要があります。'Write' モードでは、セッションが演奏される間、あなたが行う変更は、オートメーショントラックに、以前の設定を上書きして録音されます。'Touch' モードでは、セッションが演奏される間、あなたが行う変更は、以前のオートメーション設定に取り込まれます。
最後に、オートメーションされたパンナーの変更が気にいるか、聞いて確認します。良くないときは、今でも後からでも、常に変更することが可能です。
さて、ここが難しいところです!オートメーションを使って、セッション全体のフェーダーとパンナーの設定を変更します。特に、ボイストラックが一定であるように注意ください。
ミキシング段階は、たくさんの小さな(そして大きな)調整でいっぱいです。以下は、フェーダーとパンナーの設定変更以外に、あなたがやってみたいと思うかもしれないことです。
トラックを整列しなおして、それらが同期するようにする。
椅子の音の入っているリージョンを使うことのできる、意味のある方法を探す。
今は使ってない方のクラリネットのリージョンを、今使っているものと比べる。リージョンの他の組み合わせを試してみる。セッションから使わないリージョンを取り除く。
今は使ってない方の弦楽器のリージョンを、今使っているものと比べる。このリージョンはクラリネットのリージョンよりずっと長いので、リージョンの中の範囲を選択して取り替えるのも良いかもしれません。
友達、あるいは、少なくても誰か他の人に、今準備中のミックスを聞いてもらう。今の問題についての意見を求めたり、もっと一般的なリスナーとして扱う。
ミックスを、異なる種類の再生装置(スピーカーとアンプ)を使って聞く。同じオーディオ信号も、異なる装置で演奏すると違って聞こえることがあります。
曲をミキシングし終わったら、それを聞かなくてはいけません。できるだけたくさんの異なるデバイスで聞きます。ヘッドホン、スピーカー、ホームシアターシステム、などです。あなたの友人や同僚にあなたの作品を聞いてくれるように頼みましょう。他の人は、あなたとは違った聞き方をするでしょうし、異なるフィードバックをくれるでしょう。
セッションマスタリングの真のマスターになるためには、何年もの経験と目的フォーマットのための注意深い最適化が必要です。適用すべきイコライゼーションとフィルタリングの設定を正しく知ることは、それ自身でアートであり、完全なユーザガイドが必要です。このセクションは、セッションからオーディオを取り出して、使いやすいフォーマットにすることを説明します。
Ardour セッションからオーディオをエクスポートするには、3つの方法があります。
リージョンから
範囲から、あるいは、
セッションから。
リージョンをエクスポートする:
リージョンがキャンバスエリアにあるのを確認します。
リージョンを右クリックします。
リージョン名のメニューを選択して、 'Export' します。
エクスポートウインドウで続きをします。
タイムラインの上の、ある範囲のオーディオをすべてエクスポートする:
範囲を、 'Select/Move Ranges' ツールで選択します。あなたが選択したトラックにかかわらず、すべてのトラックがエクスポートされます。
範囲を右クリックします。
メニューから 'Export' を選択します。
セッションのすべてのオーディオをエクスポートする:
メニューから、 'Session > Export > Export > Export session to audiofile' を選択するか、キーボードで 'Ctrl + Alt + e' を押します。
どのエクスポート方法を使っても、 'Export' ウインドウは似ています。リージョンをエクスポートするときは、どのトラックをエクスポートするかを選択することはできません。(定義により、あなたはそのリージョンのトラックだけをエクスポートします。)
デフォルトで、Ardour はエクスポートされる範囲あるいはセッションに含まれるすべてのオーディオをエクスポートしようとします。実際にエクスポートされるのは、マスター出力バスを経由する、すべてのオーディオです。'Export' ウインドウの右端で、エクスポートするトラックのリストを見ることができます。 'Specific Tracks' ボタンを押すと、セッションのすべてのトラックとバスのリストの中から選択することができます。特定のトラックを選択するのは、マスターバスの出力をエクスポートしないときでないと意味がありませんから、たぶん、最初にその選択を外すのが良いでしょう。
Ardour は、とても多くの出力フォーマットを提供しており、どれを選んだら良いか困るでしょう。すべてのファイルタイプで、すべてのオプションが使えるわけではありません。Fedora Linux は、法律上の理由により、デフォルトでは MP3 ファイルをサポートしません。詳細は、 MP3 (Fedora Project Wiki) http://fedoraproject.org/wiki/Multimedia/MP3 を参照下さい。
