山の手Q&A
「山の手」と「町内会」に関する質問と回答
「山の手」と「町内会」に関する質問と回答
山の手第29町内会、山の手連合町内会、山の手会館、山の手地区、町内会・自治会一般に関する疑問・質問にお答えします。
【回答】
■参考となる資料
札幌市図書館蔵書検索・予約システムを利用して、「山の手」というキーワードで検索してみると、次の三冊の資料がヒットします。
[1] 相澤季男 著『山の手のおいたち』2010年9月
[2] 山の手第23町内会創立50周年記念誌編集委員会 編『あやめ咲く町』(山の手第二十三町内会創立五十周年記念誌)2015年3月
[3] 山の手連合町内会設立50年誌編纂委員 編『山の手連合町内会50年のあゆみ』(山の手連合町内会設立50周年記念誌)2015年10月
いずれも山の手図書館から一般貸出が可能です。三冊ともISBNがないことから、書店ルートでは出回らなかった私費出版の資料と考えられます。山の手の歴史を知る上では、文献[1]が最も詳しく書かれており、札幌市電子図書館からも電子書籍で読むことができます。ご一読をお勧めします。
文献[2, 3]は、1965年(昭和40年)に設立された山の手第23町内会と山の手連合町内会(旧称:山の手町内連合会)のその後の足跡が、山の手地区の発展の歴史とともにまとめられています。相澤季男氏が山の手第23町内会の地域にお住いのことから、文献[2]の第一部前半には[1]と重複する部分が散見されます。文献[3]には、山の手会館建設に関する経緯が詳細に記されています。
■山の手地区の歴史
詳細は文献[1]をご参照いただければと思いますが、札幌市西区役所ホームページの「地区別の歴史」から、山の手地区の歴史を引用します。 (https://www.city.sapporo.jp/nishi/syoukai/rekishi/rekishi_area.html#yamonote)
山の手の地名は、旧国道5号以南に開けた丘陵地帯としての土地柄から名付けられました。
明治初期、この辺り一帯は原始林と荒地でしたが、明治8年(1875年)の琴似屯田兵入地後、屯田兵の射撃訓練場となり、明治37年(1904年)の屯田兵制度廃止後は、ここにとどまり独自に開墾に従事した人々に払い下げられました。
山の手地区は、八軒、発寒など北部地帯に比べ、琴似発寒川や琴似川の上流に挟まれた位置で、比較的給排水など水利に恵まれていたので、稲作の歴史は古く、安政5年(1858年)には、後の石狩水田の祖といわれた早山清太郎が琴似川の水利を使って水田作りに成功しています。明治30年代に入って札幌近郊のリンゴ栽培が盛んになり、山の手地区では、大正6年(1917年)当時、すでに約2,000本のリンゴの木があったといわれています。大消費地である札幌が発展するにつれ、それまでの山鼻や豊平、白石などのリンゴ園は、宅地化により、次第に減少していきました。このため山の手の山麓地帯は、重要な果物供給地ともなったのです。
その後、住宅が立ち並ぶようになり、現在は閑静な住宅街として知られています。
【回答】【Q1】の回答にある文献『山の手のおいたち』[1; 80-81頁]に基づいてお答えします。
■衛生組合から町内会へ
山の手地区に限らず、近代における我が国の住民組織の生成には、下水処理やごみ収集が整備されていなかったことが大きく関係しています。このため、早くから行政指導の形で「衛生組合」が組織され、山の手地区にも1955年(昭和30年)に「山の手衛生協力会」が誕生しました。山の手衛生協力会には分区が置かれ、1962年(昭和37年)には24の分区(2,469世帯、人口9,646人)が存在していました。その後、1965年(昭和40年)に山の手衛生協力会は発展解消して「山の手町内連合会」が結成され、単位分区は単位町内会に移行しました。1972年(昭和47年)には、山の手町内連合会は、現在の「山の手連合町内会」に改称されました。【Q1】の回答にある文献[2, 3]の50周年の意味は、1965年~2015年の期間を指します。
1962年(昭和37年)以降、24の分区は
1964年(昭和39年) 第25・26町内会
1965年(昭和40年) 第27・28・29町内会
1966年(昭和41年) 第30町内会
1968年(昭和43年) 第31町内会
1972年(昭和47年) 第32町内会
1976年(昭和51年) 第33・34町内会
1977年(昭和52年) 第35町内会
1981年(昭和56年) 第36・37町内会
1986年(昭和61年) 第38・39町内会
1987年(昭和62年) 第40・41町内会
2002年以降 第42・43・44・45町内会
と細分化されていきました。したがって、山の手町内連合会が結成された1965年(昭和40年)には29の単位町内会があったことになります。一方、文献『山の手連合町内会50年のあゆみ』[3;32頁]には次の記述があります。
「(昭和40年)4月18日には「山の手連合町内会」が発足し、琴似集会所において総会が行われました。山の手地区衛生協力会の各分区が衣替えし、第1町内会から第30町内会で組織することになりました。」
これらの資料より、第30町内会設立年については文献によって相違する箇所がありますが、少なくとも私たち第29町内会の設立は、1965年(昭和40年)4月18日で間違いなさそうです。したがって、2025年(令和7年)4月に山の手第29町内会は設立60周年を迎えます。
■当町内会の境界線
文献[1;82頁]にある「山の手衛生協力会・防犯協会区域図」(昭和38年3月)によると、第29町内会は、山の手3条9・10丁目が当時の山の手衛生協力会第15分区に、山の手3条11丁目が同第21分区に含まれていることが分かります。また、文献[1;83頁]にある「山の手町内会区域図」(平成19年1月)では、現在の形に近い区域が描かれていますが、山の手4条9丁目(第21町内会)の一部が含まれています。現在、札幌市役所ホームページで公開されている「西区山の手連合町内会 土砂災害危険個所図」にも同じ境界線が使用されているため、担当部局に確認したところ、当該図面は現在の境界線とは異なるとの回答を得ました。令和5年に公開された「札幌市土砂災害避難地図(西区:山の手連合町内会)」では、正しい境界線が使用されています。
【回答】札幌市ホームページの「住居表示とは」より引用すると
「住所をわかりやすく表示するため、昭和37年に作られた新しい制度を「住居表示制度」といいます。
〇町〇条〇丁目〇番地〇(地番を用いた表示)
町名 地番
〇町〇条〇丁目×番△号(住居表示制度を用いた表示)
町名 住居番号
明治以降、住所は土地の所在を表す「地番」で表示されてきましたが、戦後の人口膨張、高度経済成長により、流通の発達、人口の拡散等が盛んになってくると、地番を用いた住所の表示方法では様々な問題が発生し、市民の日常生活や行政、産業活動に大きな支障をきたすようになりました。」
札幌市では、1972年(昭和47年)から住居表示制度を取り入れていますが、「住居表示に関する法律」(昭和37年9月)が施行されてから60年以上が経過した現在もまだ整備中です。山の手地区の住居表示は、1982年(昭和57年)7月19日に実施されています。【Q1】の回答にある文献『山の手のおいたち』[1;4頁]にある表「土地登記登録上の地名の変遷」によると、山の手地区の住居表示は次の変遷がありました。
1869年(明治2年) 石狩国札幌郡琴似村大字琴似村○番地
1880年(明治13年) 札幌区札幌郡琴似村大字琴似村○番地
1882年(明治15年) 札幌県札幌郡琴似村大字琴似村○番地
1884年(明治17年) 札幌郡琴似村大字琴似村字琴似○番地
1942年(昭和17年) 札幌郡琴似町大字琴似村字琴似○番地
1943年(昭和18年) 札幌郡琴似町字山ノ手○番地
1955年(昭和30年) 札幌市琴似町山の手○番地
1962年(昭和37年) 札幌市琴似町山の手○条○丁目○番地
1972年(昭和47年) 札幌市西区山の手○条○丁目○番地
1982年(昭和57年) 札幌市西区山の手○条○丁目○番○号(住居表示)
1982年(昭和57年) 札幌市西区山の手○条○丁目○番地 (地番)
【回答】【Q1】の回答にある文献『山の手のおいたち』[1;38頁]に基づいてお答えします。
■山の手通り⇒香蘭通り⇒山の手3条通り
札幌山の手高等学校と同校グラウンドの間にある南北に走る道路が山の手3条通りです。山の手第29町内会の東側の境界にあたります。一見、何の変哲もないこの道は、山の手地区でも3本の指に入る開拓時代からの歴史のある道路です。当時は、現在の札幌市立山の手南小学校のあたりに屯田兵の墓所があったため※、早くから道路が開かれて「山の手通り」とよばれていました。1929年(昭和4年)に円山から国立療養所(現・国立病院機構 北海道医療センター)への幹線道路(新道→山の手中央通り、現・山の手通り)が完成したこと、および1952年(昭和27年)に沿道に札幌香蘭女子学園高等学校(現・札幌山の手高等学校)が小樽から移転してきたことで、名称を「香蘭通り」に変更し、山の手通りの名称を山の手中央通りに譲ることになりました。1988年(昭和63年)に、札幌香蘭女子学園高等学校が共学化し、名称を札幌山の手高等学校に変更したことで、道路の名称も香蘭通りから山の手3条通りに変わりました。
山の手地区が琴似町の一部であった時代(1942年~1971年)には、山の手3条通りを境として、山の手地区は「東山手」と「西山手」に行政上区分されていました【1;3頁】。したがって、山の手第29町内会は西山手に属していたことになります。
※この墓地は、1975年(昭和50年)11月に手稲平和霊園へ移転改葬されていて、その跡地に1982年(昭和57年)11月、札幌市立宮の森小学校から移籍した札幌市立山の手南小学校が開校しました。学校の敷地内に「山の手墓地跡」碑があります。
【回答】電話(011-642-3866)または会館1階受付で直接予約をする必要があります。利用料金等の「利用の手引き」は、Web上では公開されていないようです。
所在地: 〒063-0003 札幌市西区山の手3条2丁目5ー20
営業時間: 日曜日~土曜日 9時00分~21時30分
臨時休館日: 憲法記念日、みどりの日、子供の日(年度により振替休日を含む等の変更可能性あり)
■予約状況開示の必要性
山の手連合町内会が運営する山の手会館では、紙ベースの受付簿による予約方法を採用しています。しかし、この方法では、問い合わせをしてみないと空き状況が分からず、会議等の開催スケジュール調整の際に非常に不便です。Google Sites ®でWebサイトを開設している全国の町内会・自治会の中で、例えば
上野町会(北海道函館市)
ひたち野東自治会(茨城県牛久市)
金沢文庫パークタウン自治会(神奈川県横浜市)
パレットガーデン自治会(神奈川県足柄上郡開成町)
南蟹屋町内会(広島県広島市)
東部地区連合自治会(香川県坂出市)
山手団地町内会(福岡県北九州市)
等では、Googleカレンダーを利用して会館等の予約状況を開示しています。これらの町内会・自治会では、Webサイトで予約状況を確認後、電話/メールで予約を行う形態を取っているようです。本Webサイトの今後の行事予定と同様の方法で可能ですので、技術的にも容易です。また、紙ベースの受付簿をWebベースに変更することも可能になるでしょう。予約状況の確認に加えて予約完了までを自動化するには、多少のコストとITスキルが必要になりますが、山の手会館を運営する山の手連合町内会にまず最初に求められるのは、Webサイトの開設ではないでしょうか。
■単位町内会定期総会予約方法の改善
