滑川 光裕 (ナメカワ ミツヒロ)
私の現在における研究分野は、(1)過去の状態変化から将来の状態を予測(システムシミュレーション、人工知能)する。(2)スマホのカメラやWebカメラなどの画像を、人工知能技術を用いた画像認識技術によって、日常の危険性を検知したり、工場で不良品検出したり、渋滞状況を分析市たりする。(3)人間どうしのつながりを様々な情報から理論的に分析を行い、相関関係を分析する。(4)スマホのGPSと通信機能により、自動車・トラック・列車・航空機・船舶など効率の良い配送経路と手段を指示する。(5)スマホやパソコンなどの機器を用いて、農業(稲作、畑作、果樹、養蜂など)の効率化を行う「IT農業」の新たな手法の開発を行う。・・・などです。
次に、これらを社会に適用させた私の研究実績の一部を紹介します。最新のICT技術を用いて交通渋滞の解析・予測したことで、吉祥寺、富山市、高知市、宮崎市における渋滞解析や、LRT(路面電車)と自動車との交通バランス(主に富山市)、複数の信号が相談しながら自動車の流れを制御するシステムの検証(宮崎市、信号機メーカーとの連携で警察庁へも寄与)などを行ってきました。これとは別に、一部上場企業(当時)において、電子基盤に配置されている部品の製造ミスをチェックする装置の開発研究も行ってきました。
AIに奪われない仕事を目指そう!:AI画像認識&センシング技術による社会現象解析(データサイエンス)とシミュレーション
本ゼミでは、大きく分けて二つの研究をしています。一つ目は、社会(例えば街中)の画像データなどを使って「これから社会がどう動くか」を予測する、未来のトレンドを読む研究です。二つ目は、家の中のエアコンや洗濯機などの電化製品(IoT)をかしこくつなぎ、私たちの生活をより便利で安全にする研究です。
例えば、スマートフォンGPS機能で私たちが家に帰るタイミングを把握し、それと連動してエアコンを自動で最適な温度に設定するシステムを考えます(例:家に帰る途中でエアコンがオンになり、家を出てしばらくするとオフになる)。これにより、私たちは省エネしながらも、家に帰るとすぐに快適な空間を得ることができます。また、IoTで電気の消費量を常に見守ることで、事故を未然に防いだり、留守中のドアの開閉を監視することで泥棒などの防犯対策をしたり、人々の「安心」を支える仕組みも研究しています。
最近、AIがどんどん進化し、文章を作ったり、絵を描いたり、プログラミングもできるようになりました。しかし、この研究会で「身につく力」は、そういったAIには簡単に真似できない、非常に価値の高いものです。なぜなら、AIは過去のデータから答えを見つけ出すのは得意ですが、「刻一刻と変わる現実世界で、人々の気持ちや状況に合わせて機械を動かし、生活全体を最適な状態に調整することは苦手だからです。
この「調整役」の仕事は、単なるプログラミングを超え、経済活動の基盤である「安心・快適さ」をデザインすることに繋がります。画像認識で社会の動きを理解し、IoTで実際の生活をコントロールするこの力は、AI時代においても、ビジネスや社会の現場で常に必要とされる「高度なシステム設計者」としてのスキルです。私はこのゼミに入った学生には、将来にわたって価値を生み出し続けられる、実践的な問題解決能力を身につけることができるように指導して参ります。
代表メンバーによる金沢工大研究発表&「夢考房」(学生たちの自主的な実験工作施設)視察
【専門ゼミナール1~6の概要紹介】
滑川ゼミナールでは、大学内・研究室内での研究だけではなく、東京都心(渋谷・銀座など)や郊外(吉祥寺・川越など)での観測研究会や東京ウォーカー、夏合宿などの様々なイベントもあります。そして、これらのイベントは、教員ではなく、すべて学生たちにより行うことで、自主的な企画・運営能力も身につけてもらうことになっています。
そして、過去の学生との研究では、渋谷スクランブル交差点や銀座4丁目交差点などの混雑するエリアで、人の動きを認識し、パーソナルスペースと人間空間飽和量(いわゆる「密」の度合い)に関する調査・研究したりすることで、例えば、青信号の間に渡ることのできる最大人数の推定をしたり、吉祥寺の交差点では、自動車や横断歩道の人の流れをAI認識させ、今後の渋滞予測についての研究をした学生もいます。最近は、AIチップ(NVIDIA製)搭載のワンボードコンピュータを用い、自動車と人間の動きに関する研究プロジェクトも行っていました。また、留学生の中にも、自分の国の交通解析をしようと、母国の交通データを取得して解析した学生もいます。
