岩佐 由加里 (イワサ ユカリ)
この研究会では、所得税や法人税について学ぶことを通じて、身近な税金の問題について理解できるようになること、条文や判決等を通じて税法を解釈する力を身に付けることを目標としています。
私は国税庁に採用された国家公務員ですが、2024年8月から期間限定でこの嘉悦大学に出向しています。嘉悦大学に来る前は、霞が関にある国税庁での業務を中心に、国税局の次長や税務署長などといった仕事を経験してきました。
国税庁というのは、納税者の方々に税金を納めていただくための総指揮役といった感じで、皆さんが税金の申告・納税がしやすい環境整備(例えば、スマホでの申告システムや●●ペイでの納付システムの開発など)のほか、国税局・税務署で行う税務調査などの運営や税金に関する法律の解釈に関することなどを業務として行っています。
研究会の中では、税務署や国税局はどのような仕事をしているのかということについても知ってもらいたいと思っていますし、これらの勤務経験もベースにしながら指導していきたいと思っています。また、一人の社会人という立場から、これから社会人となる皆さんのお役に立てればと思っています。なお、上記のとおり「期間限定」ですので、途中で担当者が変更となる可能性があります。
国税庁e-Taxキャラクター
イータ君
自己紹介のところにも書いてありますが、この研究会では、身近な税金の問題について理解できるようになること、 条文や判決等を通じて税法を解釈する力を身に付けることを目標としています。
税金は難しい印象があると思いますが、皆さんの生活にも密接に関わっていて、知らないと税金の負担が多くなってしまったりすることもあります。
「知らないから損をしてしまう」ということにならないように、皆さんが社会人になって就職してから、独立してフリーランスになったりしてから役立つ税の知識などを中心に、所得税・法人税全体の概要についても学んでいきます。
税法の勉強はちょっと難しいですが、できるだけ楽しく学べるように税に関するニュースだったり、ドラマを見て考えてもらう時間も作ったりしたいと思います。
◆ 身近な税金の問題について理解できるようになる。
◆ 条文や判決等を通じて税法を解釈する力を身に付けることにより、税法の取扱いについて自分自身で考え、判断することができるようになる
研究会では、主に2年生では所得税法、3年生では法人税法について学んでいきますが、その中で税務署へ行って税務調査の体験をしてみたり、所得税の確定申告書の作成などといった体験型の授業もできる限り盛り込んでいきたいと思います。4年生では、所得税法と法人税法に関する裁判例などの検討を通じて、税法の理解をより深めていく学習をしていきます。
研究会に関する勉強は、基本的には(税務署へ行く場合や3年生の秋学期を除いて)授業中に完結するので、研究会の負担は少なめだと思います。
(3年生の秋学期は、法人税法に関する本などを読んで発表してもらう予定ですので、授業時間外の作業が少しあります)
※ 以下に書いてあるものは現時点での予定です。皆さんの希望に合わせて随時見直しをしていきます。
●2年生のカリキュラム
【春学期】
税法の一つに所得税法があります。皆さんの暮らしに役立つ税の知識のうち、所得税に関するものを中心に学びます。
● ふるさと納税をして返礼品をもらってみたいけど、どうしたら・・
● 医療費がたくさんかかってしまったら・・
● 災害にあってしまったら・・
● 競馬で万馬券!が当たってしまったら・・ など
【秋学期】
春学期に学んだ知識の復習をしながら、所得税法全体の概要を学んでいきます。制度の内容について私から説明をした上で、私から投げかける質問についてグループワークをしたり、問題を解いてもらったりします。
● 3年生のカリキュラム
【春学期】
3年生では新たに法人税法について取り組みます。法人税法全体の概要を学んでいきますが、制度の内容について私から説明をした上で、私から投げかける質問についてグループワークをしたり、問題を解いてもらったりします。
【秋学期】
法人税法のいろいろな論点について、皆さんにテキストや判決等に基づいて資料にまとめて発表してもらいます。その上で、グループワークなどにも取り組んでもらいます。(1人あたり2~3回程度発表をしてもらう予定です)
● 4年生のカリキュラム
【春学期】
所得税法に関する判決等を読んで、私から投げかける質問についてグループワークをしたり、問題を解いてもらったりします。
【秋学期】
法人税法に関する判決等を読んで、私から投げかける質問についてグループワークをしたり、問題を解いてもらったりします。
≪卒業論文・卒業制作について≫
卒業制作や卒業論文は必須ではありませんが、作成を希望する人には4年生秋学期の研究会の授業終了後の時間に指導を行います。税に関することであればテーマ設定は自由なので、所得税や法人税だけでなく、相続税や消費税、外国の税金についてでも何でもいいので、自分で興味があるものを選んでください。
本研究会は、
● 社会人になってからなど、日常に役立つ税の知識を身につけておきたい
● 講義を聞いて学習することが比較的好き
● 税理士試験にも興味があって、税法がどんなものか知りたい
などといった皆さんの履修を歓迎します。
研究会の概要にも書いてあるとおり、研究会の負担は少なめだと思いますが、その分、授業中は積極的に取り組んでもらいたいと思っています。
研究会の成績評価は、基本的に平常点(出席と取組姿勢)をもとに行いますが、その上で、質疑や発表の内容をプラスアルファの要素として評価します。
なお、私の指導は2026年7月末までとなるかもしれません。また、その際、国税庁からの後任者がいる場合にはバトンタッチすることになると思います。今後のことなのでどうなるか分かりませんが、これらの点についてはご承知おきいただければと思います。