山の手第29町内会2024年度定期総会は、2024年4月20日 (土) に開催されました。当初は、山の手会館で開催する予定でしたが、2023年11月下旬の時点で、上記回答に示した通常の予約方法では、2024年4月以降の予約ができませんでした。このため、山の手連合町内会総務と交渉して2023年12月4日 (月) に翌年4月の総会会場を確保したのですが、この時点ですでに外部団体には次年度の貸出しを認めていて、小さな会議室しか押さえられませんでした。2024年度定期総会はコロナ禍の中で4年振りの開催となり、延期になっていた計14組の町内会発展功労者表彰式も行う予定でしたので、容量的に山の手会館での開催を断念せざるを得ませんでした。幸い、社会福祉法人 桜秀会のご厚意により、同法人が運営する特別養護老人ホーム「満快のふる郷 山の手」の会議室を総会会場として貸与してもらえましたので、無事に開催することができました。
総会は町内会の重要案件についての最高議決機関であって、法人化された認可地縁団体の場合は、地方自治法第260条の13の規定により、少なくとも年に1回は総会を開催しなければならず、総会そのものを省略することはできません。また、新年度開始後3カ月以内に、総会において前年度収支決算報告を行うことも義務付けられています。法人化されていない場合は地方自治法の規定に則る必要はありませんが、総会の重要性を考慮すると、上記の予約方法の制約は早急に改善されるべき課題です。また、2015年の山の手会館建替えの際には、1億円を超えるその建設費用の約7割を単位町内会が負担(寄付)しています。通常、公共の会場を予約する場合には、主催団体によって予約可能時期に関して優先権を付しています。当然、単位町内会は外部団体よりも優先されるべき存在です。営利事業を含む外部団体の優先予約によって、単位町内会の総会を行う会場が確保できない事態はありえないことです。
【回答】【Q1】の回答にある文献『山の手連合町内会50年のあゆみ』[3;44頁]では、第5章の「今後の課題と取り組み」として「新山の手会館の機能充実」が謳われていますが、そこで取り上げられているのは、子育て世代の交流会、囲碁大会での頭の体操、ビールパーティで発散等といった、新しいニーズの掘り起こしに限られています。この記念誌を読んでみると、念願の新・山の手会館建設に至る関係者の並大抵でない努力に本当に頭が下がります。しかし、折角作った施設の利用方法に関しては、前時代的な古臭さを感じます。文献[3;42頁]に掲げられた4つのスローガン
① 会館建設を通して山の手全体が元気になること
② 会館建設を通して町内活動が活性化すること
③ 会館建設を通して世代間格差を解消すること
④ 新しい山の手会館を地域防災の拠点とすること
を拝見すると、④を除いて、具体的な目的のために会館を建設するのではなく、会館の建設自体が目的化してしまっていることが伺えます。④についても地域防災の拠点として何を備えるべきかが読み取れません。近年、地球温暖化の影響か、北海道でも夏の猛暑が問題となってきています。エアコン普及率の低い北海道では、本州以上にクーリングシェルターが必要になると考えられます。こうした環境の変化に即して、地域防災の拠点としての設備をあらためて見直す時期に来ていると思われます。
山の手会館は2015年(平成27年)9月竣工ですが、札幌市におけるインターネットの普及状況は、2015年(平成27年)度で68.4%(全年齢平均)、20代~40代は9割以上、50代も8割以上が利用し、すでにインターネットは広く普及していました。また、2014年(平成26年)度の情報通信白書によると、当時の街中のフリーWiFiの普及率は、米国の50%よりは低いですが、日本でも30%になっていました。現在は、カフェや公共機関でのフリーWiFi導入もあり、フリーWiFiを使う人も増えています。ホテル等の利用料金を徴収する施設では、WiFi環境はもはや必須と言わざるを得ません。山の手会館は、単位町内会の会合等で利用する際にも利用料金が課せられますが、WiFiが利用できないため、PC等によるインターネットを使ったプレゼンテーションの際には、ポケットWiFiを自分で準備するか、携帯電話のデザリング機能を使うかしか方法がありません。いずれにしろ、通信料金は利用者負担になります。山の手会館のWiFi環境を整備することで、zoom等を利用したオンラインでの会議(連合町内会定期総会等)、町内会デジタル化出前講座、町内会スマホ教室等の実施を含む新しい利用方法の提案と、それによる会議参加者および会館利用者の増加を見込むことが可能になります。残念ながら、2023年(令和5年)5月21日に開催された山の手会館定期運営委員会(総会)ではこうした提案は一切なされず、設備は現状のままで、年間予約制やポイント制を導入することで利用団体をいかに拡大するかに終始しました。山の手会館運営委員会は果たして機能しているのでしょうか?1年に1回の総会以外には会議は開かれていないようです。山の手会館ではなぜWiFiが使えないのか?それは、少し厳しい言い方ですが、器だけ作って満足してしまったことにあります。
■町内会デジタル活用促進補助金
札幌市は、町内会への活動活性化支援の一環として、連合町内会および単位町内会を対象として、デジタル活用にかかる環境整備に資する事業へ補助金を出しています。その目的は
町内会における円滑な情報や意見の交換・共有
町内会から地域への積極的な情報発信
町内会活動における業務の効率化や負担の軽減
町内会の担い手不足の解消
などが挙げられています。山の手会館のWiFi環境の整備は補助対象になりますが、2つの問題点があります。
① 報償費、使用料、役務費、委託費は補助率が10分の10ですが、WiFi環境の構築に必要な物品・備品購入費、工事費への補助率は3分の2で、しかも補助金の上限が1団体あたり10万円と低い。
② 申請手続きにおいて、事前エントリーシートを6月中旬までに提出する必要がある。応募多数の場合は抽選となり、令和5年度は上限100団体を予定。
このやり方では、やる気のある町内会の熱も冷めてしまいます。補助率はすべての費目について10分の10とし、予算総額が1,000万円を超えることができないのであれば、1団体あたり50万円・20団体に絞り込むというような選択・集中配分を考えてもらえないものかと思います。その場合、抽選ではなく、行政側に公正な審査能力が当然求められます。尚、山の手会館定期運営委員会(総会)は例年5月末に開催されていますが、②に対応するためには、総会での承認を待ってからの補助金申請では準備不足です。前年度の間に申請の準備を始める必要があります。
【追記】当町内会は、令和6年度札幌市町内会デジタル活用促進補助金に申請を出していましたが、令和6年8月27日付で交付決定通知がありました。
【回答】2024年度山の手会館定期総会(2024年6月2日開催)議案書および資料集に基づいて、同会館使用料金と利用状況の問題点について報告します。
■山の手会館使用規則の不備 -1
山の手会館には、利用規約やそれに基づく利用の手引きが存在しません。山の手会館定期総会資料集には、以下の規約・規則等が掲載されています。
しかし、会館の利用目的については、どこにも明記されていません。横浜市の町内会館(集会施設)利用規約モデルを例に取ると、山の手会館使用規則には少なくとも次の条文に関わる規定が欠如していると考えられます。
(会館の定義)
第3条 会館は、会員相互の利益と福祉の増進を図るとともに、会員の親睦を高める場として、会議、会合、サークル活動等の利用に供するため、会員の合意に基づく出資により設置した建物及びその他の付帯設備をいう。
(利用許可)
第8条 会館の利用は、町内会活動に支障のない限り、許可するものとする。ただし、次の項目に該当する場合は、委員会は許可を与えないことができる。
(1)騒音、その他近隣に迷惑をかける恐れのあるとき
(2)町内会の承認を得ない営利事業
(3)その他管理上支障のある場合
(利用者の義務)
第11条 会館を利用するときは、次の事項を守るものとする。
(1)利用責任者を決めること
(2)利用時間を守ること
(3)利用にあたっては、器具、備品等を丁寧に取扱い、室内を汚損しないこと
(4)火気使用には特に注意し、後始末を完全に行なうこと
(5)利用終了後は、片付け及び清掃をすること
(6)その他、委員会の指示に従うこと
現行の会館使用規則は不備が多く、また利用(利用目的および利用者の義務等)に関する規定が不十分なため、各利用団体の使用料金が適正かどうかを客観的に判断するのが困難です。
■使用料金の減免団体について
使用規則第5条3項によると、「住民の福祉あるいは専ら公益のために利用するもので、委員長が相当の理由あるものと認めたとき」は、使用料を減免することができるとあります。これは利用目的による減免措置であり、利用期間の長さによる減免に関しては、それを定める規則は存在しません。しかし、実際には、「山の手会館年間利用団体」あるいは「年間使用料金納入団体」にはその利用目的にかかわらず、委任に関する使用規則第13条を使って、使用規則にはない減免措置が適用されています。2024年度現在で9団体にこの「特典」措置が適用されていますが、次の5団体
山の手地区単位町内会
山の手地区福祉のまち推進センター
民生児童委員協議会
青少年育成委員会
山の手商工振興会
には「室料1,000円」(使用場所等に制限あり)の特典が、それ以外の4団体
山の手会館運営委員会
山の手連合町内会
寿楽会
全日本年金者組合札幌西支部
には、「無料」(使用場所等に制限あり)の特典が与えられています。寿楽会、山の手商工振興会、全日本年金者組合札幌西支部を除く6団体については、使用規則第5条3項に合致していると考えられます。
■山の手会館使用規則の不備 -2
通常、会費に関する町内会の会則・規程等の変更については、役員会の議決を経て総会の承認が必要です。使用規則における使用料金の減免についても、運営委員会の承認か、最低限、役員会の議決が必要と考えられます。しかし、利用目的による減免に関しては、使用規則第5条3項では、委員長が認めれば役員会にも諮ることなく減免が可能です。一方、利用期間による減免は使用規則にないため、委任に関する使用規則第13条を援用して、役員会の議決を経て減免が可能になっています。役員会の議決を経ていたとしても、役員会議事録作成に関する規定が運営委員会規約に定められていないため、後日、減免決定の時期や減免の理由を運営委員が確認することは不可能です。
そもそも、「年間利用団体」および「年間使用料金」の定義が、使用規則および使用料金表の中にありません。単位町内会と寿楽会は年間利用団体に分類されていますが、単位町内会は有料で都度予約することで利用しており、寿楽会のように火・水・金の午前・午後の洋室を無料で押さえている訳ではありません。実態としては、単位町内会は利用目的による減免、寿楽会は利用期間による減免の措置を受けていると考えられます。年間利用団体とされる他の7団体については、当事者ではないので不明です。
おそらく、使用規則全体の整合性をきちんと調整せずに、その場その場で委任に関する使用規則第13条を繰り返し適用し、変更点を細則等の形で整理してこなかったために、まるで「バベルの塔」のような暗黙知と形式知が混在した不可解なルールの体系が出来上がってしまったのだと推察されます。
■年間利用団体の利用状況
