1.調査テーマ
ナノ技術の出願動向
2.調査目的
一時話題になっていたナノ技術だが、最近は話題になっていないようである。
ナノ技術はICTやIoTと並んで今後も重要になると考えていたので、現在どのようになっているのかが気になった。
そこで、今回はナノ技術に関する技術開発がどのように推移しているか、今後の動向はどうなりそうかなどを調べることとした。
3.調査対象
使用DB :SRPARTNER
対象公報:公開特許公報
対象期間:2011月1月1日~2016月12月31日の発行
対象技術 : ナノ技術に関連する技術全般
4.概要
ナノ技術に関する技術開発がどのように推移しているか、今後の動向はどうなりそうかなどを調べたが、分析結果の注目部分をまとめると次のようになる。
まず、ナノ技術に関する分析対象公報の発行件数は、2013年をピークとして急減し、その後2015年に一旦増加したものの最終年の2016年発行分に減少している。
出願人数は2013年まで増加し、2014年に急減したが、2015年に急増し、最終年の2016年発行分もほぼ横這い傾向を示している。
発明者数も増減を繰り返しているが、最終年の2016年発行分では減少傾向を示している。
関連する技術はIPCで見ると、医薬品、触媒、組成物、導電材、半導体、電極などの分類が関係している。
特に、医薬品は最終年で増加傾向を示している。
技術内容ではナノワイヤ、ナノファイバ類、ナノ金属、有機材利用のナノ技術が重要と思われる。
出願人では、物質・材料研究機構、東レが重要と思われる。
ナノ技術は様々な用途に使用されているが、次のように分類できる。
光電変換素子、半導体、センサ、熱電変換素子などの素子
触媒、グリース組成物、導電性ペースト、無電解めっき液などの素材
電池のセパレータ、電極などの電気部材
シール部材、転がり軸受などの機械部材
調光フィルム、偏光素子などの光学部材
MRI造影剤、がんの治療薬、薬物送達用ナノ粒子などの医療用薬剤
放射線遮蔽材、放熱材、熱輸送流体などの放射エネルギーの伝達・阻止部材
量子コンピュータのような微小素子
総括すると、ナノ技術関連の発行公報は減少傾向にあり、既に様々な用途も出願されていることから、ナノ技術は成熟段階にあり、今後大きな変化は無いと思われるが、医薬品関係はまだ増加しそうである。
※作成した図表は61図と16表