経営マネジメントとの融合研究例では、①コンビニエンスストアやスーパーにおける人の出入りや店内商品配列、買い物店内動向のAI認知による今後の人員配置(レジや品出しの要員)計画とコスト算定、②道路におけるETC・料金所と交通容量による料金所システム設置・人員のコスト算定、③Yahoo!混雑レーダーなどによる都心の人の移動の現状と代替交通(例えば、大地震による鉄道不通時や、自動運転タクシーへの代替など)の移動時間・コスト計算、④最短経路や最短時間ではなく、楽しく快適に移動する(混雑を避ける、眺めの良いルートなど)ためのナビゲーションシステム開発、⑤オープンデータ(現在の電車やバスの位置情報、感知器による渋滞情報、公共施設の位置と状況などのインターネット上で数値として公開されている情報)を用いて組み合わせたスマホ上での新たなサービスシステムなど、ゼミ学生たちと様々な研究に取り組んできました。
このように、それぞれが社会システムを研究対象とすることで、情報通信技術の習得、その理論の検討、アプリでの実践方法(アルゴリズム)研究などについて、担当教員と打合せをしながら進めていきます。これら、社会に貢献する研究を行うため、滑川研究会では、1年次の研究会を決めた時(2024年1月)から活動し、1年を通して決まった曜日(ここ数年は木曜日)に研究活動を行います。
なお、専門ゼミナール1~4まで、それぞれの学習イメージは、以下のようになります(それぞれの学習意欲に応じて変更することがあります)。2024年度からの滑川研究会学生については、プログラムやコンピュータの基礎を学んだあと、グループ研究を中心に進めていきます。
・研究会A1(2年生春学期)[2026年1月末~8月中旬]
初期の段階ですので、コンピュータの仕組みやネットワークの仕組みなどの基礎を学び、さらに、情報スキルの基礎(タイピングやパソコン活用、ソフトウェア開発環境など)について説明します。特にA1ではプログラムの基礎として、C言語を中心に学びます。後半からは、グループでの調査研究として、①画像認識、②交通渋滞、③IT農業の3つのグループに分かれます。夏合宿までに、これらのテーマ別に細分化した調査研究を行ってもらい、個別に発表してもらいます。
・研究会A2(2年生秋学期)[2026年8月末~2027年1月中旬]
大学の夏休み期間も「夏ゼミ」を行いますが、お盆明け後は少し時間をおいてからの「夏ゼミ」となります。研究会A2の段階では、Pythonを中心に習得を行い、CやJavaなどのプログラムも使いながら、何かしらのプログラム実験の「結果」を出すことを目標とします。まずはグループで共通したプログラム作成を行い、そのプログラムをアレンジして、個別の成果を出します。個人で進めていくのは大変ですので、教員だけでなく、先輩たちも一緒に研究打合せを行い、何かを仕上げて自信をつけることを目標としています。
・研究会A3(3年生春学期)[2027年1月下旬~2027年8月中旬]
2年生(研究会A1,A2)で研究してきた内容を洗練させるために、「データ構造とアルゴリズム」や「数値計算法」などプログラミング応用の理論を学びます。さらに、基礎的な確率・統計やベイズ理論なども学びます。これによって、効率の良い情報システム構築について考える能力を身につけます。同じ分野のグループでプログラムのノウハウを共有しながら、個別研究も同時に進めていきます。大学院進学の勉強や就職活動なども並行して進めていきます。
・研究会A4(3年生秋学期)[2027年8月下旬~2028年1月中旬]
研究会A3で学んだ理論をより発展させる情報システムを構築し、より多くの数値的な成果を出します。そして、春学期に学んだ統計的なデータ分析法や数値解析、情報予測手法などによって、研究成果を綿密に分析することで、研究手法の再検討やシステム再構築などを行います。就職活動でも、研究スキルを身につけた滑川ゼミの多くの学生は、自信を持って取り組むことができ、この段階で内々定を獲得することでしょう。
・研究会A5(4年生春学期)[2028年1月下旬~2028年8月中旬]
国内外の論文をはじめとした先行研究調査を綿密に行い、地道に研究を進めていく期間です。学生によっては大学院受験勉強を行いながら、指導教員との個別打ち合わせで、より高度な研究へ進めていきます。また、社会人となっているOB・OGや、大学院の先輩からのアドバイスももらえます。そろそろ卒業研究作品(プログラム)として、ある程度完成させ、卒業論文に取り組む時期でもあります。
・研究会A6(4年生秋学期)[2028年8月下旬~2029年卒業時]
夏休み中に卒業論文を書き、新学期からは指導教員からのアドバイスにより、研究プログラムを改良して再実験を行うなど、最終の仕上げ段階となります。卒業論文(35ページ以上)は、早めに終え、進学先大学院あるいは内定就職先における次の準備に向けた様々な研究も行っていきます。