2023年度会館利用状況によると、山の手商工振興会は年間使用料金納入団体ではなく一般利用団体として扱われており、青少年育成委員会には利用実績がありません。全日本年金者組合札幌西支部については、2023年度は総計210回(無料利用99回、有料利用111回)の利用があり、その利用回数からは会議利用とは考えにくいものの、総会資料集からは利用内容が不明のため、「住民の福祉あるいは専ら公益のため」の利用か否かを判断できません。全日本年金者組合は日本共産党系の法人格を持たない組合組織であり、同組合のホームページには札幌西支部の記載はありません。また、同組合札幌西支部と山の手地区および山の手連合町内会の活動との係わりも不明です。町内会が認可地縁団体の場合、地方自治法第260条の2の9の規定により、特定の政党のために町内会を利用することは禁止されています。これらを含め、運営委員会には、実体の不明な全日本年金者組合札幌西支部に「無料」の特典を与えている根拠に関して説明が求められます(下記「■追記(2024/11/30)」参照)。
寿楽会については、その利用目的が「カラオケなど」(火・金9~15時、洋室)、「麻雀」(水9~16時、洋室)、「総会、創立記念、新年会」(9~14時、ホールA)となっていて、単なる同好会に過ぎず、「住民の福祉あるいは専ら公益のため」の利用には該当しません。無料条件以外の使用もあるようで、2023年度会館利用状況によると、寿楽会は無料利用292回、有料利用10回となっています。無料利用回数で2位の山の手連合町内会ですら、無料利用122回、有料利用31回ですから、寿楽会が群を抜いて優遇されていることがわかります。この優遇が何を根拠にしているのかは不明です。【Q5】の回答で述べたように、会館建設に多大な貢献をしている単位町内会が、その総会すら希望通りに開催できない現状を考えると、釈然としないものがあります。まして、寿楽会規約によれば、山の手会館運営委員会委員長(=会館管理人責任者、山の手連合町内会会長)が寿楽会顧問に収まっていることは、会館運営の信頼性を大きく損なっていると言わざるを得ません。
使用規則第8条には、「使用者が会館使用に当たって、特殊物品の搬入、又は特別の設備をしようと※するときは、あらかじめ委員会の承認を受けなければならない」とありますが、寿楽会が年間使用している洋室には、麻雀台、麻雀牌等、カラオケセットやそれらを収納するために持ち込まれた私物の家具等が無造作に置かれており、収納家具には南京錠がかけられています。また、防音壁の仕様を満たさない山の手会館において、日中(火・金9~15時)カラオケを使用することで、他室の利用者に迷惑をかけていることは、2024年度山の手会館定期総会でも報告されています。使用規則第8条によれば、寿楽会によるこうした目に余る会館の「私物化」を運営委員会は承認していることになります。
※「設置しようと」もしくは「使用」なのか曖昧で、日本語として意味不明
■追記(2024/11/30)
本日回覧依頼のあった山の手会館だよりNo. 112によると、全日本年金者組合札幌西支部の代表者は、山の手会館運営委員会委員長(=会館管理人責任者、山の手連合町内会会長)と同一人物であることが判明しました。【Q13】で示した福まち推進センターと山の手連合町内会との関係と同様に、ここでも「利益相反」の問題が生じています。認可地縁団体の場合、地方自治法第260条の10により、「認可地縁団体と代表者との利益が相反する事項については、代表者は、代表権を有しない。この場合においては、裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、特別代理人を選任しなければならない」と定められています。山の手連合町内会は、【Q10】で示したように、その構成員が個人ではないため、制度上、法人化は認められません。とはいえ、法人格を持たないことを理由に、何でも許される訳ではありません。山の手連合町内会には、コンプライアンスの徹底と遵守を強く求めます。
■会館利用規約の制定および利用の手引き作成の必要性
2024年度山の手会館定期総会資料集に掲載されている第27回管理人会議(2024年1月24日開催)議事録によると、「気が付いた業務上の改善点」の筆頭に、「新規利用団体、古くからの利用団体も含め「利用の手引き」を作成する。」が挙げられています。その理由として、「利用団体の中に、勝手に解釈している人たちがいる。現在利用している団体も含め、統一した解釈が必要だと思います。」と書かれています。
これは現行の使用規則の「解釈」の問題ではなく、使用規則そのものに不備があるからです。前述の不備な箇所以外にも、使用の停止または承認の取消しの条件に関する使用規則第9条は、ほとんど機能していません。「勝手な解釈をする人たち」を排除しようにも、第9条1号の承認条件はどこにも規定されていませんし、第9条2号は第7条2項を指していると思われますが、抽象的な第7条2項3号を除いては極端な例しか挙げられていません。横浜市の町内会館利用規約モデル第8条にある「騒音、その他近隣に迷惑をかける恐れのあるとき」というような具体的な条件が定められていないので、この理由での承認の取消しはできません。第9条3号も具体性がありません。これは、利用に関して、利用目的、利用者の範囲および義務等が使用規則の中に明示されていないことに起因します。
「使用」と「利用」は似ていますが微妙に違う概念です。「使用」はモノを使うことですが、「利用」はモノの機能・性能を十分に生かして役立つようにうまく使うこと、または使って役に立たせることを意味します。この「利用」の視点が、現行の使用規則には欠けています。
山の手会館運営委員会には、【Q6】の回答で示した会館建設当時の初心に立ち返り、以下の事項の早急な実施を要望します。
山の手会館運営委員会規約の改正
「山の手会館利用規約」の新規制定、および山の手会館使用規則の廃止
新利用規約に基づいた会員向けのリーフレット「利用の手引き」の作成
【回答】 制度設計に欠陥があり無理です。その理由を述べるために、まず、札幌市の「生活道路の排雪支援制度」の状況を、次の参考文献に基づいて要約しておきます。
山本千雅子(北海道大学)、原 文宏 (北海道開発技術センター)、佐藤馨一(北海道大学)著「行政と市民のパートナーシップ による生活道路の除排雪」
■生活道路の排雪支援制度
札幌市では「生活道路の排雪支援制度」として2つの制度:
市民助成トラック制度
パートナーシップ排雪制度
を設けています。1969年から実施している市民助成トラック制度では、市がドライバー付きで市民団体(主に町内会)にトラックを貸し出し、町内会のメンバーが自らトラックに雪を積み込むか業者を雇って雪の積み込みを依頼します。また、市が業者と契約して輸送料金を負担しています。しかし、
1)町内会メンバーの高齢化がすすみ、年々道路からトラックに雪を積み込む作業が困難になり、多くの町内会が業者に雪の積み込みを委託しているが、委託料が年々増加し負担が厳しい
2)町内会メンバーによる雪の積み込み作業中に、事故が発生したりケガ人が出た場合の管理責任があいまい
などの理由で、市民助成トラック制度を利用する市民団体(町内会等)の数は減少してきました。
これらの課題を解決すべく、1990年にパートナーシップ排雪制度が試験導入され、1992年から本格運用が開始されました。パートナーシップ排雪制度では、地域住民、市、受託業者が、それぞれの役割を分担しながら連携し、生活道路の排雪を実施することにより、快適な冬期生活環境を創出することを目的としています。具体的には、地域住民が責任を持つ範囲は
① 地域に居住する住民と同制度を利用するという合意を形成(通常は町内会単位)
② 掛かる排雪費用の半分を負担
市の役割は
① 町内会の同制度利用申し込みの受け付けと委託業者などとの連絡調整、費用の積算とスケジュール調整
② 警察などの関係機関等への連絡調整
③ 費用負担(総経費から住民負担分を引いた残金全額;全体の約7割)
であり、委託業者は実際の排雪作業を全面的に行います。
しかし、
1)地域住民が負担する費用(地域負担額)が、2012年度に1km当たり40万円を超え、2021年度以降は1km当たり51万6,400円となって、町内会等の負担が増大
2)町内会等は加入が義務ではない任意団体のため、町内会非加入者の分まで、町内会加入者が排雪費用を負担
などの問題が、物価高騰、地域住民の高齢化および町内会加入率低下に伴い顕在化してきています。尚、北郷東町内会を含む一部の町内会では、町内会非加入者から応分の負担金を徴収していますが、町内会非加入者のゴミステーション利用禁止問題と同様に、この徴収には法律的に問題があると思われます。
■課題の解決に向けて
清田中央、清田、里塚・美しが丘の地区町内会連合会の会長3名は、2018年2月13日に札幌市議会および秋元札幌市長に対して、地域支払額負担軽減と町内会加入者・非加入者間の不公平解消を要望しています。また、札幌市議会自由民主党議員会は、2022年7月4日に秋元札幌市長に対して「今後の除排雪事業に関する要望について」という要望文書を提出しています。しかし、札幌市の対応は、「生活道路排雪の在り方検討(令和5年度~)」において、「生活道路の排雪には多くの人員や除雪機械が必要であり、将来的に除雪従事者が減少した場合には、このまま制度を継続することが難しくなる可能性があります。」と述べているように、制度設計を変更する考えはなく、町内会の要望とは大きく論点がずれています。これには、国土交通省の地域性を考慮していない方針が大きく影響していると思われます。また、制度設計上の問題に加え、各区土木部、清掃事務所、受託業者の間の連携が不十分で、運用開始から30年以上が経過しているのにICT化されておらず、日程変更等に関するパートナー間の情報共有がなされていない等の運用上の課題も残されています。
■当町内会の現状
第29町内会の現状も同様です。当町内会と他町内会との境界道路4本のうち、東端(山の手3条通り)、南端(北一条・宮の沢通り)、北端の3本は幅員10mを超えているため、地域負担額の支払いはありません(とはいえ、市の負担額の原資は税金です)。また、西端は第21町内会との境界にあたり、同町内会と地域負担額を折半しています。第29町内会の中央を貫通する琴似・栄町通りも、幅員10mを超えているため、地域負担額の支払いはありません。それら以外の幅員10m未満の7本の道路については地域負担額が発生します。西区土木センターから送付された資料によると、当町内会の対象道路総延長距離は、0.75112kmであり、2023年度の地域負担額(消費税等相当額含)は38万7,816円になります(2024年1月12日決定)。一方、当町内会排雪事業特別会計収入額(予定)は36万2,400円(=200円/月・世帯×12カ月×151世帯)のため、2023年度は25,416円の赤字です。特別会計はこれで3年連続の赤字となるため、2024年度以降は会費の見直しを考えざるを得ません。札幌市内各単位町内会の地域負担額は公開されていません。当町内会は幹線道路の比率が高いため、これでも金額としてはまだ軽い方だと思われますが、世帯数が少ないため町内会年間予算の50%を超えています。清田区と近郊地域の情報交流サイトの記事(2018年3月2日)より引用すると、「除雪パートナーシップの地域支払額(町内会負担)は1町内会当たり平均で120万円、町内会年間予算の37%も占めていることが分かりました。中には、町内会予算の59%を占める町内会もありました。」2023年度であれば、地域支払額は6年前より約20%増加しているはずです。
■制度見直しの必要性
札幌市は、2021年度以降凍結中の排雪単価の値上げについて改定を毎年ほのめかしていますので、いずれ町内会活動を圧迫することは目に見えています。住みよいまちづくりに向けて抜本的な制度と負担の見直しが急務で、現状のままではパートナーシップ排雪制度は持続不可能で、近い将来必ず破綻します。
