加藤 寛之 (カトウ ヒロユキ)
私が十代の頃は、ちょうど冷戦の崩壊、政権交代、バブルの崩壊などがあり、その後は低成長の時代でした。 今まで当たり前のように、一流だといわれていた思想や企業や国の在り方は通用しなくなっていて、自分なりの考えや結論を出すことを求められていましたが、よく分からなくて混乱していました。そんな中で、経済学はそうした社会のあり方の根本を、客観的に論理的に問うているように思って大変救われたように記憶しています。結局その後、経済学を専門として生きるようになってしまいました。
経済学を学ぶ
論理的に考える力、客観的に物事をとらえる力
(経済学というのは、数百年という長い歴史の中で、色々な文系的分野の中では一番科学として確立したものだと思います。経済学を学ぶと、上記の力が自然に身につくと考えております。)
主に本や論文などの輪読を通し、マクロ・ミクロ経済学、産業組織論、国際経済学、ファイナンス、ゲーム理論、計量経済学などの基本理論を学び、現実の景気や物価、企業収益、株価、財政、金融など様々な経済の様子を説明できるようになることを目指します。具体的な内容は、履修者と相談して決めますが、概略は以下のような予定です。
研究会A1、2では、入門的な教科書、文庫本、新聞、雑誌などを題材としつつ基礎的な経済学を学びます。最近は「ミクロ経済学の第一歩」安藤至大を輪読しています。ミクロ経済学は分野の一つというより今の経済学の基本となるものです。スライドを作って前で発表してもらっています。それ以前は、新聞記事や様々なマクロやミクロの教科書、経済学の入門書などを輪読していました。
研究会A3、4では、主に学生の興味に合わせて、少し進んだ内容の本や論文等を輪読します。今年は、「やさしいマクロ経済学」塩路悦朗を輪読しています。昨年までは、「マクロ経済学」アセモグル・レイブソン・リストを輪読していました(アセモグルは去年ノーベル賞を受賞いたしました)。それ以前は、「「原因と結果」の経済学 : データから真実を見抜く思考法 」 中室牧子・津川友介、と「データ分析の力 因果関係に迫る思考法」伊藤公一朗、「公共経済学入門」上村敏之、「日本経済入門 」野口悠紀雄などでした。
研究会A5、6では、今まで学んだことの中で、自分で興味を持った事柄について学術書や論文を読んでもらいながら、希望者には卒業論文を作成してもらいます。新しいことをやるというより、既存のものをよく勉強して理解している、ということを重視してます。それ以外は通常の輪読をしています。今年は、「行動経済学入門」黒川博文、昨年は「統計学入門」「ベイズ統計学入門」小島寛之を輪読しました。それ以前は「分析者のためのデータ解釈学入門 」江崎貴裕など、社会人になったら接することが多くなるデータ分析に関わることを主に学んでいます。
特徴
素朴にお勉強をする研究会だと思います。
希望
研究会に出席することはもちろんですが、研究会以外の授業についてもきちんと勉強しましょう。
大学の授業以外のことについても自分で本を読んだり、考えたりしましょう。
安易な理解をせず、考え続けましょう。