履修の際の注意点
(1)「ゼミ活動日」について
基本的に、研究会がある日は、大学の門限(午後9時)まで、個別の学習(プログラムや各種コンピュータの理論など)を進めます。また、土曜日にも研究プログラムを行う場合があります。その場合、極力、アルバイトを控えてもらい、お昼過ぎから夜まで、同じ教室を使って、みんなで一緒に研究を進めます。特に、体調不良や就職活動などで研究会を休む場合には、必ず連絡をしてください。無断欠席は厳禁です。
(2)ゼミでの活動姿勢・態度について
「学生」であることを意識し、自分の時間をアルバイトではなく、将来の進学・就職を見据え、ゼミで学ぶことに費やす姿勢を重視する。また、学生として、心身ともに鍛えようという気構えをもつこと。さらに、「大学生」として、大人の意識を持った言動および行動ができること。そして、お互いに、おおらかな思いやりの精神を持って接することができること。
(3)学外活動について
滑川ゼミでは、欠席厳禁の学外イベント「東京ウォーカー」があります。学生が企画して、都内の書店や大学、電気街などを見て回ります。時期としては、①1月下旬、②5月連休中、③5月下旬、④9月の秋学期授業開始前、が定例となっており、その他、必要に応じて開催します。たとえば、指導教員(滑川)が学会にて企画・運営しているシンポジウムへの参加に伴って企画されることもあります。この「東京ウォーカー」により、ゼミでの仲間作りにも力を入れています!
この東京ウォーカーにおける最大のイベントとして、途中の書店(丸善オアゾ店)で自分が学ぶべき書籍の選定を行う時間があります。選んだ書籍は、本学図書館に入れてもらっています。東京ウォーカーは、最後に、秋葉原で研究用部品(主に、パソコンやカメラ、センサーなどの電子パーツ)を選定してから解散となります。その後、先輩と一緒に秋葉原周辺を遊んで帰る後輩たちも多く、先輩・後輩の楽しいコミュニケーションの場にもなっています。
夏合宿については、合宿中の発表が成績の一部となっていますので、参加必須です。全員が、同学年を含め、先輩・後輩がどのような研究をしているか把握し、お互いの知識を共有することで、より高度な研究に発展させることが可能となります。議論は、深夜にまで及びます。そのような真面目な合宿ですが、もちろん学生企画のイベントも楽しめます。
詳しくは、研究会選択フォーラムの会場の教室で、教員(滑川)やゼミ学生たちからの説明を聞いてください。
(1)「ゼミ活動日」の確保
1週間のうち、ゼミの日以外の1日(ゼミ学生たちとの話し合いで決めますが、多くは、滑川研究会が設定されている木曜日、過去には土曜日丸一日のケースもありました)は、できるだけゼミに専念してもらう日にしてもらいます。そして、その日は、極力、他の科目やアルバイトを控えてもらい、お昼過ぎから夜まで、同じ教室を使って、みんなで一緒に研究を進めます。これによって、ゼミ仲間での相談もしやすくなり、ゼミの一体感も高まるようになっています。もちろん、この日の欠席は厳禁です。
(2)ゼミでの活動姿勢・態度
「学生」であることを意識し、自分の時間をアルバイトだけではなく、将来の進学・就職を見据え、ゼミで学ぶことに費やす姿勢を重視する。また、学生として、心身ともに鍛えようという気構えをもつこと。さらに、「大学生」として、大人の意識を持った言動および行動ができること。そして、お互いに、おおらかな思いやりの精神を持って接することができること。
(3)学外活動への参加
滑川ゼミでは、学生が企画して、都内の書店での選書、他大学での講演聴講、秋葉原電気街などを見て回るなど、「東京ウォーカー」を20年ほど前から行っており、参加必修となっています(初回は、2025年1月中に開催予定)。この東京ウォーカーでは、途中の書店(丸善オアゾ店あるいは、ジュンク堂池袋本店)で自分が学ぶべき書籍の選定を行います。さらに、秋葉原では研究で利用するAI・コンピュータパーツの選定も行います。
さらに、夏合宿があり、滑川研究会単位取得のための必須条件となっています。具体的には、夏合宿での発表が成績の一部となります。全員が、同学年を含め、先輩・後輩がどのような研究をしているか把握し、お互いの知識を共有することで、より高度な研究に発展させることができます。議論は、深夜にまで及びます。そのような真面目な合宿ですが、学生によるハイキングやスイミング、サイクリングなどの企画イベントも楽しめます。
学外イベントでは、さらに、指導教員(滑川)が学会にて企画・運営しているシンポジウムへの参加についても、必須となります。