■追記(2024/11/20)
■追記(2024/12/09)
札幌市からパートナーシップ排雪制度等について【重要】が、会長宛に送付されました。「パートナーシップ排雪制度等の「廃止」は決定事項ではございません」、「来年度(2025年度)の冬も引き続き本制度を継続しながら検討を進める予定です」(下線原文のまま)とあり、報道よりもかなり後退した印象です。
■追記(2025/01/22)
生活道路の除排雪作業の試験施工について(札幌市建設局雪対策室,2025/01/17)
※ パートナーシップ排雪制度等の廃止は決定事項ではございませんのでご留意ください
※ 来年度(令和7年度)の制度利用には申込が必要となります
■関連情報
札幌市の排雪費をいくら払っていますか?〔2016/12/31〕
除雪パートナーシップの重い町内会負担 〔2018/02/10〕
札幌市の町内会主導によるパートナーシップ排雪はそろそろ限界かもしれない 〔2019/02/16〕
札幌の雪対策予算220億円で過去最大、町内会の負担増や高齢化の影響も 〔2021/02/26〕
大雪でなかなか来ない〝パートナーシップ排雪〟〔2022/03/07〕
"生活道路の排雪"は大丈夫? 〔2023/01/11〕
<争点の現場から 札幌市長選2023> 除排雪 町内会、負担増すばかり 〔2023/03/01〕
札幌市長選 争点の1つ「冬の除排雪問題」 〔2023/03/28〕
今シーズン“過去最大予算”で臨む札幌市の除排雪 〔2023/11/06〕
【回答】必ずしもそうとは言えません。単位町内会の再編統合には、個別事情に起因する障害が数多く指摘されています。拙速な再編統合は、かえって町内会活動を阻害する要因になる可能性もあります。再編統合の問題点について、直近の単位町内会会長懇話会(第27回:2023年7月16日開催、第28回:2024年2月11日開催)の資料に基づいて考察します。
■アンケート集計結果
2019年5月31日に山の手連合町内会総務部によってまとめられた「山の手単位町内会再編統合」アンケート集計結果によると、調査対象である40町内会(当時)の再編統合に関する意向分布は、
基本的に賛成・推進すべき 16
条件付き賛成 7
難しい・反対 13
検討していない 1
無回答(未回答を含む) 3
でした※。「賛成」の理由は、ほぼ「高齢化に伴う役員確保の困難さを解消し、今後の町内会活動を維持するため」と言えます。一方、「難しい・反対」の理由は非常に様々ですが、共通するのは統合相手との相違点(規模、会費、区域の接続状況、世帯・年齢構成等)への懸念であると集約できるでしょう。
※集計結果の詳細は第28回単位町内会会長懇話会資料に掲載されています。このアンケート調査からすでに5年が経過しているため、高齢化の進展に伴い、現在の意向分布は多少変化している可能性は否定できません。
■山の手連合町内会の方針
第27回単位町内会会長懇話会資料2では、山の手連合町内会としては、「一般的な町内会活動を展開するなら、200世帯前後が必要」であり、「当面、100世帯以下、マンション単独の解消」を目指すと述べています。同資料では、100世帯未満の町内会は全部で13あり、うち7つの町内会はマンション単独となっています。第28回単位町内会会長懇話会では、以前から予定されていた(いずれもマンション単独ではない)第25町内会と第33町内会の統合が報告され、2019年当時の資料が再配布されました。しかし、具体的な再編案については提示されませんでした。
山の手連合町内会が目指す「200世帯前後」は、全国的あるいは札幌市内の他の地区と比較しても単位町内会の規模としては比較的小規模で、「300~400世帯」もあり得るかもしれません。しかし、市内他地区と山の手地区の戸建て住宅の敷地面積や集合住宅の割合の違いを考えると、「200世帯前後」の規模を当面の目標として設定することに大きな問題はないかと考えられます。
■今後の進め方
再編統合の目的が何かを明確にすることが重要と思われます。行政の立場からは、役員のなり手不足によって下部組織としての町内会が弱体化することは避けたい事態ですので、条例を制定したりして支えようとするでしょう。再編統合は、そのための手段として利用される可能性があるので注意する必要があります。そういった外部の思惑とは無関係に、本来の「高齢化に伴う役員確保の困難さを解消し、今後の町内会活動を維持するため」が目的であるならば、再編統合と同時に町内会加入率の向上策も同時に考える必要があります。全国的な加入率低下の状況を踏まえると、何の施策もなしに再編統合を進めても、単なる時間稼ぎに終わる可能性があるからです。規模(面積)が拡大して加入率が低下すれば、円滑な町内会活動は困難となり、一層の加入率低下をもたらすものと予想されます。
アンケート集計結果から見えてくるのは、「似たもの同志」の方が統合しやすいのではないかということです。確かに会員の方々の合意は得やすいと思われますが、年齢構成の多様性が担保されないと、高齢化リスクに対する脆弱性は残ったままです。統合再編の目的である「高齢化に伴う役員確保の困難さを解消」するためには、年齢構成に関しては「似たもの同志」ではない方が望ましいと考えられます。この意味で、最初に進めるべきは、戸建て住宅からなる町内会とその内部に孤立したマンション単独町内会との統合だと考えられます。具体的な候補としては、第27回単位町内会会長懇話会資料2より
第13, 14, 45町内会
第16, 34町内会
第4, 36, 38町内会
第10, 37町内会
第31, 43町内会
の5つが挙げられます。ただし、第10町内会と第31町内会については、両方とも300世帯を超えているため、最後の2つの組合せに関しては、統合のメリットはあまりないように思われます。マンション単独町内会は、その管理組合の存在から非常に独立性が高く、その周囲の町内会との統合の必要性を感じておられないかもしれません。統合後の新町内会における単独の班として独立性を残し、従来より役員負担を軽減できるメリットを、マンション単独町内会側がどの程度評価できるかに関わってきます。
■再編統合よりも前にやるべきこと
町内会活動の維持を目的とした無理な再編統合は禁物です。札幌市において
ゴミの戸別収集(ゴミステーションの廃止)
排雪事業における地域負担額の廃止(税金による負担の平等化)
住民組織助成金の増額(他の政令指定都市と同水準に増額)
町内会役員に対する住民税税額控除(tax-deductible from residence taxes)
各種外部団体への委員推薦廃止(公募化)
等が実現されれば、町内会活動の運営は劇的に改善されます。また、業務軽減のために
回覧板アプリの導入(回覧板の廃止)
会費徴収方法の簡素化(口座振替等の促進)
等に対しても、導入費用の負担を含む行政からの積極的な支援が必要です。「今後の町内会活動を維持するため」には、拙速に再編統合を図るよりは、町内会としてこうした施策の実現を札幌市役所および札幌市議会に働きかけていく方が重要と考えます。
■関連情報
町会合併の進め方(2023/12/15,函館市町会連合会)
家庭ごみ収集方法等に関するあり方について(2012年2月,札幌市 家庭ごみ収集方法等に関するあり方検討委員会報告書)
【回答】町内会館等の不動産や自動車を保有する単位町内会については、メリットはあると考えられます。しかし、それらを保有しない単位町内会についてはメリットはほとんどなく、後述するデメリットしかありません※。
※町内会の法人化に関連する地方自治法は、近年頻繁に改正が行われているため、この結論は今後変わる可能性があります。
■認可地縁団体とは
町内会・自治会は「地縁による団体」(以下「地縁団体」という)とよばれ、地方自治法第260条の2第1項によれば「町又は字の区域その他市町村内の一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体」と規定されています。また、これまで地縁団体は「権利能力なき社団」とされ、その保有する不動産(建物・土地・山林・墓地等)については、個人名義や共有名義で登記が行われ、地縁団体の名義で不動産登記ができませんでした。このため、名義人の転居・死亡等の変更が生じた際に、名義変更や相続を巡る様々なトラブルの原因となっていました。このようなトラブルに対処するため、1991年(平成3年)4月に地方自治法の一部が改正され、一定の条件を満たし届出を行った地縁団体は、市町村長から法人格の認可を受けることができるようになりました。その結果、不動産等の財産を、地縁団体名義で不動産登記できるようになりました。こうした認可により法人格を有した地縁団体のことを「認可地縁団体」とよびます。
しかし、地縁団体の法人格認可制度が導入されても、地縁団体が保有している不動産については、その目的である認可地縁団体名義への所有権移転登記は、現行の不動産登記法上、権利状態の確認後でなければ達成できません。共有名義人の一部が死亡している場合、全ての相続人の確定や承諾を得ることが難しく、名義変更を断念せざるを得ない事例が報告されていました。このため、2015年(平成27年)4月より、地方自治法が一部改正され、一定の要件を満たすものについては、認可地縁団体からの申請により、市町村長の公告手続きを経て、相続人全員の関与に代えて市町村長の証明書を以て登記申請できる特例制度が創設されました(地方自治法第260条の38)。
■認可取得要件
地縁団体が認可を取得するためには、以下の要件をみたす必要があります。
その区域の住民相互の連絡、環境の整備、集会施設の維持管理など、良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動を現に行なっていると認められること(地方自治法第260条の2第2項第1号)
その区域が、住民にとって客観的に明らかなものとして定められていること(同第2号)
その区域に住所を有する全ての個人が構成員になることができるものとし、その相当数の者が現に構成員になっていること(同第3号)
規約を定めていること(同第4号)
この規約の中には、下記の項目について定められていることが必要です。
目的
名称
区域
主たる事務所の所在地
構成員の資格に関する事項
代表者に関する事項
会議に関する事項
資産に関する事項
■認可範囲の拡大
2021年(令和3年)5月の地方自治法の一部改正により、不動産の保有の有無にかかわらず認可を受けることができるように変更されました(2021年11月26日施行)。しかし、1991年(平成3年)および2015年(平成27年)の一部改正の趣旨からは大きく外れています。認可地縁団体制度の改正に係る質疑応答において、認可の目的を「不動産又は不動産に関する権利等を保有するため」から「地域的な共同活動を円滑に行うため」という表現に改めた理由を、地縁団体の法人格認可の目的を不動産以外に
①継続した活動基盤の確立
②法人が契約主体となることによる事業活動の充実化
③法律上の責任の所在の明確化
④個人財産と法人財産との混同防止
⑤対外的な信用の獲得
等を挙げて説明していますが、取って付けた感があり説得力に欠けます。また、③によって、認可地縁団体代表者である会長の責任がさらに重くなるでしょう。もはや、無償ボランティアの枠組みを超えているように思えます。認可地縁団体の会長については、民生委員(非常勤特別職地方公務員)や行政区の区長※に準じた扱いが必要なのではないでしょうか?
