d.管財人報酬

管財人報酬は、裁判所の報酬決定により定められます。

異時廃止で財団債権の按分弁済もない場合は、最後の債権者集会において、異時廃止決定とともに報酬決定を受領します。

異時廃止で財団債権の按分弁済を行う場合(優先的破産債権に対する簡易な弁済を行う場合を含みます)、維持廃止後にこれらの弁済を行うこともありますが、債権者集会前に報酬決定を得ておき、集会までに按分弁済を済ませることもあります。

後者の場合には、業務要点報告書や打合メモなどで裁判所に按分弁済実行のために報酬決定を得たい旨を上申し、報酬決定を受けます。

配当事案では、債権者表提出後に報酬決定を受け、配当手続に進みます。

いずれの場合でも、報酬決定受領時に管財人口座から出金してもかまいませんし、管財人口座解約時に立替金の精算とともに受領してもかまいません。

破産者が法人の場合、管財人に管財人報酬について源泉徴収義務があります(最高裁平成23年1月14日判決。判例は法人の事案です。)。

管財人は、自らに報酬を支払うに際して源泉所得税を天引きし、徴収の日の属する月の翌月10日までに国に納付しなければなりません(所得税法183条、199条、204条)。

破産者がもともと源泉所得税を納付していた税務署に連絡し、納付に必要な書類の交付を受けて納付します。

破産者が個人の場合について、上記判例は述べるところではありません。

破産者本人が事業者以外の個人の場合には、所得税法204条2項2号により、管財人報酬について源泉徴収を要しないとする見解も指摘されています(判例タイムズ1343号98頁)。