令和4年度入学式 式辞

はじめに 

新入生の皆さん、大学院並びに大学への入学、誠におめでとうございます。

 ここ2年間ほど続いているコロナ禍で色々な制約がある中、皆さんは幾多の苦労を重ねて、勉学に励まれ、その成果が現れ本学に入学されました。心よりお祝いを申し上げます。

本来ならば保護者の方々にも出席いただき、皆さんの入学を盛大にお祝いするところではございますが、新型コロナウイルスの感染拡大防止を最優先に考え、式典の規模を縮小し、入学生の皆様、ご来賓の方々並びに一部の教職員のみで執り行うことと致しました。感染拡大を防止するための止むを得ない措置でありますこと、ご理解を賜りたいと思います。

 本日は大変ご多忙にも拘わらず、岐阜市長 柴橋 正直 様、岐阜市議会議長 谷藤 錦司 様、岐阜大学長 吉田 和弘 様をはじめご来賓の皆様にご臨席を賜り、新入学生を祝福していただきますこと、大学を代表して心より厚く御礼申し上げます。

皆さんに期待していること

本学は6年制課程の大学であり、「医療薬学コース」と「創薬育薬コース」の2つのコースを有しております。「医療薬学コース」においては、「安全で確実な薬物療法を提供できる薬剤師」及び「地域や社会のニーズに向き合い、健康で質の高い社会を築くことに貢献できる薬剤師」の育成を目指しています。また、「創薬育薬コース」においては、薬剤師の資格を持って「医薬品の研究、開発の中核となる研究者や技術者」の育成を目指しています。そのために3回生後期からそれぞれのコースの研究室に配属し、早期から教育・研究を行っております。すなわち、本学では、臨床に従事しながら研究ができる薬剤師、あるいは臨床の経験を生かして製薬企業などで研究者として活躍する薬剤師研究者など、応用力のある人材の養成を目標としています。従いまして、皆さんには薬剤師国家試験に合格して薬剤師免許を取得することは大前提であり、その上で在学中にしっかりと研究力を身に付けて頂くことを期待しています。

大学院においては、「いかに患者さん個々人の治療の向上に役立つ薬へと改良していくか、また、正しく薬を使うかを研究する“育薬”」と、「難病治療などに向け、世界に発信できる新薬を研究する“創薬”」という観点から、教育を進めております。いわゆる、専門薬剤師や創薬や生命科学研究のエキスパートの育成です。大学院を卒業することによって、薬学博士号を取得することになります。博士号を取得することは、その後の薬剤師、研究者や公務員などの人生において、非常に有益であり、かつ活躍の場も広がります。

本学では毎年約1割の学生が大学院進学を目指しています。学部入学生の皆さん、薬剤師研究者として更なる磨きをかけるためにも、大学院進学も視野に入れて学生生活を送って頂きたいと思います。

(参考:キャリアガイダンス@岐薬

本学は、「疾患の早期発見や安全で有効な個別化治療」へと移行しつつある医療の社会的ニーズに応えるため、本部キャンパスに隣接している岐阜大学の医学部、応用生物科学部(獣医学部)及び工学部の教育・研究機関と連携して、「岐阜大学大学院連合創薬医療情報研究科」を開設し、高度な専門性と先見性、柔軟な発想を有する最先端な領域で活躍できる人材の育成にも努めております。また、名古屋大学医学部医学研究科、創薬科学研究科や名古屋市立大学、さらには中国浙江大学、フロリダ大学など多くの海外の大学とも学術協定を締結し、最先端の研究に取り組んでおります。それ以外にも、現在、民間企業出資による7つの寄附講座及び1つの創薬ベンチャーとの共同研究講座、併せて8つの講座を開設し、教育・研究を進めています。

(参考:寄附講座と共同研究講座

本学は、朝日新聞出版『大学ランキング2022年版』の論文引用度指数ランキングで、全国国公立私立大学791校中本学が1位にランキングされました。これは教員の生産性を示すもので、教員一人当たりの年間の主著論文、いわゆる論文の最初に名前が出る方(論文作成に主に携わった方)の論文数が本学は全国でトップということです。また文部科学省が交付する科学研究費助成金(科研費)という国からの競争的研究費の新規採択率が国公立私立大学791校中で6位、科研費や外部資金の受け入れ金額も全国でそれぞれ22位及び27位でした。さらに令和3年度の薬剤師国家試験の本学新卒者の合格率は、96.1%であり全国国公私立84校中で第4位の成績でした。このように、本学の研究力及び教育力はトップクラスであります。

(参考:数字が示す岐阜薬科大学の研究力

これからの心構え

4月からは新入生として、勉学は勿論のこと、クラブ活動、友達、先輩方、先生方との交流が増えてきます。高校までとは違う生活が始まります。これまでは、与えられる教育、すなわち先生方や周りの方々から色々な知識や考え方を教えて頂きそれを学ぶ、いわゆる「アウトサイド・イン」受身の教育が中心でした。これからは、「インサイド・アウト」の能動的な行動の中で、自ら考え発信していく事が大切です。大学生活という社会に出ていくための大切な準備期間に、色々なことにチャレンジして下さい。その中で自分とはどのような人間なのか、どのような才能を持っているのか、何に興味があるのかなど自ら進むべき道を見出して欲しいと思います。本学は、学生数が約800人と総合大学と比べて規模が小さな大学です。一方、クラブ活動は盛んで、多くの学生が何処かのクラブに所属しています。皆さんも入学後は是非クラブに入部して下さい。クラブでの活動が社会にとって必要なコミュニケーション力や人間力を身に着ける手助けになるはずです。本学の特徴の一つは、学生同士、教職員・学生の距離が近くアットホームなところです。学生一人ひとりにアドバイザーの教員がつき定期的に面談を行っています。また、学長との面談や学長へのサジェスチョンボックスも用意しており、安心して学生生活をエンジョイ出来る様に教職員が全力で皆さんを支援します。

現在、新型コロナウイルスに対するワクチンは、昨年の感染症拡大が明らかになって1年以内に創出され、ワクチンの投与も開始されました。これにより新型コロナウイルスの拡大抑制も期待できる状況になってまいりました。しかし、その最前線では医師、看護師、薬剤師をはじめ医療従事者の方々が感染した患者さんを救うために、このウイルスと闘っておられます。このような状況を改善解決するための有効策として期待されているのが、感染症の拡大を抑えるワクチンや感染後に使用する治療薬の開発です。これらの薬の開発に関わることが出来るのは、まさにこれから薬学を学ぶ皆さんです。このように薬学は、感染症をはじめとするまだ治療薬がない病気を解明することによって、治療薬を開発することが出来、人類の生活や生命に大きく貢献できる学問分野です。皆さんは、今からこのような有意義な学問を学んでいくのだという「気概と期待」とそして「夢」を持って、これから本学で薬学を学ぶために学生生活を送って頂きたいと思います。

最後に

今年度は、基本的に対面授業を行う予定です。しかし、新型コロナウイルスの感染状況次第ではオンライン授業と併用することもあります。新型コロナウイルスは、まだ解決したわけではありません。油断はできない状況です。皆さんには新型コロナウイルスの対応と自らの健康管理をしっかりと行って頂きたいと思います。

最後になりますが、皆さんのこれからの学生生活が楽しく、充実したものになりますように祈念して、入学式の式辞と致します。

令和4年4月9日

岐阜薬科大学学長

 原 英彰