※行政区の区長も、2019年(令和元年)度までは非常勤特別職の地方公務員でしたが、地方公務員法の一部改正によって、2020年(令和2年)4月以降は私人(有償ボランティア)となっています。公務員業務の外注化が急速に進んでいるようです。
認可範囲拡大の意図は、同時期に総務省で審議されている「ポストコロナの経済社会を踏まえた地方公共団体相互間の連携・協力のあり方」や「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律(令和3年法律第37号)」等に関連しているのではないかと考えています。地方自治法第260条の2第1項では、「市町村長の認可を受けたときは、その規約に定める目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う」とされているため、不動産等を保有しない地縁団体にとっては、法人化しても有効な権利がないのに義務だけを負わされている感があります。
■法人化のメリット
法人化のメリットとして、具体的で分かり易いものとしては、団体名義での
不動産または不動産に関する権利等の保有:
不動産登記法による土地、建物の所有権、地上権、永小作権、地役権、先取特権、質権、抵当権、賃借権、採石権
立木に関する法律による立木の所有権、抵当権
自動車の取得
集会所等の建物にかかる火災保険の契約
保有車両に関する自動車保険の契約
印鑑登録
等があります。また、具体的ではありませんが、他にも
意思決定や行動が法的なルールに基づいて行われる。
寄附や公的援助が受けやすくなる。
社会的信用が高まる。
がメリットとして挙げられることがあります。
■法人化のデメリット
法人化によって、次のようなデメリットを生じます。
① 規約に定める範囲内で義務を負う
② 町内会活動は,従前と変わらない
③ 営利を目的としている場合,固定資産税,法人税が課税される
④ 規約に定められた区域外に居住している者は正会員になれない
⑤ 法人設立届が必要
⑥ 代表者,事務所等に変更があった場合は届出が必要
⑦ 規約の変更には市町村長の認可が必要
⑧ 不動産登記手数料等が必要
これらのうち、①⑤⑥⑦は従前より手続きが煩雑になること、④は会員の構成に関する新たな制約が課せられること、③⑧については金銭的な負担が増えること、にもかかわらず②は町内会活動自体は特に変わらないことを意味しています。①は義務の範囲が制限的に書かれていますが、実際には、地方自治法の規定等により、次の義務が課せられます※。
民事上の取引等に伴う法人としての一般的義務
区域内の住民に対する不当な加入拒否の禁止(地方自治法第260条の2第7項)
構成員に対する不当な差別的取扱の禁止(地方自治法第260条の2第8項)
特定政党の利用制限(地方自治法第260条の2第9項)
損害賠償責任(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第78条)
代表者の権限の制限(地方自治法第260条の6、地方自治法第260条の10)
※地縁による団体の認可(自治会町内会の法人化)の手続き(横浜市)のご案内・注意事項(PDF/272KB)より引用
不動産等を保有していない単位町内会の場合、法人化するインセンティブが希薄であり、収益事業を行っていなければ法人化によるデメリット③および⑧は無関係とはいえ、その他は確実にデメリットとなります。法人化しても手続きが煩雑となり、②に反して従前にはなかった制約や作業時間が増えるだけで、「地域的な共同活動を円滑に行うため」とは逆行しているように思えます。他にも
⑨ 認可地縁団体の構成員は個人を単位とする
もデメリットになります。世帯を構成単位としている地縁団体は認可の対象外です。認可を得るためには、⑨だけではなく会費、定足数、議決要件等の世帯を単位として定められた規約・会則は大幅な変更を迫られることになります。また、法人は地域社会にとっては第二次的な参加者にすぎないと考えられることから、法人も構成員とはなり得ません。
自治会・町内会等の活性化やデジタル化の一環として行われた地方自治法の改正(令和4年8月20日施行)により新設された規定:
⑩第260条の19の2第1項および第2項
第1項「総会において決議をすべき場合において、構成員全員の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議をすることができる。」
第2項「総会において決議すべきものとされた事項については、構成員全員の書面又は電磁的方法による合意があつたときは、書面又は電磁的方法による決議があつたものとみなす。」
も、実現可能性の観点(後述)から、デメリットと考えられます。上記第1項および第2項の違いについては、認可地縁団体制度の改正に係る質疑応答(横浜市)に詳しい解説があり、引用すると
「第260条の19の2第1項の場合には計2回構成員の意思を確認する必要があるのに対して、同条第2項の場合は1回の意思の確認で足りるという違いがありますが、その代わりとして、同条第1項の場合は、通常の決議要件が適用されるため必ずしも全員の賛成がなくとも可決することができるのに対して、同条第2項の場合は全員の賛成がなければ可決することができないという違いがあります。」
このことに起因して、本脇地区自治会(和歌山県和歌山市)では総会決議等無効等確認請求の訴訟が住民によって起こされ、一審では自治会が敗訴し、現在控訴中です(大阪高等裁判所,令和6年(ネ)第644号)。
■山の手地区の状況
山の手連合町内会は、山の手地区にある39の単位町内会を構成員としているため、個人を構成員とする認可地縁団体にはなり得ません。したがって、法人化の対象は山の手地区にある単位町内会のみとなります。当町内会も含めてほとんどの単位町内会は不動産を保有していませんが、要件を備えていれば、制度上は札幌市長に認可申請を行うことで法人化は可能です。
山の手第29町内会では、会則第6条1項において「世帯または法人を単位とする会員で構成される」と規定しており、⑨に抵触します。構成員を個人(乳幼児を含む)に変更することで、従来、世帯を単位として定められてきた会費、定足数、議決要件等の扱いが複雑になることは、制度面でも運用面でも無意味だと考えています。また、会則第25条2項および3項に定める総会の議決要件が⑩に抵触するため、これらの規定を変更しない限り、法人化は不可能です。⑩についてはデジタル化に前のめりになり過ぎているきらいがあり、書面または電磁的方法によって総会を開催しなければならない状況(会則22条4項では、自然災害、感染症蔓延等を想定)を踏まえると、その状況下で「構成員全員」の承諾あるいは合意を得ることが現実的に可能かどうか疑問があります。構成員の1人でも欠ければ「書面又は電磁的方法による」総会は、まさに絵に描いた餅に過ぎません。
当町内会において「地域的な共同活動を円滑に行うため」にはこれらの規定は必要不可欠ですし、その他のデメリットも被りたくないので、現状では法人化する必要はないと考えています。
■関連情報
第85回行政苦情救済推進会議 議事概要(平成24年3月15日,総務省)
同会議 資料(平成24年3月15日,総務省)
地域コミュニティの現状及び本研究会について(令和3年7月12日,総務省自治行政局市町村課)
地縁による団体の認可事務の状況等に関する調査結果(令和6年3月,総務省自治行政局市町村課)
新・認可地縁団体の事務の手引き(2014/09/06~2014/10/10)
認可地縁団体に関するQ&A(令和6年1月,松本市住民自治局地域づくり課)
認可地縁団体ハンドブック(令和6年4月1日 改訂,鳥取市市民生活部協働推進課)
【回答】募金や寄附は個人の自由意思に基づいて行われるべきものであり、会員全員の意思を確認することなしに町内会費から一括して支払うことは強制徴収となります。これは募金・寄附本来の趣旨に反し、司法の場でも、赤い羽根共同募金などを自治会費に上乗せして強制的に徴収するとした自治会の決議は、思想信条の自由(憲法第19条)を侵害し、公序良俗(民法第90条)に反し無効であるとの判決が確定しています(2007年8月24日大阪高等裁判所判決,平成18年(ネ)第3446号;2008年4月3日最高裁判所上告棄却により判決確定)。神社等の宗教法人への寄附に関しても、同様の判例があります(2002年4月12日佐賀地方裁判所判決,平成11年(ワ)第392号)。また、募金・寄附の強制は、日本赤十字社法第13条1項、社会福祉法第116条、緑の募金による森林整備等の推進に関する法律第16条、地方財政法第4条の5等の法令に抵触すると指摘されています。町内会として法令遵守は当然のことであり、法令・判例に反する行動によって役員会が会員から訴えられるリスクを回避するためにも、会員全員の同意が得られない限り、町内会費から募金を支払うことはできません。
■当町内会の対応
「福祉」と「福利」は、ともに元々「幸せ」を意味する言葉です。「福利」は人々の生活環境における幸福と利益を指し、地域住民の「福利」の増進は当町内会の設立目的でもあります。一方、「福祉」は人々が幸福に暮らせる生活環境、特にそのための社会的な制度や施設を指し、税を原資として行政が行うべきサービスを表しています。当町内会の会則に「福祉」という言葉が一切現れないのは、「福祉」と「福利」を明確に区別しているからです。一般に、町内会会則の事業に関する条文の中で、「福祉事業」という言葉は、実際には募金・寄附金集金業務への協力という意味で使われていることが大半です。当町内会は、自治体や特定の外部団体との間で福祉サービスに関する業務委託契約を結んでいる訳ではないので、これらの外部団体から募金・寄附金集金業務への協力依頼を受ける立場にありません。募金や寄附は、個人がその自由意思に基づいて行う行為であり、本来、町内会活動とは無関係です。
募金の集金方法が、個人情報保護法に抵触するトラブルを生じかねない、現金を手渡しで集めるやり方では、募金の意思があっても躊躇する会員も多いことでしょう。封筒を利用した匿名の集金方法では、税制上の優遇措置が適用されません。個人情報を他の会員に晒すことなく、本人の自由意思に基づいて、クレジットカード、コンビニエンスストア、郵便局等を利用する様々な寄附方法、例えば
日本赤十字社|寄付する
赤い羽根共同募金|いろいろな寄付の方法
緑の募金|募金する
もあるのに、なぜ町内会を窓口にした前時代的な集金方法に拘泥するのか、理解に苦しみます。
さらに、前述の判例では、会員全員の同意が得られれば、会員からお預かりしている会費から一括して募金・寄附金への支出が可能になる※との解釈がなされていますが、総会における議決だけでは不十分で、総会欠席者の同意も必要になります。この会員「全員」の同意を得るという条件は、当町内会の規模でも現実的に達成不可能です。最近は、共同募金事業の実施主体である共同募金会と密接な関係にある社会福祉協議会の職員による着服・横領等の不正や、集まった募金の使途に関する様々な批判により、町内会の規模に関わらず、全員の同意を得ることは著しく困難になっています。
※認可地縁団体の場合は、たとえ会員全員の同意を得たとしても、地方自治法第260条2の9の規定により、特定の政党への寄附は禁止されています。
以上より、当町内会では、旧会則第14条3項および2025年度制定・施行の会則第36条2項および3項において、法令および判例に則り、当町内会が構成員である山の手連合町内会が主催する事業への協賛金等を除いて、一般的な寄付金・募金等へ町内会の資産を支出することができない、会員への戸別集金活動も行うことができない、と規定しています。
■追記(2024/10/16)
赤い羽根共同募金への協力依頼文書が、共同募金会山の手分会の会長名で、当町内会長宛に10月16日に届きました。(旧)会則に従い、協力を辞退する旨を文書で回答いたしました。
共同募金運動へのご協力について(ご依頼)(令和6年10月15日付)
共同募金事業における集金・配布の辞退について(2024年10月16日付)
■1つの解決策
ネット上で散見される町内会費からの募金一括支払問題に対する住民のクレームと自治体の対応(下記関連情報参照)を見る限り、自治体から町内会あるいは集金依頼団体への指導を期待しても無駄です。町内会は、自治体の一般的な監督権限下に置かれてはいないため、最終的には町内会の「自主的かつ自律的」な判断に任されています。また、募金・寄附金の集金依頼団体は、たとえその事務所が自治体の庁舎の中にあって、その代表者が自治体の長と同一人物であったとしても、形式的には自治体外部の民間組織に過ぎません。自治体へのクレームでは、この問題は解決しません。
町内会費からの募金一括支払問題は、募金という「個人」の意思決定に、町内会という「組織」が関与することから生じています。このため、この問題の根本的な解決策は、組織が個人の意思決定に関与しないことです。前例踏襲、一部の役員の個人的価値観、同調圧力等によってもたらされた違法状態を解消し、町内会の健全な運営を目指すのであれば、民主的なプロセスを経て会則を改正し、会費の使途に制限を設けることが、1つのそしてたぶん最善の解決策です。
■関連情報
「法教育の視点から ルールづくり」(法務省)
「募金 任意で集めるべき」行田の自治会住民、予算から支出に反対し退会 各地で問題化(2023/12/2,東京新聞)
赤い羽根共同募金 不明金20万5000円発生 領収書の控えも行方不明(2023/6/23,TBS)
募金20万円余を着服疑い 田舎館村社福協元職員を書類送検(2023/12/11,NHK)
小山町社会福祉協議会元職員338万円余着服疑いで告訴状提出(2024/4/16,NHK)
“共同募金の口座から着服”として宮古市社協職員を懲戒解雇(2025/2/28,NHK)