チュートリアルのリージョンは、24ビットサンプル、48 kHz レートで録音されています。セッションのどこでも、より高いサンプルフォーマットあるいはサンプルレートでエクスポートすると、オーディオ品質が低下します。
おすすめのファイルタイプ:
WAV: マイクロソフトにより設計された、非圧縮フォーマット。さらにオーディオ操作をする予定のあるときに限り、おすすめします。オーディオデータだけを含むので、タイトル、アーティスト、そして作曲者などの情報は失われます。ほとんど、どのデバイスでも演奏可能です。
AIFF: アップルにより設計された、非圧縮フォーマット。さらにオーディオ操作をする予定のあるときに限り、おすすめします。オーディオデータだけを含むので、タイトル、アーティスト、そして作曲者などの情報は失われます。ほとんどの DAW と、いくつかのオーディオプレーヤーで演奏可能です。
FLAC: オープンソースの圧縮フォーマット。「可逆」フォーマットです。つまり、圧縮と展開で、いかなるオーディオ情報も失われません。オーディオ品質は、WAV や AIFF フォーマットと同じです。メタデータを含むことができるので、タイトル、アーティスト、そして作曲家などの情報が保持されます。Linux において、デフォルトで広くサポートされています。他の主なオペレーティングシステムについては、http://flac.sourceforge.net/download.html#extras の Download Extras (FLAC Website) で、FLAC ファイルを演奏できるアプリケーションとプログラムのリストを得ることができます。これが、普通、リスナーに高品質のオーディオを配布するのに、最適な選択です。
Ogg/Vorbis: オープンソースの圧縮フォーマット。「非可逆」フォーマット、つまり、圧縮と展開で、いくらかのオーディオ情報が失われます。オーディオ品質は WAV や AIFF に劣りますが、普通は、 MP3 より優れます。メタデータを含むことができるので、タイトル、アーティスト、そして作曲家などの情報が保持されます。Linux において、デフォルトで広くサポートされています。他の主なオペレーティングシステムについては、Vorbis Website http://www.vorbis.com/ の手順に従ってください。これは、リスナーに高品質のオーディオを配布する、良い選択です。
サンプルフォーマット(sect-Musicians_Guide-Sample_Format で説明されています。)を高く設定すると、サンプルごとに保存されるオーディオ情報を増やすことができます。32ビットサポートは、ほとんど存在しないので、近い将来にわたってもこのフォーマットを使う必要があることはないでしょう。'float' フォーマットは、異なる内部的なフォーマットでサンプルを保存するもので、まず、必要とすることはないでしょう。
もしあなたが、オーディオをハイエンドの装置のためにエクスポートしているか、あるいは、さらに処理をするつもりならば、24ビットフォーマットを選んでください。そうでないときは、オーディオ CD のサンプルフォーマットである、16ビットフォーマットが良いでしょう。
'Sample endianness' は、理解が難しい概念で、結果となるオーディオには何の影響もありません。保存の形式を変えるだけです。もしあなたが、数少ない PowerPC コンピュータをお使いでない限り、 'Little-endian (Intel)' オプションを選択下さい。
高いサンプルレート(sect-Musicians_Guide-Sample_Rate で説明されています。)を使うと、オーディオ情報をよりたくさん保存することができますが、オーディオファイルのサイズが大きくなります。
'Convesion quality' と 'dither type' は、Fedora Linux で提供されるファイルフォーマットでは無効です。
'CD Marker File Type' を使うと、エクスポートされたファイルに、CD トラックの CUE- あるいは TOC- フォーマットのリストを書き出すことができます。これは、いずれディスクに焼かれる、CD 全体を含むセッション全体をエクスポートするときに最も便利です。
これは、Fedora 14 Musicians' Guide http://docs.fedoraproject.org/en-US/Fedora/14/html/Musicians_Guide/index.html の部分を私が訳したものです。Creative Commons Attribution–Share Alike 3.0 Unported license ("CC-BY-SA")にしたがって https://sites.google.com/site/kandamotohiro で配布されます。kanda.motohiro@gmail.com