1.調査テーマ
遺伝子工学関連の出願動向
2.調査目的
iPS細胞を利用した医療技術が注目されているが、これも含めた遺伝子工学は、今後社会に大きな影響を与える与えると思われる。
また、医療技術は日本経済を立て直す政策目標の1つでもある。
そこで今回は遺伝子工学に関する公報を調べることにより、遺伝子工学に関する技術開発の現況および今後の動向について分析することとした。
3.調査対象
使用DB :SRPARTNER
対象公報:公開特許公報
対象期間:2011月1月1日〜2016月12月31日の発行
対象技術: 遺伝子工学関連技術
4.概要
遺伝子工学に関する公報件数は、2013年と2105年に少し増加したものの、2016年には減少傾向を示している。
全体的には、多少の増減はあるが、ほぼ横這い傾向を示している。
カテゴリ別に見ると、当面はA:遺伝子治療とC:細胞が重要になると思われ、総合すると特に次のコードが重要と思われる。
[コードA:遺伝子治療]
A01:消化器官,消化系統の疾患治療薬
A02:代謝系疾患の治療薬
A12:神経系疾患の治療薬
A15:抗感染剤,例.抗菌剤,消毒剤,化学療法剤
A17:抗腫瘍剤
A18:免疫またはアレルギー疾患の治療薬
[コードB:遺伝子工学処理]
B08:DNAプローブ
[コードD:ペプチド・蛋白質の製造]
D01B:ハイブリッド免疫グロブリン
D08:ハイブリッドペプチド
D99C:ペプチド
D99F:組換
D99N:遺伝子
出願人別で見ると、全期間を通じて増加傾向を示している出願人はなかったが、次の出願人の動向が重要と思われる。
ノバルティスアーゲー
ダウアグロサイエンシィズエルエルシー
この2社の注力技術を調べた結果では、当面は次の技術に注力すると思われる。
[ノバルティスアーゲー]
A09:皮膚疾患の治療薬
A17:抗腫瘍剤
A18:免疫またはアレルギー疾患の治療薬
[ダウアグロサイエンシィズエルエルシー]
B08:DNAプローブ
B09:植物細胞
このように、発行件数で上位の出願人の多くが外国出願人であり、件数と増加傾向により抽出された重要出願人も外国出願人であった。
また、DNAプローブは国内企業が中心であったが、セイコーエプソン以外は減少傾向であり、最近は海外企業からの出願が目立つようになってきている。
出願人別発行件数で見ると、第1位はセイコーエプソンであり、以下、日立ハイテクノロジーズ、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、ライフテクノロジーズコーポレーション、エフ.ホフマン-ラロシュアーゲー、ダウアグロサイエンシィズエルエルシー、モンサントテクノロジーエルエルシー、凸版印刷、国立研究開発法人産業技術総合研究所、東洋鋼鈑と続いている。
さらに、期待していたiPS細胞関連も急速に減少している。
出願人別発行件数で見ると、第1位は京都大学であり、以下、セルラーダイナミクスインターナショナル,インコーポレイテッド、東京大学、慶應義塾、エージェンシーフォーサイエンス,テクノロジーアンドリサーチ、大阪大学、エイビーティーホールディングカンパニー、理化学研究所、鳥取大学、千葉大学と続いている。
このような分析結果を見る限りでは、日本の遺伝子工学関連技術が世界をリードすることは困難と思われる。
※作成した図表は41図と16表