赤い羽根共同募金の配分先にクルド人支援のための活動拠点立ち上げ事業が含まれていることに関する質問主意書(2023/11/15,参議院)HTML,PDF
自治会からの募金集めについて(沖縄県浦添市)
消防団後援会費について(鹿児島県鹿屋市)
赤い羽根共同募金(長崎県長崎市)
町内会費からの募金について(佐賀県三養基郡基山町)
区費と募金について(佐賀県三養基郡みやき町)
地方公務員が一団体のために募金活動をすることは正しいと思うか(鳥取県鳥取市)
一括して共同募金を拠出している自治会、町内会の調査について(鳥取県鳥取市)
強制募金をしている自治会・町内会の確認調査について(鳥取県鳥取市)
日赤共同募金の行政指導について(鳥取県鳥取市)
地方自治法に違反し議案を可決した自治会の行政指導について(鳥取県鳥取市)
赤い羽根共同募金について、自治会長宛に目標額を半強制的に集められるのは問題ではないか(奈良県磯城郡田原本町)
強制募金について(三重県伊勢市)
令和3年度あなたの声まとめ(三重県桑名市)
町内会の寄付金について(愛知県安城市)
日赤の活動資金募集は強制ですか?(愛知県刈谷市)
地区の方が寄付金のお願いに来たのですが(愛知県知多郡東浦町)
募金活動でのクラウドフアンデングの活用(岐阜県加茂郡八百津町)
自治会費等の集め方について(新潟県三条市)
町内会で募金や寄付を集めることについて(新潟県長岡市)
町内で集める任意募金(新潟県長岡市)
消防団の住民からの協力金について(長野県)
「赤い羽根共同募金」について(静岡県伊東市)
緑の募金などの募金について(青森県上北郡おいらせ町)
町内会から神社への寄付について調整してください(北海道河西郡芽室町,2022/6/30)
町内会から神社への寄付問題に関する要望(北海道河西郡芽室町,2022/7/11)
町内会から神社への寄付について(北海道河西郡芽室町,2022/7/26)
官と民の狭間で揺れ続けた共同募金 -自発の衣をまとった「税」?-(2023年第46回法政大学懸賞論文優秀賞)
町会費と募金の一括徴収はおかしい(2022/6/1,アゴラ)
赤い羽根だけじゃない! 募金の強制徴収はやめるべき(2023/1/14,アゴラ)
赤い羽根と緑の羽根と~募金の向こう側で(2024/6/7,ちきゅう座)
募金に自治会費流用、あり? 世帯の負担額定め、まとめて納入「戸別に集金は大変」の声も(2021/12/27,声のチカラ)
赤い羽根募金「強制」やめました -小布施町自治会の試み-(2022/12/19,声のチカラ)
ついにやってきました! 日赤募金の協力依頼書面(2022/11/17,町内会 顛末記 7)
日赤募金の協力について(2022/11/21,町内会 顛末記 8)
【調査資料】赤い羽根共同募金の強制徴収によりトラブルに発展した事例(2023/10/14,村上ゆかりブログ)
諸事雑感 ー 町内会の募金集め(2024/7/12,浅川紀明の部屋)
赤い羽根共同募金の行方(1),(2),(3)(2009/12,内野光子のブログ)
【回答】デジタルデバイドのために、広報の電子回覧板への一元化は容易ではなく、導入したとしても当面は現行の回覧板との併用を考えざるを得ません。試験運用中の当町内会の電子回覧板をモデルとして試案を示します。
■回覧板ICT化の背景
回覧板の歴史は意外に新しく、第二次世界大戦下、大政翼賛会の末端組織となっていた町内会の下部組織「隣組」(現在の「班」あるいは「組」に相当)の連絡手段として普及し、今日に至っています。『自治会・町内会の高齢者支援に関する報告書』(あしたの日本を創る協会 編、2000年)によると、報告書刊行当時の町内会・自治会の80%以上が、回覧板による連絡形態をとっているとの調査結果があります(Wikipediaより編集して引用)。
男性雇用者と無業の妻から構成される世帯が標準的であった時代には比較的うまく機能していた回覧板ですが、バブル崩壊後の平均年収の減少の影響や女性の社会進出により、家族のあり方が多様化してきました。1980年の国勢調査によると、我が国における専業主婦世帯(1,114万世帯)は共働き世帯(614万世帯)の2倍弱でしたが、2022年の国民生活基礎調査によると、専業主婦世帯(569万世帯)は共働き世帯(1,262万世帯)の半分にも満たない状態に逆転しています。現在では、夫婦のいる世帯全体の約7割にまで達しています。このことは、日中不在である家庭の割合が増加していることを意味し、回覧板の連絡遅延に大きな影響を及ぼしています。
また、新型コロナウイルス感染症は飛沫や接触による感染拡大が主たる原因であるとされていることから、不特定多数が接触する回覧板を介しての感染症リスクも無視できません。実際、2020年~2022年にかけて、多くの自治体では、町内会・自治会における回覧板の回覧について極力控えるようにとの注意喚起を行い、回覧板を廻す場合でも、対面による直接的な手渡しは極力避け、ポストへの投函や玄関に置く、ドアノブに掛けるなどの間接的な受け渡しの方法を推奨していました。このことも連絡遅延の原因になっています。
こうした背景から、町内会・自治会における従来の回覧板による広報は、将来的には、接触を伴わず即時性をもつ情報通信技術(ICT)を活用した新たな方式に変更する必要があると考えられます。ICT化された回覧板を以下では「電子回覧板」とよぶことにします。しかし、電子回覧板の導入は必ずしも容易ではなく、現行の回覧板を当面は維持せざるを得ない状況です。
■デジタルデバイド
町内会・自治会の人的・財政的資源は限られています。このため、複数の広報方式を併用することは難しいでしょう。限られた資源を有効に利用するためには、広報方式を一元化することが望ましいと考えられます。しかし、会員間の情報格差(デジタルデバイド;digital divide)の存在は、ICTを活用した広報方式の一元化には大きな障害となります。デジタルデバイドとは、インターネットなどのICTを使える人と使えない人との間に生じる「分断」を表す言葉です。情報格差が生じる原因は貧困や地域性など様々ですが、日本の町内会・自治会の問題に限れば、共通する最大の原因は会員の高齢化であると考えられます。
スマートフォンやタブレットなどの情報端末の普及に伴い、総務省の令和2年度通信利用動向調査によると、60~69歳に限定すればインターネット利用率は82.7%まで向上しています。一方、70~79歳は59.6%、80歳以上は25.6%と利用率は下がる傾向にあります。当町内会は約150世帯の会員で構成されていますが、2023年度の敬老事業実施のために、個人情報保護に必要な講習を受けた上で調査したところ、満83歳以上の方が約50名在住されていました。個人や地域性の違いはあるにしても、この状況では、残念ながら当町内会におけるデジタルデバイドの存在を否定することは困難であると言わざるを得ません。したがって、限られた資源の中で、複数の広報方式を併用する必要があります。
■当町内会の試案 ー分断を超えてー
デジタルデバイドの存在を認めた上で、情報化社会の今後の更なる進展を考えると、電子回覧板の導入を忌避することは現実的ではありません。電子回覧板導入に向けての当町内会の1つの試案を示します。
現行の回覧板は廃止し、電子回覧板を町内会Webサイトに掲載します。
プル型情報発信手段である電子回覧板の欠点(電子回覧板更新通知、緊急通知等への対応)を補完するために、メーリングリスト等の低廉なプッシュ型情報発信手段を併用します。
電子回覧板閲覧に対応できないが回覧を希望される会員については、紙ベースの回覧文書を戸別に配布します。
財政的制約から、回覧文書戸別配布を希望される会員には、その適用世帯数によっては、コピー代に相当する応分のご負担(月額50円程度)をお願いする可能性があります。
人的制約から、回覧文書の更新頻度を従来の月2回から月1回に減らします(緊急連絡を除く)。
当町内会では、会則第36条2項において、山の手連合町内会が主催する事業への協賛金等を除いて、一般的な寄付金・募金等へ町内会予算を支出することができないと定めているため、外部団体からの寄付・募金等への協力依頼文書は回覧しないこととします。また、町内会ホームページ運用規程第4条3項2号において「営利を目的とする内容」については「掲載することを禁止する」と定めているため、通販カタログ、求人広告等についても回覧しないこととします。
何をどこまで誰に見せるか/見せないかについては、閲覧の容易さ、セキュリティの確保、個人情報保護等の観点からも、まだまだ多くの未解決な点があります。Googleプラットフォームを利用し、電子回覧板に対する先進的な取り組みをされている
常盤台町会(千葉県柏市)
を参考にして、2025年度からの本格的導入を目指したいと考えています。
■関連情報
平成23年度情報通信白書「デジタル・ディバイドの解消」(第2部第2章第2節)
回覧板の電子化を実現して欲しい(鳥取市市政提案箱~市長への手紙~,2023.7.25)
自治会町内会専用アプリを活用した災害時支援活動と町会活動のICT化(「市長と語ろう!」横浜市,2024.3.28)
自治会をDX…回覧板アプリ化で文書配布の負担を軽減(福井新聞ONLINE,2022.11.17)
【回答】社会福祉法人 札幌市社会福祉協議会の下部組織である山の手地区福祉のまち(以下「福まち」という)推進センター主催の敬老会は、①当町内会の敬老規程に基づく敬老事業※の内容と一部重複し、②町内会資産から一般的な募金・寄附への支出を禁じた旧会則第14条3項に抵触するため、同条項が追加された2024年度以降については、同センター主催の敬老会への協賛は見送ることにしました。当町内会の見送り理由および他の単位町内会にも共通する疑問点について、詳細を以下に述べます※※。
※当町内会の敬老事業は、今年度は9月16日(敬老の日)にすでに完了しました。今後も継続する予定です。
※※ 2024年9月14日付で、福まち推進センターより書面で同センター主催令和6年度敬老会への協賛依頼がありましたが、当町内会は、①②を理由に同日付で協賛を辞退する旨をメールで伝えました。しかし、9月末に山の手福まちだより2024年度第5号が回覧され、その中に山の手連合町内会に所属するすべての単位町内会が賛同し、10月中旬以降にすべての単位町内会の祝賀対象者に「敬老のお品物」が手渡されるような誤解を生む表現があったため、主として当町内会会員に向けて事情を説明する必要に迫られたためです。
■理由①:敬老祝賀対象者が当町内会敬老事業と重複する
第41回(2022年度)および第42回(2023年度)の福まち推進センター主催の敬老会祝賀対象者は、山の手地区在住の83歳以上の高齢者でしたが、第43回(2024年度)については、米寿(88歳)、卒寿(90歳)、白寿(99歳)、紀寿(100歳)に変更になりました。2024年度については敬老会実行委員会が開催されていないため、その理由については明らかではありません。祝賀対象者が年度によって変更になると、公平性の点で問題があるように思われます。
当町内会の敬老事業祝賀対象者は、数え年で、喜寿(77歳)、米寿、白寿に該当される方々です。したがって、米寿と白寿が、福まち敬老会祝賀対象者と重なります。紀寿の方への長寿お祝いについては、(年齢の数え方が年度単位ですが)札幌市も行っていますし、白寿と連続するため、当町内会では祝賀対象者に含めておりません。また、卒寿についても、米寿と近接するため、同様の扱いになっています。
■理由②:当町内会会則に抵触する
2024年度山の手連合町内会定期総会(2024年4月21日開催)議案書では、山の手地区敬老会について「福まちと共同で開催」と位置付けていますが、この位置付けは「福まちと共催」と同義かとの総会当日の当町内会からの質問に対しては、役員から明確な回答がありませんでした。また、第42回(2023年度)山の手地区敬老会では余剰金が発生しているにもかかわらず、山の手連合町内会の2023年度収支決算報告収入の部には、福まち推進センターからの余剰金に係わる収入の記載がありません※。このことから、「共同で開催」とは「共催」ではなく、一般的な募金・寄附と同様に、単に「協力」に過ぎないと考えられます。旧会則第14条3項では、町内会資産の募金・寄附禁止の例外として「山の手連合町内会が主催する事業への協賛金等」を認めていますが、山の手地区敬老会への協賛金の支出は、これに該当しないと判断しました。
※山の手地区敬老会実行委員会の会議費については、2023年度収支決算報告支出の部に記載があり、2024年度収支予算案にも同委員会の会議費が計上されています。
■連合町内会は社会福祉協議会の下部組織か?
2023・2024年度の福まち推進センター運営責任者と山の手連合町内会会長は同一人物ですし、センター実務の実質的責任者である事務局長も山の手連合町内会福祉部長と同一人物です。さらに、2024年度福まち推進センター定期総会(2024年5月26日開催)議案書によると、センター役員11名中7名が連合町内会役員と同一人物です。この関係性の下で、福まち推進センター主催の事業において、山の手連合町内会に賛助金の拠出を求めることに、「利益相反」の問題がないとは言い切れません。会社法に規定される利益相反取引は、法令上の規制対象となり、倫理上も問題となる場合があります。株主総会や取締役会の承認がない限り、利益相反取引は無効です。福まち推進センター運営責任者の話では、こうした不健全な体制は、8カ所ある札幌市西区各地区福まち推進センターの中では、山の手地区だけだと聞いています。社会福祉協議会は、社会福祉法に基づく外部の民間組織に過ぎません。山の手連合町内会の構成員である私たち単位町内会としても、外部団体の影響下に置かれている今の状況を看過することはできません。福まち推進センターから山の手連合町内会役員を早急に引上げることを要望します。
■単位町内会は連合町内会の下部組織か?
2023年度福まち推進センター主催敬老会に関しては、単位町内会役員が祝賀対象者に祝金品を手渡しするために手分けして各戸を訪問しました。当町内会の場合、会員151世帯の中で祝賀対象者は49名と、決して少ない数ではありませんでした。山の手連合町内会のいう福まち推進センターとの「共同で開催」は、各単位町内会からの賛助金の拠出や祝金品の贈呈作業抜きには成立しません。2024年度は、会議費の予算措置をしているにもかかわらず、各単位町内会担当者を構成員とする敬老会実行委員会を開催していません。山の手地区福まち推進センター≈山の手連合町内会だけで、この敬老行事の企画を立てることには相当の抵抗感があります。単位町内会が自前の敬老事業の準備をすでに終えている敬老の日の前々日に、協議もなく結論だけを通知してくる。この方法は決して民主的とは言い難く、利益相反の疑義がある体制の下では、敬老会実行委員会の承認は不可欠です。控えめに言っても、福まち推進センター≈山の手連合町内会の準備不足は明らかでしょう。私たち単位町内会は、山の手連合町内会の構成員ですが、それぞれの区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された独立した団体であって、上意下達の組織の一員ではありません。
■個人情報保護はクリアできているのか?
当町内会では、敬老規程第3条に基づいて、敬老祝賀対象者の特定をご本人またはご家族からの申請により行っています。しかし、第42回(2023年度)山の手地区敬老会では、個人情報保護を目的として札幌市西区社会福祉協議会が実施する「札幌市65歳以上世帯名簿」(以下「名簿」という)の閲覧研修を各単位町内会担当者が受講した上で、名簿から祝賀対象者を特定する必要がありました。この名簿は、その構成員「全員」が65歳以上の世帯に関するものであり、高齢者とそのご家族(65歳未満)が同居する二世帯等は対象外です※。このため、名簿を利用した祝賀対象者の完全な特定は実現困難でした。
山の手福まちだより2024年度第5号によると、2024年度についてはこの点は多少改善されているようで、説明がないため詳細は不明ですが、事務局(社会福祉協議会あるいは福まち推進センター)が、おそらくは名簿等を用いて、この特定作業を行っているとのことです。しかし、この名簿だけで祝賀対象者を完全に特定するのは困難ですので、敬老事業の実施母体である社会福祉協議会あるいは福まち推進センターには、個人情報保護の観点から、個人情報の取得方法および祝賀対象者の特定方法の正当性に関して説明責任があると思われます。
※この名簿の情報は、個人情報保護法第2条3項が定める要配慮個人情報には該当しませんが、最近の高齢者を狙った匿名・流動型犯罪グループによる緊縛強盗等の横行を踏まえると、その取扱いには細心の注意を払う必要があり、不祥事の続く社会福祉協議会に名簿の管理を任せられるのかどうか不安があります。
■関連情報
市長が100歳をお祝い!感謝伝え記念品を手渡し 札幌市内合計711人にプレゼント〔2024/09/19〕
札幌市65歳以上名簿の取り扱いについて(社会福祉法人 札幌市社会福祉協議会)
福まち活動の手引き【地域福祉マップ編】(社会福祉法人 札幌市社会福祉協議会)
【回答】個人情報保護法上の義務ではありませんが、国のガイドラインでは作成することが求められています。ルールを定めることで町内会内部での個人情報の取扱いが明確になり、会員からも安心して個人情報を提供してもらえるため、自治体も個人情報取扱規程等のルールを定めることを推奨しています(下記関連情報参照)。
■当町内会の対応
山の手第29町内会では、会員名簿の作成および山の手連合町内会への現勢表(役員情報)の提供等に加え、本会Webサイト上で
行事への参加申込
フォームによる問い合わせ、募集
電子回覧板の設置
等を実施し、個人情報を取り扱っているため、個人情報取扱規程を作成し公開しています(【Tip 6】参照)。この規程は、各自治体が公開している個人情報取扱手引き(関連情報参照)に概ね準拠していますが、以下の点に独自の工夫が施されています。
① 個人情報保護法の定義では、死亡した個人に関する情報は保護の対象外ですが、個人情報の第三者提供、開示および訂正に関して、犯罪報道において見られるように死者は対抗する術を有しないため、生存する個人に関する情報と同等の適切な管理が求められます。この観点から、本会の個人情報取扱規程第11条(第三者提供)、第12条(開示)および第13条(訂正)に、死亡した個人に関する情報の取扱いを定める項を追加しています。
② 個人情報保護法は、地方自治法と同様に、近年頻繁に改正が行われているため、法の改正に迅速に対応できるように、第15条(規程の変更)を追加しています。
■関連情報
町内会・自治会向け個人情報取扱いガイド(北海道札幌市)
町内会活動のための個人情報保護の手引(北海道苫小牧市,平成28年12月)
自治会個人情報取扱いの手引き(北海道虻田郡洞爺湖町,平成23年6月)
町内会・自治会向け個人情報取扱い手引(北海道北見市,令和6年3月)
町内会・自治会の個人情報保護の手引き(岩手県盛岡市,平成29年5月)
個人情報取扱い手引き(住民自治組織(区・自治会・町内会等))向け)(茨城県龍ケ崎市,令和5年4月改訂)
自治会・町内会個人情報取扱いの手引き(埼玉県所沢市,令和元年6月改訂版)
町会・自治会の個人情報の手引(千葉県松戸市,平成30年3月改訂)
町会・自治会個人情報取扱いの手引き(東京都墨田区,令和4年3月)
町内会・自治会向け個人情報取扱マニュアル(東京都町田市,令和5年4月)
町内会・自治会個人情報の取扱いハンドブック(神奈川県川崎市,令和2年12月)
自治会町内会向け個人情報取扱い手引(神奈川県横浜市,令和5年4月)
自治会・町内会個人情報取扱いの手引(神奈川県鎌倉市,平成31年4月)
自治会向け個人情報取扱い手引き(静岡県御殿場市,令和6年2月)
自治会向け個人情報取扱い手引き(静岡県袋井市,令和4年4月)
自治会個人情報取扱いの手引き(岐阜県羽島市,令和5年5月)
町内会・自治会などの地域団体や市民活動団体のための個人情報保護の手引き(大阪府大阪市,令和5年3月改訂)
町内会・自治会向け個人情報取扱い手引(島根県松江市,平成30年11月)
市民活動団体等向け個人情報取扱いの手引き(福岡県那珂川市,令和5年1月)
自治会における個人情報取り扱いの手引き(福岡県福津市,令和3年3月)
自治会(町区)向け個人情報取扱いの手引(佐賀県鳥栖市)
自治会における個人情報取扱いの手引き(鹿児島県霧島市)
【回答】町内会の役員免除のルールを定めることは、高齢化や加入率の低下が進む町内会の運営を円滑にするために必要であるという考え方があります。確かに、ルールを定めることで
公平性の確保
透明性の確保
負担の軽減
新しい視点の導入
が期待できます。しかし、役員免除の基準を厳格に設定すると、却って町内会活動が委縮したり、会員間の対立を招く可能性もあり、「柔軟性の確保」(役員免除の基準にある程度の柔軟性を持たせることで、個々の事情に対応しやすくする)も必要です。これは、ルール導入理由の「透明性の確保」(役員免除の基準を明確にすることで、参加者全員がその理由を理解しやすくなり、不信感を抱くことを減らせる)とは相反し、両立させることはかなり難しい問題です。現時点では、確たる結論に至っていません。
■生成AIの示した回答
Microsoft社が提供する生成AIサービスMicrosoft Copilot®は、この問題に対する対処法として、次の3つの方法を回答しました。
基本的なガイドラインの設定:免除基準の基本的なガイドラインを設定し、その上で個別の事情に応じた判断を行う。これにより、柔軟性と明確さのバランスを取れます。
ケースバイケースの対応:具体的な事例ごとに免除理由を評価し、透明性を確保するために全体会議で報告・説明を行う。これにより、基準の適用に柔軟性を持たせつつ、透明性を保てます。
コミュニケーションの徹底:免除の理由や経過を分かりやすく説明し、参加者全員に周知する。これにより、基準の適用が不透明になるリスクを減らせます。
残念ながら、Microsoft Copilot®が示した方法2および3は、免除理由に年齢、病歴等の要配慮個人情報を含むため、個人情報保護法に抵触する可能性があります。方法1は具体性には欠けていて、あまり役に立ちません。
■当町内会の対応
当初は、会則第15条(役員の選出)に次の2つの条項:
5 やむを得ない事情または相当の理由がある場合、会員本人の意向により、役員選出対象から除外することができる。
6 役員就任免除に関する規程は、役員会の議決を経て別に定める。
を追加する方向で検討していました。しかし、役員就任免除の基準策定の難しさを理由に役員会の了承が得られなかったため、当面見送ることにしました。役員就任免除に代わる対処療法としては、役員業務および定数の削減、業務の外部委託等により、役員の負担軽減を図ることが考えられます。会員の世代交代によって高齢化の進行にストップがかかるまでの間、こうした対処療法で町内会活動が維持可能ならば、それも1つの解決策なのかもしれません。
■関連情報
帯広市町内会連合会(北海道帯広市)
寺尾自治会(埼玉県川越市)
新方袋連合自治会(埼玉県春日部市)
きよみ野西自治会(埼玉県吉川市)
緑が丘西自治会(千葉県八千代市)
昭島市自治会連合会(東京都昭島市)
第二光ヶ丘自治会(東京都東大和市)
美しが丘中部自治会(神奈川県横浜市青葉区)
あかね台二丁目自治会(神奈川県横浜市青葉区)
ふじ自治会(神奈川県藤沢市)
緑ヶ丘南自治会(神奈川県座間市)
柳郷地自治会(静岡県三島市)
磐田市自治会連合会(静岡県磐田市)
相生町内会(愛知県安城市)
南下原町内会(愛知県春日井市)
野路町内会(滋賀県草津市)
大栗町町内会(京都府京都市北区)
折居台自治会(京都府宇治市)
東ときわ台自治会(大阪府豊能郡豊能町)
摂津市自治連合会(大阪府摂津市)
六甲が丘自治会(兵庫県神戸市)
宝塚山手台東 5 丁目自治会(兵庫県宝塚市)
みなぎ台北自治会(兵庫県三木市)
面影一丁目町内会(鳥取県鳥取市)
【回答】町内会の役員構成に依りますが、一般に「五役」とよばれる役員
会長
副会長
会計
監事(監査/監査役)
総務(書記)
を対象とすると、法人化された認可地縁団体の場合は、その標準規約に「監事は、会長、副会長及びその他の役員と兼ねることはできない」と示されていますが、地方自治法にはこの規約を裏付ける直接的な兼任禁止規定はありません※。このため、役員兼務の可否については、町内会の状況、役員の職務内容、役員間の関係性を考慮して、会則で定める必要があります。
※会社の場合は、会社法335条2項の規定により、監査役は当該会社および子会社の取締役・支配人・使用人を兼務することが禁止されています。
■当町内会の対応
会則第15条3項において「監事は、他の役員を兼ねることができない」と明記していますが、他の役員については特に定めていません。しかし、今後も進むであろう会員の高齢化、加入率の低下、町内会に対する住民意識の変化等を踏まえると、他の役員についても役員兼任の可否について予め会則に定めておく必要があると考えています。
具体的には、役員間の関係性(会則第14条2項)を考慮すると、当然ですが会長は副会長を兼任できません。何より、会長の職務内容の多さと責任を考えると、他の役員を兼務する余裕はありません。また、会計についても、独立した会計責任者としての職務内容(会則第14条4項)から、可能な限り専任とすべきであろうと考えられます。以上より、今後、会則第15条3項を「会長、会計および監事は専任とし、他の役員を兼ねることができない」と変更する改正を、役員会において検討したいと考えています。この改正により、当町内会の場合、副会長、総務、班長および部長については、相互に兼務することが認められることになります。
【回答】町内会の実情に即して、回覧板等により可能な範囲で国勢調査員募集への協力を行えばよいのです。無理をする必要はありません。調査員候補者の推薦・選考・確保・任用の最終責任は自治体にあり、結果的に自治体が指定する人数の調査員を町内会が集められなかったとしても、自治体は別の方法で調査員を確保するため、町内会には何ら責任は生じません。
■調査員候補者の選考方法
総務省統計局の国勢調査の基本に関するQ&A(問7-2)では、「市町村において、一般からの公募、町内会や自治会の推薦、前回調査の経験者からの選考など地域の実情に応じた方法により、候補者の推薦を行います。国勢調査員は重要な役割を担うことから、次の要件を満たす人の中から選考されます。
① 責任をもって調査の事務を遂行できる者であって、原則として20歳以上の者であること。
② 秘密の保護に関し、信頼のおける者であること。
③ 税務・警察に直接関係のない者であること。
④ 選挙に直接関係のない者であること。
⑤ 暴力団員その他の反社会的勢力に該当しない者であること。
これらの基準に照らして選考された人を、総務大臣が非常勤の国家公務員として任命します。」と書かれています。
参議院常任委員会調査室・特別調査室の国勢調査員のなり手不足とその対応に示されている図表3(調査員の選考方法別割合)によると、令和2年(2020年)の前回調査では、公募(9.1%)、登録調査員(9.5%)、自治会等の推薦(59.2%)、その他(8.2%)、市町村等の職員(14.1%)となっており、平成22年(2010年)および平成27年(2015年)の調査も含めて自治会等の推薦の割合は6割未満です。
■「調査員の推薦依頼」は「調査員募集への協力依頼」に過ぎない
推薦とは「よいと思う人や物をひとにすすめること」(広辞苑 第6版)という意味しか持ちませんが、近年は他の各種委員の推薦と同様に、町内会に負担を感じさせる大きな要因になっています※。
※ 町内会・自治会に関するアンケート調査結果報告書(札幌市市民自治推進課,令和6年3月)pp. 31-32 参照
総務省統計局の上記文書には「推薦」という言葉が2箇所に現れます。最初の「推薦」は町内会から自治体への推薦を表し、次の「推薦」は自治体から国への推薦を表していますが、その違いは明示的には述べられていません。このため、推薦要件については同等であると考えるのが自然です。人物評価に関する推薦要件①②はともかくとして、職業制約に関する③④⑤は個人情報に該当するため、町内会が正確に判断できる要件ではありません。①~⑤に基づいて調査員候補者の推薦・選考に責任を負う主体は自治体の統計担当部署であって、町内会ではありません。しかし、この公的文書の影響からか、自治体によっては、町内会に対する依頼文書の中で「調査員の推薦をお願いする」等の表現をしている場合もあります。調査員候補者が満たすべき推薦要件を踏まえると、総務省統計局の文書にある「町内会や自治会の推薦」は実施不可能な依頼であり、実効性の観点からは、調査員募集における「町内会や自治会の協力」の意味でしかありません。
前出の国勢調査員のなり手不足とその対応の図表2(国勢調査の回答方法別割合)によると、オンラインおよび郵送による回答の割合は、平成27年(2015年)は71.0%、前回調査の令和2年(2020年)は79.8%と増加しています。前回以降のマイナンバーの普及、調査員の担い手不足等を考慮すると、国勢調査の実施方法について再考する時期に来ているのではないのでしょうか。
■関連情報
国勢調査に関するQ&A (総務省統計局)
国勢調査員のなり手不足とその対応(参議院常任委員会調査室・特別調査室,2024/12/10)
自治会への国勢調査員推薦依頼について教えてください(大阪府堺市,2025/4/14)
国勢調査員が集まらない … 自治会長の苦悩「調査方法に限界」(Yahoo!ニュース,2025/4/1)
私は自治会で会長を担っています。本年度秋、国勢調査が実施される …(Yahoo!知恵袋,2025/4/6)
国勢調査の地域頼みに限界・自治会の苦悩と今後の展望(自治会・町内会のICT活用情報,2025/5/1)
【回答】自治体の助成金は、当該単位町内会が加盟する連合町内会等の会費(以下「分担金」という)と実質的に相殺され、単位町内会の裁量で使用できる金額はかなり減額されます。残念ながら、助成金は単位町内会まで十分に直接届いていないのが現状です。このため、分担金の決定にあたっては単位町内会の同意が必須です。連合町内会等の会則において、総会での承認に加えて「単位町内会会長を含む理事会等での審議」を明記する必要があります。
■町内会への活動助成金
「助成金」は、町内会・自治会がその事業を継続するための経費負担を軽減する支援制度です。申請は必要ですが、基本的に要件を満たせば受給できるもので、予算制限はありますが競争的な審査はありません。自治体が掲げるDX化などの特定目標の達成、集会所建設・整備、防犯灯・防犯カメラ設置、あるいは自治体広報の配布等の業務委託のために、その目的に合致した事業を行う町内会を支援する「補助金」とは違い、町内会の経常収入の大きな柱になっています。各単位町内会への助成金額は、人口、地域性等の違いにより、自治体によって大きく異なりますが、大別すると定額の「均等割」と世帯数に比例する「世帯割」から構成されています。
町内会への活動助成金一覧(当町内会作成)
単位町内会だけではなく、その連合組織である連合町内会等へも同様の助成が行われています。
■山の手連合町内会の現状(単位町内会より一部抜粋・加筆)
町内会・自治会別加入世帯数等内訳表には札幌市住民組織助成金として世帯割(260円/世帯・年,別表1参照)のみしか記載されていませんが、実際には世帯数に応じて22区分の基準割(6,000円~88,000円/町内会・年,別表2参照)の合計金額が助成されています。山の手連合町内会の場合、第1~6区分(6,000円~26,000円/町内会・年)に該当しますので、合計金額は11,200円(第35町内会)〜146,900円(第6町内会)の範囲ですが、分担金(300円/世帯・年)を差し引くと、札幌市住民組織助成金のうち単位町内会裁量分は、年額で4,120円(第43町内会)~13,480円(第23町内会)に過ぎません。一世帯当たりでは年額で15.9円(第6町内会)〜260円(第35町内会)でしかなく、そのほとんどが100円(/世帯・年)未満です※。
※札幌市の場合、基準割は増加率が逓減する世帯数の区分的定数(階段)関数になっています(別表2)。しかし、分担金の世帯割超過分(40円/世帯・年)は世帯数の線形増加関数のため、第6町内会のように世帯数が多く、各区分の上端値に近い世帯数の単位町内会ほど裁量分が少なくなります。この不公平を避けるためには、分担金の原資を「世帯割全額+基準割の一部」から「世帯割の一部(例えば、130円/世帯・年)+基準割の一部(例えば、定額かつ50世帯以下免除)」等に変更する必要があります。
税を原資とする札幌市住民組織助成金の大部分が連合町内会に集約される仕組みになっていて、①連合町内会助成金世帯割(120円/世帯・年)が連合町内会に別途助成されている(別表1)こと、②分担金額が単位町内会長を含む理事会の審議を経ずに総会で決定されていることを踏まえると、分担金については金額も含めその決定方法について見直しが必要です。また、分担金の大部分が札幌市住民組織助成金であることから、単位町内会が住民組織助成金の使途を年度末に札幌市に対して報告しているように、連合町内会も総会における決算報告の中で、分担金の使途について別個の報告が必要です。
■他の札幌市内連合町内会の現状
Webサイト上で会則を公開している札幌市内の連合町内会・町内会連合会は、把握している限り8連町ありますが(札幌市内町内会Webサイト参照)、その中で分担金の金額を会則に明記しているのは
・新琴似連合町内会(札幌市北区)
だけです。また、分担金の金額を単位町内会会長を構成員とする理事会等で審議し、総会での承認を得ることを会則に明記しているのは次の3連町です。
・桑園地区連合町内会(札幌市中央区)※
・清田地区町内会連合会(札幌市清田区)
・南平岸地区町内会連合会(札幌市豊平区)
※理事(単位町内会長)は役員会の構成員(桑園地区連合町内会会則第7条1項)
分担金決定方法を会則に明記していない連合町内会・町内会連合会においても、会則以外の規程・細則等で所属単位町内会の同意を得るための民主的なルールが確立されていることとは思いますが(非公開のため不明)、単位町内会の事前承認を得ることなく、定期総会当日に役員会で定めた予算案を示すやりかたであれば、直ちに改善が望まれます。
■関連する課題
高齢・独居会員等に会費減免を行っている町内会の場合、連合町内会が分担金の算出根拠としている世帯数と当該単位町内会の会費を実際に負担している世帯数との間に差異が生じる可能性があります。このとき、分担金の額と高齢化の進捗状況によっては
・城南ヶ丘自治会(福岡県宗像市)
での校区費問題と同様の分担金過剰負担問題が発生します。
単位町内会単独では予算的・人員的に解決できないDX化(ホームページの開設、町内会アプリの導入等)の課題については、連合町内会であれば事業化できる可能性があります。実際、札幌市内のいくつかの連合町内会では、設立周年事業等を契機として連合町内会のホームページを外注で開設し、電子化された回覧板を地区内で共有するとともに、サブページにおいて単位町内会が情報発信を行っています(札幌市内町内会Webサイト参照)。高齢化の進展と加入率低下の状況で、毎年同じ顔ぶれの情弱役員が、手慣れた同じ行事を漫然と繰り返しているだけでは、町内会というシステムを今後も維持していくのは困難です。連合町内会が単位町内会から分担金を求めるのであれば、事業計画の中でその使途に関して単位町内会の意向を積極的に取り入れる必要があります。
山の手連合町内会では、これまで独立した専門部であった「総務部」と「会計部」が2025年度から「総務会計部」に一元化されました。地方自治体においては、会計管理者は執行機関から独立した立場で、公金の出納・保管・管理を行う役割を担うことが地方自治法第170条で定められています。山の手連合町内会の予算の大半が札幌市の税金であることを考慮すると、予算の執行機関である「総務部」と予算の支出や証拠の管理を行う「会計部」の責任者が同一の専門部長という新体制は、町内会の財務における中立性と信頼性を大きく損なっていると言わざるを得ません。無用な懸念を払拭するためには、元の独立した二部体制に戻す必要があります。当町内会は、2025年度山の手連合町内会定期総会(2025/4/20開催)において、上記の理由から総務会計部一元化に反対する意見表明を行いました。
【回答】0円です。
ただし、ボランティアですので人件費、通信費および電気代等はカウントしていません。外注する場合、初期費用として25~30万円、維持費として月額1万円以上が標準的な金額です。私たちのような150世帯ほどの零細単位町内会ではとても賄いきれる金額ではありません。Google Sites®という無料のプラットフォームのおかげで、多少のスキルとセンスがあればこの程度のWebサイトを構築するのは難しくありません。実際、当Webサイトの骨格部分は1日で完成しました。開設以降、かなりの追加・更新をしたつもりでしたが、当Webサイト専用のGoogleアカウントを取得しているためか、Googleドライブの無料の容量制限15GBのうち、実際に使用している容量はわずか321.0MB(2025年5月15日現在)に過ぎません。行事のスナップ写真等を掲載することで、今後時間をかけて肉付けしていく予定です。